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気ままに生きたい異世界転生 ~チートは無いはずなのに目立ち過ぎるのは困ります~  作者: アルバザーク
第一章 辺境の街

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朝のお通じ

 寒い!

 目を覚ますと雨戸の隙間から光が漏れている。

 なんだかずいぶん長い夢を見ていた気がする。

 それは地球で生きていた時、自分が生まれて死ぬまでの。

 そして、毎朝元気だった息子はもういない。ちょっと寂しい。

 雨戸を開けるとまだ夜明け前だがかなり明るい。

 遠くを飛んでいる鳥が見えた。

 え?こんなに良く見えたっけ?

 やべっ!

 コンタクト外さないで寝てしまった!

 ・・・?

 いや、これ裸眼だった。

 目がいいのは素晴らしいね。

 しかし、外は寒い!

 閉めると暗いしなぁ。

 ランタンに灯りを付けようかと思って気が付いた。

 昨日、消した記憶が無いな・・・。

 いろいろ忘れすぎだろ。これ。

 深呼吸していったん落ち着く。

 そうだ魔法があった。

 灯りの魔法を使う。

 ランタン程度の明るさの光球が現れた。

 手を近づけてみると温かい。

 着火の魔法の派生版のようなものだろうか。

 基本は「火」らしい。

 温める魔法もあった。

 しかしこの魔法、自分の体に直接かけるのは禁忌。

 加減が分からずに火傷する人が続出したとか。それも皮膚ではなく内臓や筋肉なので致死率が高い。全てエレーナの記憶。

 布団を温めてからもぐりこんだ。

 極楽だぁ・・・。

 うとうとしかけたら強烈な朝日が顔に直撃した。

 ぐおっ。

 雨戸開けていたんだった。

 周りからはガタゴトと人の生活音が聞こえてくる。

 なんかビジネスホテルに泊まった時のことを思い出した。

 みんな早起きだね。

 寝るのはもういいや、起きよう。


 パンツ一つでは歩き回れないので革鎧まで全て着込む。

 寒いし。

 足元の桶には使用後の水が入ったまま。

 これで顔を洗う気にはなれない。

 そういえば、なんか臭うな。

 くんくん。

 臭いの元を探してみる。

 くんくんくん。

 マリーにもらった袋だ。

 そういえば、薬草入れたままだった!

 開けてみる。

 ぐふっ!

 激臭がした!

 これ、ポーション作れるのだろうか?

 ま、いいや、売り物にする予定はないし。

 新しい薬草が手に入ったら捨てればいい。

 桶とランタン、袋も持って下に降りる。

 するとカウンターの近くに昨日と同じ給仕の女性がいた。

 目があったらすぐに声をかけられた。

「おはようございます。朝食はもう少し待って下さいね」

 昨日は遅くまで宴会の給仕をして、今日は早くから朝食の準備。大変だね。住み込みか、家族かな。

「おはようございます。ランタンありがとうございました。桶はもう少し借りててもいいですか?」

「はい。使い終わったらランタンも桶もカウンターに置いといてください」

「わかりました。ええと、井戸を使いたいんですが、裏に出るには・・・」

「ああ、はい。トイレの隣の扉から出られますよ」


 中庭は土がむき出しで、少し植え込みもあるが、井戸の周りは石畳になっていた。

 洗濯場のような所があり少し濡れている。

 排水用の溝があり、水は土に掘った窪みに流れていく、その後は地面に染み込むのに任せているようだ。

 なんとなく誰も見ていないことを確認してから、桶の水はそこに捨てた。別に問題無いとは思うけど世界が違うと常識も違うかもしれないからね。石橋はたたいて渡るのだ。

 井戸は簡単な屋根があり蓋がしてあった。その上にロープのついた桶が置いてある。

 ロープは屋根の滑車に通してある。釣瓶式ってやつだね。

 蓋をどけて桶を下ろす。水面までは4~5メートルほどか。

 ロープをゆすって桶に水が入ったことを確認してから引き上げる。

 これはなかなか重労働だ。

 水を自分の桶に移し替えて洗濯場へ。

 まずは薬草。丁寧に洗う。

 次に、袋。ひっくり返してよく洗う。

 朝からしんどいなぁ。洗濯機に放り込みたい。洗剤もほしい。

 救いは井戸水が気温より暖かかったこと。

 昨日水浴びしていた人もいたが、これなら何とか我慢できるレベルなのだろうか?


 部屋に戻り桶に水を溜める。これは魔法で出した水。

 もう一度丁寧に薬草を洗う。

 その後、魔法の温風で乾燥。

 この温風魔法。ドライヤーと違って騒音が無いのがいいところ。魔法便利。

 その先の薬草の処理は道具が必要だ。

 袋も乾かしてから一階に降りてみた。

 ちなみに、どちらも生乾き状態だったりする。

 ちょっと疲れたので・・・。


 食堂には、マリーがいた。

 ちょうど朝食を頼んでいる所だったので、一緒に頼んで、同じテーブルに座る。

「昨日は久しぶりにお布団で寝ました~」

 ご機嫌のようでなにより。

「ところでジーク達は?いつも遅いのかな?」

「聞いてください!あいつら昨日金貨一枚分も飲みまくったんですよ!」

 マリーの言う金貨一枚というのは小金貨。100Cr。4人で10000円だとしたら、日本人の感覚でいくと安い方だが。昨日、寝る時まで聞こえてきた声はジーク達のものだったのかな?

「起きてこないようなら、置いていきます!」

 マリーの機嫌は急降下。話題の振り方を間違ったようだ。

 そこに朝食が運ばれてきた。

 固い黒パンと、野菜のスープ、ソーセージ1本。

 スープはちょうどいい塩味が付いていた。

 黒パンは固いのでスープにつけて食べる。おいしくはない。

 ソーセージはおいしくいただいた。

 宿泊客はうちらだけのようだが、朝食も夕食も結構客が入っている。

 食堂がメインになってしまっているのだろうか。

 まあ、その点で味はまともだし、しばらくはこの宿でいいかもしれない。


 朝食も終わって席を立とうとしたときジーク達がぞろぞろと現れた。

「頭、痛てー・・・」

 顔色が悪い、これは二日酔いだね。

「あんたたちいつまで寝てんのよ」

 またしてもマリーの機嫌は急降下。声のトーンが低い。

「いいじゃん、今日は休みにするんだろ」

「そうね。遅い人は置いていくだけだから。じゃ」

 マリーは立ち上がってさっさと部屋の方へ。

「えっ!?もう行くの?ちょっまっ!」

 ジークは慌てた。

 そう、財布はマリーが握っているので置いていかれたら何も買えない事に気が付いた。

「いっしょに行くから、ちょっと待ってて!朝メシおねがいしまーす!急ぎで!」

 ジークと目線があった。

 笑顔で軽く挨拶してから席を立つ。

 さて、出かける前にトイレに行こう。

 教えてもらった扉を開けるとツンとした臭いが鼻につく。

 床に蓋がある。

 これは、ボットン便所というヤツだね。

 水洗じゃないのは当たり前か。残念。

 蓋を開けると、さらにきつい臭いとともに、ハエっぽい何かの羽虫も飛び立つ。

 ヒイッ!心の中で悲鳴を上げたがここは我慢だ。

 しゃがんで用を足す。

 小は問題無かった。大をしたときが問題だった。

 チャポンッ。

 運悪くお釣りをもらった。

 デリケートな部分に冷たさを感じる。

「んっ!」

 声が出そうになったが必死でこらえた。

 異世界の洗礼を浴びた気分だ。

 端の方に手ごろな葉っぱが積んである。

 これで拭けというのだろうか?

 いや、拭かない!

 当然、水魔法だ。

 念入りに洗おうとしたら心拍数が上がってきたので無心を心掛ける・・・。

 ・・・。

 なんか、もう臭いなんて気にならなくなっていた。

 さて、お出掛けだ。お出掛けー!


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