俺は天才!ええとこのぼんぼん、白樫麗央やで!
あ~あ、もうすぐ体育祭やんけ。運動音痴の俺がリレーの選手やて。
リレーは人気ないし、くじ引きになってんけど…
「さすが引きええな!」
とかゆうてる奴、頭おかしいやろ。
溜息出てまうんはしゃあないな…まあ俺みたいなクールな男には、溜息すら似合てまうんやけど。
俺は今、天体観測してる。どの部屋よりも空に近い屋根裏部屋から星座見るんは、創業千年の老舗和菓子屋の息子、ぼんぼんの俺にぴったりやな。
今見てんのは、ひまわり銀河…今の俺には負のスパイラルゆうか、転んで頭に星飛ぶ想像しかできひんのが寂しいこっちゃで。ほんま絶体絶命、チェックメイト。神社でおふだでももろた方がええやろか?
ゆうとくけど困った時の神頼みちゃうで?『今までのルールが全く通用しない意味不明な動き』ゆう量子力学風発想でものゆうてんねん。俺、マジ天才やな。
ほんまは買収して交代してもらうんが確実なんやけど、いくらええとこのぼんぼんの俺でも、人を動かせるほど小遣いもろてへんし。
けど、ゆうほど子供でもないで?つい先日までランドセル背負ってえんぴつ使てたけど、今は缶コーヒー無糖の飲むほど大人や。使てるシャーペンもええとこのぼんぼん風やし。
次の日学校行ったら「手ぇ怪我したんや。玉入れと交代してくれ」ゆう救世主が現れた。
俺は心ン中で超歓喜したけど、ここはぼんぼんらしくグッと感情を抑え、ポーカーフェイスで快諾した。
おふだ、妄想の中でしかこさえてへんかったけど、御利益あったんやな。
毎日「夏祭り」の替歌応援歌を練習するんやけど、今日は歌てやってもええかな?しゃあない。
…
相変わらずハズイ歌詞なんはまあ、今日はかんべんしといたろ。
当日、玉入れに参加した俺は、無暗に球を入れに行ったりせんと、籠から離れて行った玉を籠に寄せる作業に徹した。
ぼんぼんやし人込みは避けんとな。
そしたら籠持ってる奴らが言い争いを始めた。
ちゃんとしっかり持ってろや?何なら籠自ら宙に浮かんでる玉を掬いに行ってもええっちゅうのに、言い争いとは何やねん?
俺は呆れながらも自分の作業を続けてると、いきなり籠が俺に向かって倒れて来た!
天体観測の頭に星飛ぶ妄想、完全にデジャヴやんけ?
俺は籠直撃と同時に倒れ込み、宙に浮いた球が頭上に”ぼんぼん”て落ちた時、気ぃ失った。
※「第4回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」に応募したもので、キーワードを小説の中に全部入れるのに挑戦してみました。
※一部編集しました 2023年4月10日