そう簡単に騎士にはなれない
「ここが俺達の国、カレギニラタバスだ」
ただいま~、とハルトが続けて言う。
「おぉ、綺麗な町だな」
商店街なのだろうか、住居のようなものは見当たらず一本道にお店がズラーっと並んでいる。俺はそれに感化され、正直な感想を述べる。
「城下町だからな」
カレギニアタバスは西洋風の建物が並び、たくさんの人で賑わっていた。
「ハルト、あの獣の耳を生やした人間って…」
「あれは、獣人だな」
「おぉ、異世界系お馴染みの獣人!興奮するぜ!」
「他にも、鬼族や剣人などがいるぞ」
差別的なものがないのか、獣人と人間が仲良く話したり、仕事をしていた。
「おーい、そろそろ行くぞー」
ボーッと獣人を眺めているとハルトに声をかけられ、現実に戻される。
「あいよ、てかどこに向かうんだ?」
俺はハルトに尋ねた。
「あの城だよ」
とハルトは目の前の城を指を差し、口を開く
「カレギニアタバス城…あそこが俺達の職場だ」
「仕事場?」
「そう、あの中で騎士達が働いている」
「ギルドとか冒険者はないのか?」
「あるにはあるが、ほとんど騎士が承っているから、雑用またはとにかく人手がいる仕事、あ…緊急時には協力要請も来る。17年前に一回起きてそれっきりだそうだ」
俺の質問に対しハルトが答える。
「お、着いたぞ城門だけどな」
目の前には3メートルほどの扉があり、ギギギと音を立てながら開いた。俺達は足を前に出し、歩き始めた。
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「着いた、ここが玉座の間だ。」
「王様がそう簡単に会ってくれるのか?」
玉座の間に着き、おれはまたハルトに尋ねる。
「騎士になる前はみんな会うぞ」
それなりの儀式が必要だからなと付け加え玉座の間が開いた。
「よく来たなハルト、大変活躍しているそうだな」
「ハッ、光栄であります王よ」
30代前半の男が正面にある椅子に座りハルトに話しかけていた。ハルトのこの変わり身からしてこの人が王なのだろう
「それで、新しい仲間を見つけたから是非入団したい、というところまでは聞いておるが、詳しく聞かせてもらおうか?」
「任務中、魔獣に襲われてるところを発見し、なんの武器も持たずウルガレウを2体ほど倒しておりましたので、是非私の騎士団にほしいなと思いつれてきました。」
ハルトがさっきの森でのことを話すと、王は驚いた表情をする
「ほう、何も持たずにウルガレウを2匹も…名前はなんというのだ?」
「大も…リョウゴ・オオモリです。」
「――!分かった…ハルトの望み叶えようではないか。」
「ありがとうございます」
ハルトが頭を下げる。それを見て、俺も少し遅れて頭を下げた。
「ただし、入団試験は受けてもらうぞ」
「入団試験ですか?内容は?」
入団試験の存在に驚き、俺は聞き返してしまう…
「話が早くて助かる、そこのラッフェルという男と戦ってもらおう。」
そう言い隣に立っている40代前半ぐらいの男を指差す。
王の横にいるぐらいなんだからかなり強いんじゃ…
異世界はまだまだ不安がいっぱいだった。




