病室の一時
「よぅ、やっと起きたか…とんだ寝坊助だな」
「ふっ、そうだな」
と俺は鼻で笑う、邪神十傑との戦いが終わって2日後、ハルトが任務から帰ってきたようだ。そして、俺が寝ているベットの隣に座り。
「悪ぃな、手伝い行けなくて」
「しょうがねぇじゃん、仕事だろ?気にすんな」
「そういってくれるとありがたい」
「リョウゴ、朝食持ってきたよ。あ、ハルトいたんだ」
「じゃましてるぜ」
マリエが朝食の乗ったお盆を持ち、治療室に入ってきた。
「ポニーテール…」
カワエエ…
「おーい、リョウゴさーん、戻ってコーイ」
思わず見惚れてしまいハルトに呼び戻される。
「いつものコーヒーと目玉焼き食パンでいいわよね」
「あぁ、ありがとう」
「あ、ハルトもいるし丁度いいや、話さなきゃいけないことがあるんだけどさ…」
とマリエが続ける…
「なんだ?」
マリエは椅子を持ってきてベットのとなりに座る。
「邪神十傑の研究結果について、国が論文を出したわ」
「――ほぅ、詳しく聞かせてくれ」
意外にも真っ先に反応したのはハルトだった。
「まず、あいつらには弱点…即ちそこに攻撃されると再生不可な部分がある、これはリョウゴが発見した首の傷から考えられたわ」
「あぁ、あそこだけ不自然に回復してなかった、血は止まっていたがな」
「そして、弱点は権能が機能する場所にあると推測される…この2つが国が出した論文よ」
「まぁ、理には適っているな、あいつの触手も首からはえてたし」
マリエの伝言に対し俺は反応する。
「今のところこれしか分かってないわ、今ノヴァディアーノの死体解剖中よ」
「まぁ、追々分かってくるだろうな伝言サンキュ」
パンをかじり終え、手についたカスを払う。
「じゃあ、これ下げちゃうわね」
「あぁ、頼む」
そして、マリエは病室から出ていった。
「リョウゴ、何があったか色々聞こうか」
「別になんもねぇよ」
「いや、マリエの雰囲気があんだけ変わってんだ何かあっただろ?」
「まぁ、距離は縮まっただろうよ背中預けたなかだしな」
「それだけじゃねぇ、愛想が良くなってるから聞いてんだよ」
「それは…あいつ自身の変化だろ、俺はなにもしてな…」
い…と言いきろうとしたがなにもしてないことはなかった…
だが、俺は背中を押しただけだ。俺はマリエを変えるほどの人間じゃない。おそらく本当はあんな感じなんだろう…
「さいでっか、まぁ良い方に変われたのは良いことだな」
「あぁ、そうだな」
俺はハルトの意見に同意する。
「んじゃ、俺はもう行くぜ。じゃあな」
「ん、わかった」
そうして、ハルトは病室から立ち去った。
病室の中、ただ一人、窓から吹く風は涼しく、騎士達の声が病室に響いた。ふと
「俺は何故異世界に呼ばれたんだろうか…」
そんな疑問が頭をよぎった。




