六月の雨は濡らす
六月の雨は濡らす
他人の頬を湿らせて
部屋の湿度を上げながら
窓に張り付く水玉を
横に伸ばして雫にしている
雲の隙間に星が見えても
質の違う雲がやって来て
視界を奪いながら糸を垂らす
全てが濡れれば
全てが同じであるような
錯覚を呼び込んでいる
裏側に逃げても濡れ
表に立っても濡れ
屋根の下で縮こまることが
誰かの正解になっている
濡れないことは正しいが
対処するなら間違いである
雨が降れば濡れる
シャワーを浴びて
着替えればいい
湯船に浸かって
歌でも口ずさめばいい
それが出来る場所があれば
新しい温かさを纏える
濡れるだけ濡れて
歩くことはない
冷え切る前に
何も考えず
あの温かさを求めればいい
間違いも正しさも
洗い流して
新しい服を着ればいい
求めるものを
傘や屋根だけにする必要はない