表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
梶原殿と12人  作者: キムラ ナオト
陸の元老 二階堂民部大夫行政
59/61

第56話(1201年2月) 「江口の戦い②」

◇◇梶原平三景時視点◇◇


 江口の色里・稽古屋敷前で俺は二階堂に短筒を突きつけていた。

 

「奇妙な笠。アナタ、源テロリストでしょ」


「そうだ。これを見ろ。頼朝公の誅殺状だ」


 左手で誅殺状を広げて見せた。


「あきまへん! 二階堂様はええ御人です」


「待ってテロリ様。二階堂は亀ちゃんや菊ちゃんを助けようとしているのよ」


 藤原高衡が二階堂の前に立ち、薫が俺の袖をつかむ。


「邪魔するな!」


「ふふふ、謎がわかってきたわ。いい物を見せてあげる」


 二階堂が懐から巻物を取り出した。記してある文字を見て驚く。

『頼朝の誅殺状』だと……。なぜ、二階堂が持っている!


「あら、今度はアナタが謎に包まれたようね。提案があるわ。アタシと組まない? 密やかで、秘めたる同盟」


 こいつは半妖だ。惑わせられるな。


「強がっても無駄よ。アナタの顔に『誅殺状が気になる』と書いてあるもの」


「――一つ聞かせろ。なぜ、幕府を裏切るような真似をする」


「幕府に仕えているつもりはないわ。アタシが仕えるのは現世の理(ことわり)を超えた者だけ」


「理を超える者とは誰だ!」


「誅殺状を持っているのなら、いずれわかるわ」


 二階堂はそう言うと、高衡に守られるように去っていった。

 結局、俺は銃を撃てなかった。


「薫。一ノ谷に伝令を出す。急げ!」



◇◇八田筑前守知家視点◇◇


「たいそう儲けているようだのう。日ノ本一の色里だけのことはある」


 竜宮屋の豪勢な建物は遠目からでもわかる。善信入道をもってしても裁けない里。わし一人で手を出せばきっと火傷するだろう。しかし、兵を持つ今ならできる。


「軍を二つにわけ、一万は摂津の港の守りへ、もう一万を江口の近くまで寄せろ。さらに、静御前へ文を出せ。記すのは、軍費として持っている銭をすべて出すこと。そして善信入道殺しについて静御前自身が申し開きにくること。この二つだ」


 どうせ四国は混乱して奪う物もないだろう。ここで稼がせてもらおう。



◇◇梶原平三景時視点◇◇


 竜宮屋・静御前の私室で、静御前と血相を変えた高衡が八田からの文を読んでいた。

 読み終わると静御前は高衡に命令した。


「手元にある銭をすべて用意しなさい。他の女主人にも出すように伝えて。ただし、借り証文を必ず渡すこと」


「後で銭を返すということでっか?」


「そうよ。今さら偽銭を作りたくないなんて言わないわよね?」


「やむをえまい」


 俺はうなずく。


「集めた銭を八田に持っていったとき、こう伝えてくれるかしら。『遠征の武士をねぎらいたいので、宴を催したい。静は支度が終わったら、必ずお目見えに上がります』と」


「全面降伏しかありまへんか……」


「全面降伏? 徹底抗戦の間違いでしょ? ねえ、義経様」


 静御前は壁に張ってある義経の人相絵に微笑みかける。


「わらわは時を稼ぐ。追い払い方はあなたに任せるわ」


「無理な注文だが、やってみよう。静御前を奪われるわけにはいかないからな。だが、戦うためには――」


「いいわ。遊女屋での武器の使用を許可します」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ