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梶原殿と12人  作者: キムラ ナオト
伍の元老 比企藤四郎能員
43/61

第40話(1200年9月) 「鎌倉の異変」

◇◇梶原平三景時視点◇◇


 潜伏場所である相模国一宮の隠し村で帳簿を書いていると、薫がのぞき込んできた。


「かなり銭を使ったなあ」


 播磨国からペリー号のような大型船ではなく、中型船で相模国に向かったため、行く先々で舐められた。水軍や海賊から通行料という名のカツアゲをされたのだ。


「偽銭だからいいじゃない?」


「それでも播磨の銅は使っている。バラ撒くのはいいのだが、手元に物も残らないとなると惜しい気がしてな。まあ、ただの貧乏性だ」


 苦笑する俺に、薫は密偵が拾ってきた情報を教えてくれた。


「悪禅師が捕まった?」


「頼家様への謀反の罪よ。千幡様を三代目にさせてほしいと言って、御家人の家を周っていたんですって。捕えたのは八田筑前守知家。常陸へ流罪になるそうよ」


 常陸は八田の地元だ。悪禅師は恐らく殺されるだろう。


 悪禅師というのは二つ名で、名は阿野全成(あのぜんしょう)という。頼朝の異母弟で、義経の実母兄だ。これで義経以外の、頼朝の兄弟すべてが天寿を全うできなかったことになる。さらに言えば、今生きている頼朝の息子や孫も天寿を全うできない。


 救いが無い。頼朝は憎かったが、ここまでだと、ざまあ、というより気の毒になる。


「千幡様は北条が守っているわ。それで、大倉御所と北条屋敷に御家人が集まって、鎌倉は騒然としているわ。それを納めようと尼御台(政子)様が奔走しているという噂よ」


 千幡はまだ八歳だ。謀反の意味さえ知らないだろう。だが、政子の動きは迷惑だ。こちらとしては、内輪揉めは激しいほどいい。


 両陣営の関東における実力を書き記してみる。

――――――――――――――――――――――――――――――

■源頼家、比企能員陣営

比企能員 信濃国20万石、上野国25万石 

八田知家 常陸国27万石

武田信光 甲斐国12万石

計84万石 動員兵力2万1000人


■北条時政陣営

北条時政 遠江13万石、駿河8万石、伊豆4万石

安達景盛 参河国15万石

計40万石 動員兵力1万人


■浮動票

三浦義村・和田義盛 相模10万石、上総20万石

御家人多数 武蔵国 33万石

✖千葉常胤 下総国 19万石 老齢

✖小山朝政 下野国 19万石 死亡

計101万石 動員兵力2万5000人

――――――――――――――――――――――――――――――

 あくまで、自分の守護国へ戻り兵を集めた場合だが、参考にはなる。✖は戦が起きても参加できる状態ではない国を現している。


 比企陣営の戦力が倍はあるが、浮動票の行方によっては北条が勝つことも充分ありえる。悪禅師を犠牲にしてまで根回しをした北条か? 頼家を擁する比企か? 想像するのは楽しいが、俺が考えなければならないのは、そこじゃない。


 義経から借りた十人を呼ぶと、鎌倉中の屋敷に瓢箪爆弾を投げ入れるよう命じた。恐怖と不安を高め、不測の事態を引き起こさせる。

 火縄銃を背に縛り、短筒を手に取る。


「俺が狙撃するから、薫は茂みに隠れて支援しろ」


「狙撃ならいっぱい稽古したわ。私にやらせて」


「ダメだ。この作戦は無差別テロという外道の作戦だ。そして、俺が狙う相手は、薫には撃てないし、撃ってほしくもない」


「誰なの?」


「子の争いを止めるために、必死に頑張っている母親だ」

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