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讃えよ、眼鏡を Ah───!!!  作者: ローリング蕎麦ット
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第三話


 クロードは鉄を打っていました。


 クリスティナの眼鏡のフレームをもっと改良しようという魂胆です。


「うーん、これすごいけど鼻が痛くなっちゃうかな」


 というクリスティナの控えめな苦笑が彼を突き動かしていました。


 クロードの作製した原初眼鏡は、リーディングストーンを固定するフレームと、耳にかけるテンプルしかないという構成です。


 これに鼻梁に固定するためのブリッジを作ろうとしているのでした。


 新しい試作のフレームを作り、上下左右を確認します。


 鼻梁を固定する場所に、麻布を詰められるようにしたのです。


「これでいこう。またクリスティナにかけてもらって、調整しよう」


 その出来栄えにクロードも満足げです。


 そして、さらなる眼鏡のフレームを開発せんと鉄を打ち始めました。


 この一週間、鍛冶場の火をずっと落とさずいていました。。


 流石に村のみんなも不審がったり、心配し始めます。。


「おい、クロードどうした。最近、ずっとこもってるじゃないか」


 しかしクロードはその都度、曇りなき眼で溌剌と答えました。


「俺にはやらねばならぬことがある」

「命を燃やす時が来たのだ」

「これが俺の生きる意味だから」

「神に未来を託されてるんだ」

「俺は神だ」

「おっぱい」


 徐々にやばくなっていくのに、村のみんなは軽く引いていました。


 しかしその甲斐あってルーペ眼鏡は最初に作成したものよりも格段に良くなっていきました。


 今やアンダーリムのフレームまで仕上がっています。


 しかし、リーディングストーンそのものの形には手を出せません。


 クロードには見えていました。


 スクエア型、トライアングル型、もっとサイズを整えたサークル型のリーディングストーンならば、ぐっとクリスティナの印象が変わることに。


 リーディングストーンを作れる者を探さねばならない。


 その思いは募っていきますが、普通の仕事もあります。


 眼鏡に狂ったクロードですが、ちゃんとした仕事も支障なくこなす程度にはぶっ壊れていませんでした。


 しかも物を拡大してみる道具に心血注いで、修道女を助けようとしているという噂が立って、それは立派だなぁ、いいことをしているのだなぁ、と割と好意的な噂にはなりました。


 そんな日々を過ごしていたある朝、クロードが起きると見知らぬ天上でした。


 石造りの洒脱な部屋で、ベッドに寝かされていました。


「……あれ?」


「目が覚めたか?」


 部屋の隅にいた女が話しかけてきました。


「どこだここ?」


「ここはアレクサンドリーヌ様の神殿。光栄に思うが良い、貴様はアレクサンドリーヌ様直々に仕事を下賜されることになるのだ」


「はぁ?」


 ちょっと何言ってるか分かりませんでした。


「おい、誰だそれは。お前は誰だ。なんで俺はここにいる」


「やかましい男だ。ついてこい。アレクサンドリーヌ様にお目通りだ」


 部屋を出て女についていくと、立派な廊下に出ました。


 整然とした建築で、なんとも荘厳な風格に満ちていました。


 やがて、大きな広間へとたどり着きました。


 そこには一段高いところに祭壇と玉座があり、エッチな感じに体のラインぴっちりなレザー系の豪奢な衣を身に着けた美女がいて、その前に跪く女達に指示や命令を与えていました。


 その姿は威厳がありました。


 もちろんおっぱいは大き目でした。


「目覚めたか」


 美女が、右目をすがめながらクロードを見詰めてきました。


 きつめな美女だなぁとクロードは思いました。


 美女が手を振ると、跪いていた女達が一斉に立ち上がって去っていきました。


 クロードが、それに代わって美女の前に立たされます。


「わらわはアレクサンドリーヌ。貴様にひとつ仕事を下賜する」


「はぁ?」


「貴様、視力を補う道具を作るようだな?」


「ああ、眼鏡か」


「そう呼ぶのか」


「なんだ、欲しいのか」


 アレクサンドリーヌが、自分の右目のあたりをそっと撫でました。


「以前の戦にて、不覚にも負傷をした時から徐々に見る力が弱まっておる。わらわは敵も多い。ここにつけこまれぬよう、備えておきたいのじゃ」


「……右目だけなのか?」


「左様」


 ぽわんぽわんぽわ~ん


 クロードが頭の中で、このきつめな美女が眼鏡するイメージをしました。


 アレクサンドリーヌには丸い形のリーディングストーンがふたつ並んでいるのは、あまり似合うようには感じませんでした。


 しかし違う形ならば、俺をアヘらせるポテンシャルを秘めている。


 クロードはそう睨みました。


 じっと、クロードがアレクサンドリーヌの顔を見詰めます。


 従者らしい女が、無礼だぞ! とたしなめるのもお構いなしです。


 そうしていると、アレクサンドリーヌの顔に片方だけ眼鏡をしたイメージが湧きました。


 そう、巨乳の高圧的な女王様系美女の片眼鏡です。


 人類はまた新しいステージに進む道を拓きました。


 クロードはこの時代最高に漢らしい顔で返事をしました。


「任せろ」


「うむ、そなたの働きに期待する。報奨は貴様が望むものを与えてくれよう」


「何!? いいのか!」


「わらわに二言はない」


 クロードの頭の中には、ありとあらゆる形の眼鏡をして、あるいは「クロード、こんなに素敵なプレゼントありがとう」と照れながら言うクリスティナや、「もう、こんな字も読めないなんて、補修よクロード」と叱ってくれるクリスティナや、「クロード、この眼鏡似合うかしら?」とはにかむクリスティナの妄想が噴火しました。


「ああ、似合ってるよクリスティナ。誰よりも知的で美しいさ」


「はぁ?」


 トリップしながらまったく脈絡のない名前の女を褒め始めてよだれを垂らすクロードに、アレクサンドリーヌがドン引きしました。


 慌ててクロードがよだれをぬぐいます。


「あ、ああ。いや、なんでもない。任せてくれ。あ、だが……お願いしたいことがあるんだ」


「忌憚なく申してみよ。わらわを助ける道具を作る大事である。金に糸目もつかぬし、わらわの従者も好きに使うがよい」


「リーディングストーンが要るんだ」


「……ふむ、手配しよう」


「ああ、いや、要るっつっても……そうだな。なぁ、できればリーディングストーンを作れるような職人と仕事がしたい。形を整えたいんだ、その人それぞれに」


「外れた道理には聞こえぬ。よかろう。そういった職人の所在を探らせてやろう」


 アレクサンドリーヌが手を振ると、従者に引っ張られてクロードは下がらされました。



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