キタムサシの町
前回のあらすじ
クラスメイトのお話
転移地点から南に歩くとキタムサシの町とやらが見えてきた。
茅葺き屋根の民家が並んでおり周囲は畑だらけであった。
まるで日本の田舎の様だ。
(そんな場所があるって言うのは俺の偏見だろうけど。)
畑仕事をしている老人に話しかけた。
「お忙しい所、申し訳ございません。お聞きしたい事がありまして・・・」
「はい、何でしょうか?」
老人は畑仕事を中断して返事をしてくれた。
「スキル屋というお店を探しているのですが、ご存知でしょうか?」
「すきるや?お前さん、異人さんかね?この大陸じゃ、異能屋って言うんだよ。異能屋なら風来者組合の中にあるよ。組合の建物は、あれだな。」
老人が指を差した方向を見ると大きな建物だった。
「ありがとうございます。」
「中に入るなら気を付けなさい。たまに荒くれ者もいるから。」
もう一度老人に礼を言い、風来物組合とやらに行き扉を開けた。
中に入り少し歩くと
「おい、ここはガキの遊び場じゃねーぞ?」
強面のチンピラみたいなのに絡まれた。
「痛い目に合わないうちに帰るといい。」
取り敢えず、目の前の強面に事情を説明してみた。
「そうか、金に困って異能を売りに来たのか。その何だ・・・、質に入れるのと同じでそのうち買い戻せるかもしれないから気にすんな。」
そうしたら、何故だか同情されてしまった。
「売買はあっちの窓口で受け付けてる。」
強面は話してみたら物凄く人が良かった。
「異能の購入ですか?それとも売却ですか?」
「売却を希望します。」
「こちらが一覧表になります。値段は書いておりませんので気軽に私に聞いてください。」
「お金が無いのですね?所有している異能から最も高値になりそうな物を売っていただきたいのですが、宜しいでしょうか?」
恐らくだが、売りものになるのは1つだけ保有している増加スキルになるだろう。
俺にとっては減少してしまうので無いに越した事はない。
「鑑定をさせて頂きますね。」
「・・・ゑ?位階99?何、この能力値・・・減少の異能(大)を5つも保有してる!?それに女神の呪い!?」
「申し訳ございません!取り乱してしまいました。」
受付の女性は平静を取り戻した。
「成る程、固有の異能ですか・・・。我々の主であられる女神マクロ様から賜わったと言うのは眉唾物ですが・・・。呪いは職業の女神様を事故で鑑定してしまったが為に得たと・・・。」
女性は困惑していた。
そりゃそうなるよな。
女神からスキルを貰い別の女神をこの目で見たなんて嘘にしか聞こえないだろうな。
「疑ってはいないのですが・・・他の方に話さない方が宜しいかと。命を狙われかねないので。」
それだけ色々ヤバイ事態になるのかよ・・・。
「それと女神の呪い系統の異能は勿論、減少の異能はウチでは買取はできないですね。勿論、(大)の異能もです。売るなら旅の行商人、道具の収集家ですね。異能の取り外しは能力の女神の総本山にいる巫女様に頼まないと・・・。」
総本山?
「はい。北にあるホクトウの国にあります。」
次の行き先が決まった。