商人の修行
商売のノウハウなんか無いので、宿で出会った商人さんの元で働く事にした。
商人さんの個人情報を少しだけ教えてもらった。
名前は大葉子さん。
本人曰く、現地人で無く転生者でもない。
かと言って俺の様な転移者という存在でもないらしい。
保有スキルは彼女の元いた世界と、この世界の店に並んでいる物を何処からでも取り寄せたり、自身の収納空間の中にある物を売却したり出来るといった、商人ならば欲しがる様な内容であった。
宿に行った次の日、大葉子さんとダンジョンに入る事になった。
素材を自分でとりに行けば仕入れの金額を安く出来るからとの事。
彼女も冒険者であったのでダンジョンにすんなり入る事が出来た。
(本来、商人は護衛を雇ってダンジョンに入るらしい。)
商人故にステータスが低く、戦闘面は俺任せになるかなと思ったが、色々な武器を使い強そうな魔物も討伐している。
俺、要らなくない?
とか思っていたら土竜が話しかけてきた。
『あの商人、能力の配分がおかしい。能力の女神に関係している者だろう。普通の商人はあんなに強くはない。』
そうですかー。俺も商人なんです。
『主殿も異能が特殊だから例外だ。』
広い所に出ると大葉子さんは俺にこう言った。
「いきなりですけど、1人で店番してください。」
ここ、ダンジョンの真っ只中なんですけど!?