スキル貰います
いつも通りの日常。
退屈でありながら満足のいく生活。
俺の名前は刑部刑事。
親が悪ふざけでつけた名前だ。
こんな字面でついたあだ名はデカ。
「今日の授業はここまで。」
数学の授業がやっと終わった。
休み時間で次は体育の授業だ。
まぁ、体育は好きではないが。
「デカ、先行ってるぞ。」
着替え終わったクラスメイト達は先に体育館へと向かって行く。
さて、俺も行くかな。
体育館は1階にある。今いる教室は2階。階段を下りなくてはならない。
階段に差し掛かったところで急に足元が光り出した。
うわ!?眩しい!
俺は足を踏み外し階段から落ちて意識を失った。
「起きてください。刑部刑事さん。」
誰だ?
「私は能力の女神です。」
目を開けるとショートヘアーのイケメンがいた。
女神・・・ボーイッシュな女神だな。
これって異世界ものでよくあるやつだな。
そうか、俺死んじまったんだな・・・。
「そうとも言い切れないんですよ。私達が管理する世界の人間たちが貴方の学校内にいる人間を召喚したのですが・・・召喚のタイミングがちょうど貴方が息をひきとる瞬間だったので転移か転生か選べます。」
転生か転移ね。って選べるんかい!
いくつか確認しなくては・・・。
「まず、転生について確認したいことがあります。
転生を選んだ場合、俺は友人達と共に戦えますか?」
「御学友達が召喚される数十年前に転生すれば可能です。ただし、友人達が召喚されない時間軸を迎える可能性があります。」
成る程、あいつらが来ない可能性があるのか。
それはやだな。
「転移についてですが、移動した先で即絶命とか無いですよね?」
今、俺が置かれている状況は死ぬ寸前だ。
転移して即死亡とかありえる。
「それについてはなんとかしましょう。」
どうやらなんとか出来るみたいだ。
「固有スキルは無限に獲得できる訳ではなくて人によって最大は決まっています。稀にそれがない方はいますけどね。ちなみに、現在の貴方の最大保有数は1つです。」
今は1つしか持てないのか・・・。
「お任せして宜しいでしょうか?」
「ええ。それで貴方が構わないなら。はい、もう創り終わりました。」
もう、終わったのか!?
流石、能力の女神を名乗るだけはある。
目標とかはあるのだろうか?例えば魔王を倒すとか。
「無いですね。貴方を送る世界の魔王は平和主義者ですし。まぁ、自由に生きてください。ただし、貴方の御学友達を召喚した国は魔王を討伐したいようですけどね。もうそろそろ、時間ですかね。それじゃあ、また機会があったら会いましょう。」
気がつくとどこかの草原にいた。
階段から落ちた時に負った怪我はないようだ。
女神は本当になんとかしてくれたらしい。
「ステータスオープン!」
しかし何も起きない。
あれ?おかしいな・・・。
大抵の異世界ものはこれでステータスが見れるはずなんだが・・・。
首を傾げていると封書が落ちてきた。
宛名に俺の名前が書いてある。
差出人は先程の女神になっていた。
拝啓
ステータスオープンとか恥ずかしい事をしていると思ったのでお手紙を書きました。
・・・あの野郎!
俺は手紙の続きを読む。
ステータを見たいならスキルを習得して下さい。
各村や町でスキルは売り買いされています。
勿論、スキル毎に値段は違いますのであしからず。
今回はサービスとして貴方のステータスの一部を載せておきますね。
敬具
職業【鑑定士】
対象の生き物や物を鑑定できる。
自分を見たい場合、目を瞑りステータスオープンではなく鑑定と言えばいい。
固有スキル:−
得たスキルをマイナスにする。
固有スキルを女神に任せた結果、クソスキルを付けられてしまった。