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限界コミュ障オタクですが、異世界で旅に出ます!  作者: 冬葉ミト
第6章 蒸気都市で、便利屋として走り回ります!
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すいません、ここってホテルでしたっけ……?

 食事を終え、これから住処となる部屋に案内されました。しかし私達が目にしたのは、部屋というには豪華すぎました。

 まずドアを開けてすぐゲストルーム。ふかふかのカーペットに、大きなソファーが2脚とダイニングテーブルが配置され、その他の家具や小物にも様々な装飾が施されています。

 向かって右の部屋は寝室で、天蓋付きのクイーンサイズのベッドが私達3人の受け入れ態勢を完了させていました。

 左側の部屋はバスルーム。ジャグジー付きで観葉植物が置いてある広々空間。これスイートルームじゃん。民宿の部屋じゃないよ絶対。



「あ、あの、こんな部屋で、いいんですか…………?」

「ええ。暫く使われなかったゲストルーム、このような機会にこそお客様をお迎えして差し上げなければ、この部屋を建造した意味がありませんわ」



 高級料理に5つ星ホテルのスイートルーム。労働の対価としては十分すぎます。

 エリシアさんは早速ベッドへダイブ。小学生みたい。フーリエちゃんはカーペットに寝そべってふかふかを堪能。ナメクジみたい。


 私は先にシャワーを浴びることにしました。初めてのジャグジーで心が小学生みたいにワクワクしています。広い広い脱衣所で服を脱いで早速ジャグジーへイン



「う、うおおおおおおお…………」



 体を沈めると、湯船の中のお湯が振動していて、それが体全体に伝わってきます。まるでマッサージを受けているような感覚で脱力感が倍。これは高級住宅で採用されるわけですよ……お風呂でマッサージなんて贅沢すぎますもん。

 残念ながら景色は堪能できませんが、平民の私にとっては貴重も貴重な体験です。しかしこれを毎日堪能できるなんて……こんなの無料でいいんですか!?!?

 ふと比奈姉と一緒にお風呂に入っていた日々を思い出しました


(そういえば比奈姉はいつも一緒に入りたがってたな)


 どう考えても一緒に入れないのに、研究で発揮される執着心と諦めの悪さで、無理やり体を重ねて押し込めてた。

 腰を浅くして、私が比奈姉の上に乗って抱きしめられて……。一緒に入ることそのものは嫌じゃないけど、物理的に無理があるのをねじ伏せてまで成し遂げようとするのは、ちょっと迷惑だった。

 それに、姉妹でただの入浴とはいえ、裸の体を重ねるのは……流石に…………


 おまけに夏はシャワーだけなのに、両方が洗い終わるまで片方は空の浴槽で待機して一緒に出る、なんて今でも訳の分からないことをしていた。

 比奈姉からの好意は全力で受け止めるけど、流石にお風呂事情ばかりは受け止め難かった。そんなところも好き、ではあるのだけど。



「リラさーん入りますよー!」

「ひゃっ!?」

「意外と可愛い声も出すんですねぇ」

「なんですかその言い方は」



 エリシアさんが突然お風呂中に凸してきました。ニヤニヤした顔で私を見下ろして、一体なんの思惑があるんですか。



「てか私が入ってるの分かってて、わざわざ乱入してきたんですか?」

「2人までなら入れるでしょって思ったので」



 確かに広いですが、温泉のようにまでは広くないので2人が肩まで浸かるのは無理があろうと思われます。それにエリシアさん身長高いですし。



「フーリエちゃんは誘わなかったんですか?」

「朝に浴びたいと言って爆睡されました」

「フーリエちゃん朝派ですもんね~」



 エリシアさんの髪を洗う音にお湯が波打ち跳ねる音、それから話し声が湿度の中で反響して、湯気で少し白くフィルター掛かった光景と相まって妙にエモい雰囲気になっています。

 人間が水に浸かると良い雰囲気になる説、誰か検証してください。


 ふとエリシアさんがかきあげた前髪から、いつもは隠されている左目が見えました。右目と同じく紅色ですが、少しくすんだ色味です。

 より快活で、端正な顔立ちが際立って、フーリエちゃんほどではないですが惚れてしまいそうなご尊顔です。普段とは違う表情にオタクは弱いんですよ!!!



「あら、もしかして、わたしに惚れちゃいました?」

「いえ、フーリエちゃん一筋なので、そういう類のは」



 両手をで顔を隠して否定。確かにエリシアさんも顔が良いですし、大切な仲間に違いありません。

 しかしフーリエちゃんは最推しでありエリシアさんはフーリエちゃんの同担という違いがあります。こればかりは譲れないんです!



「わたしも本音を言えばフーリエさんと結婚したいですけどねぇ……」

「そういえば小さい女の子が好きなんでしたっけ」

「傾向としてはそうですね。なにせ地元の村では、歳の近い子といえば9歳下の女の子しかいなかったもので。未婚の異性は50歳過ぎのお爺さんだけ。。そんな環境で過ごしてたら普通の恋愛感情なんて持たないですよ」



 それならば若いイケメンと結ばれるために村を出るという選択肢になりそうですが、そこでロリコンになるのがエリシアさんらしいというか……



「では失礼しますよっと」

「おおおおおおっ」



 体を流し終わったエリシアさんが湯船に入ってきました。

 やはり、というべきか、エリシアさんは大きいですね……そして太い。



「……………………」

「………………」



 しばし沈黙が流れました。しかし、以前は怖かった2人だけの空間で流れる沈黙も、今は少し慣れました。

 それはきっと、私が引きこもり時代からすれば考えられないほどにアクティブになったからで、そのキッカケがフーリエちゃんとエリシアさんとの出会いなのは間違いありません。

 フーリエちゃんは何度でも語るように、私に魔法という力を与えてくれて、偶然か必然か比奈姉の存在を教えてもらったのです。

 エリシアさんは色々とブッ飛んでますが、その自由奔放さと豪快さで私のネガティブな部分を照らしてくれます。ありがたいご縁に恵まれたなと思います。



「ありがとうございます、本当に……」

「……何に対しての感謝なのか分かりませんが、素直に受け取っておきますね」



 感謝を伝えたはずなのに、なぜかすっごいニヤニヤされてます。なんで。



「フーリエさんにも伝えるんですよね?」

「え、そりゃ、もちろん?」

「そうですよねぇ~? 前にフーリエさんにキs」

「はぁっぷっ!」



 思わず顔を水中に沈めてしまいました。なんとなく聞いたらいけないような、そんな単語が聞こえた気がするのです。オタク特有のフラグ察知能力が働いてますねぇ……


 結局、揃ってのぼせて下着姿のまま入眠し、フーリエちゃんに呆れられたのでした。

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