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限界コミュ障オタクですが、異世界で旅に出ます!  作者: 冬葉ミト
第3章 魔法使いの聖地に来ましたが、大大大事件の予感です!
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森で素材採集はRPGの定番ですよね!

 朝日が昇ってしばらく経った後。深夜にアサクラさんから依頼された魔鉱石(まこうせき)を集めるべく、【アバンスの森】へ向かいました。今日はエリシアさんも最初から同伴です。


 森ではありますが、ところどころに鉱石が転がっている不思議な森で、その鉱石の中に魔力を多く含んだ魔鉱石があるそうです。が、パっと見では区別がつきません。

 フーリエちゃんは狭い森の中でも、器用に箒に横乗りして、昨日見せてくれたオリジナルの魔法で魔鉱石の在処を辿っていきます。

 おかげでサクサクと収集が進み、フーリエちゃんもしたり顔。どこまでもかわいいですね。



「リラさんリラさん。フーリエさんと初めて会った時ってどんなでした?」

「初めて会ったときは、救世主みたいで……ギルドに入りたいけど緊張して踏み出せずにいたところに話しかけてきたのがフーリエちゃんだったんです。あまりの美少女で、一目惚れしちゃいまして、それでギルドの人に宿泊ですかって聞かれてアワアワしてフーリエちゃんと一緒の部屋にしてくださいとか言っちゃったのに、フーリエちゃんは受け入れてくれたんです……! 慈悲深くて優しい天使……ふ、フーリエちゃんがいなければ姉のことも知らなかったし、フーリエちゃんが全ての始まりなんです……!」

「すっごい早口……でも分かりますよ! フーリエさんってそういうところありますよね!」

「そこの2人も手伝ってよ。何で私が率先して動いてるのさ……」



 ブツブツと文句を言うフーリエちゃんもかわいいです。それにフーリエちゃんの魔法がないと進まないのは、紛れもない事実なのですから仕方ありません。



「目標までの経路が分かるようにしないとなぁ。これだと範囲までしか分からないし」

「魔法には研究熱心なところ、わたし大好きです!」

「それはどうも」

「ツンな態度も素敵……!」

「無敵なのこの人?」



 フーリエちゃんが無敵だから、こちらも何をされても最高に感じてしまうのです。フーリエちゃんが悪いんですからね……!


 そんなこんなでフーリエちゃんの限界オタクをしながら集めて、残りは1個となりました。しかしこの残り1個というのが、なかなか見つからないのです。RPGあるある。

 フーリエちゃんの探知魔法によれば近くまで来ているそうですが、足元に転がる鉱石が少ないです。石の無い場所に魔鉱石とは一体?



「…………! 足音がします。恐らく魔物でしょう」

「どっち? あ、こっちぽい」



 フーリエちゃんの杖の反応が強くなりました。指し示すのは草むらの中。こうきたら間違いなく魔物でしょう。


 ガサガサガサガサッ!



「来たッ!」



 現れたのは、鉱石を鎧のように身にまとった魔物でした。形容するなら、二足歩行になった熊と同じくらいの大きさのトカゲ。体に付いた鉱石の一部は光っており、これが魔鉱石なのでしょう。



「アポ・オイロックか。エリシア出番だよ。魔鉱石を砕かないようにね」

「ご指名ありがとうございます! エリシア・ラーダ、行きます!」

「グオオオオォォォ!!!」



 エリシアさんがマシンガンに弾倉をセットするのと同時に、アポ・オイロックがエリシアさんに突撃。エリシアさんは体を半回転させてひらりと交わすと、すかざず射撃。何発か連続で命中するも、鉱石で守られた体を貫通するまでには至りません。

 私も魔法で援護しようとしましたが、フーリエちゃんに制止されました。曰く、アポ・オイロックは魔法が一切通用しないそうで、物理攻撃でしか撃退する方法が無いとのこと。


 アポ・オイロックは体を丸めて転がり、その体躯とは裏腹にすばしっこい動きを見せます。

 エリシアさんはその動きに翻弄されて、空を切る弾が多くなってきました。しかしそれを逆手に取り、敵が余裕を見せている間に素早く弾倉を交換。もう一度体制を整えます。



「今度の弾は貫通弾。一発で眉間をブチ抜いてやりますよ」



 どうやらこのアポ・オイロックには、攻撃を一回するごとに、体を丸めて周囲を一周するクセがあるようです。それを利用して真ん中で攻撃を交わしつつ、銃口を敵に向け続けて急所を打ち抜くタイミングを伺います。

 動きがすばしっこいゆえに翻弄されてしまいそうですが、冷静になれば隙が見える。度胸が試される魔物なのかもしれません。


 そして何度目かの攻撃。正面切って飛び掛かる瞬間を見逃しませんでした。



「くたばれ!」


 ズドドドドドドドドドド!!!!!!!!


 エリシアさんの紅い左目がモノクル越しにキラリと光ると、やり過ぎなくらいの弾数がアポ・オイロックの眉間を打ち抜きました。アポ・オイロックはエリシアさんの目の前に落下して息絶えました。



「初めて会った時から銃の腕前はかなりだと見込んでいたけど、予想以上だね」

「お褒めにあずかり光栄です!」



 そう言って敬礼するエリシアさんの姿は、マシンガンが無ければ活発な清楚系美少女にしか見えません。その見た目とのギャップがエリシアさんの唯一無二の個性なのでしょう。私も何か個性が欲しい……オタクもコミュ障も、意外とそこら辺にいるしなあ……



「回収は終わったし、さっさと帰ろう。ふあぁ~あ、帰ってひと眠りしよ」

「フーリエちゃんはいつもお眠ですね。そこがかわいいんですけど」

「赤ちゃんみたいに言うな。どうせ寝る子は育つとか言いたいんでしょ」

「私は小さいフーリエちゃんが好きです!!! でも成長したフーリエちゃんも見てみたい!!!」

「エリシアもそう思います!!!」

「うるさいよ。魔物が寄ってくるでしょ」

「その時は2人で守るから大丈夫です!」

「無敵かよこの人達」



 とにかくかわいいフーリエちゃんを囲んでアバンスの森を後にしました。

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