表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者を否定されて追放されたため使いどころを失った、勇者の証しの無駄遣い  作者: 網野ホウ
番外編 この世界で唯一前世の記憶を持つダークエルフ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

411/492

来世はエルフと言われたが、ダークエルフなんて聞いてねぇ! あの力は、きっとあたしから離れることはない

 周りが騒がしい。

 そのおかげで目が覚めた。

 その前に、柔らかい何かに包まれているような感触があった。

 確か土がむき出しの地面の上で倒れていたはず、とぼんやり思った。


 瞼が開いて真っ先に目に入ったのは、お父さんの顔だった。

 怒ってるような、安心したような、そして泣きそうになってる複雑な表情をしていたのは覚えてる。


 あたしは、地面に片膝をついているお父さんに抱きかかえられていた。


「え……っと……、おとう……さん?」


「お前は……この……。いや……無事で何よりだった」


 そのまま抱きしめられた。

 あたしは、そこでようやく安心することができた。

 ちょっと息苦しかったけど。

 そのおかげで気持ちがようやく落ち着いた。

 落ち着いたと思ったら、血の匂いがそこらに漂っていることに気が付いた。


「おとうさん……。あの……、えっと……」

「お前はっ……! 立ち入っちゃダメだと何度も言っただろう! お前だけじゃない! 一緒にここに来た子供達も、みんなの家族に叱られてたぞ! ホントに……みんな、心配かけさせてっ……!」

「……ごめんなさい……。リーモちゃんは……?」

「あぁ、あの子も、みんな無事だ。ところで、一体何があった?」


 ちょっと苦しい父さんの抱擁からようやく解放された。

 まともに見れた父さんの顔からは、現状を見て戸惑っているようだった。

 あたしも、その様子をようやく見ることができた。

 ドラゴンの体は遥か上の崖の上。

 そこから、未だに血が流れ、その辺りの地面一帯を覆っていた。

 実に、おびただしい、という言葉がふさわしい。

 そして、崖のそばにはドラゴンの首がごろんと転がっていた。


「みんなが無事なら何の問題もないんだが……。リーモちゃんはほとんど何も覚えてないらしくてな。何かの光がこの辺りから崖の上に向かって飛んで行った、みたいなことを言ってて、それ以外は覚えてなかったらしい。お前と一緒で気を失ってたんだ」

「え……えっと……」


 どこまで説明したらいいか分からない。

 自分も、何も覚えてないフリをしようか、とも考えた。

 気を失う前までなら、何があったのかはしっかり覚えている。

 でも、誰が、あたしがあのドラゴンにトドメを刺したって話を信じてもらえるだろう?


「ちょっと、マッキーちゃんのお父さん。その子も子供なんだから、落ち着いてきちんと説明なんかできないんじゃないか? それにほら、この首の断面見てみなよ」

「断面?」

「あぁ。鋭利な刃物で一刀両断だ。弓矢じゃこんな風には切断できない。刃物ならできるだろうが、淀みのない一振りでなきゃこんな風にならない。……通りすがりの誰かが仕留めてくれたとしか……」

「刃物で断ち切って、そのまま立ち去った、と? 立ち去ったと思われる足跡はどこにある?」

「む……んー……」


 大人達が何やら議論している。

 そんな話になったら、もうこっちの話を聞く耳は持たないだろう。

 知らないふりをするのが正解だ。


「風魔法で、刃物のように、ってのは……」

「ドラゴンの首だけを?」

「あぁ……それだと、周りの木々も切断、あるいは傷がついてなきゃおかしい。あ、マッキーちゃんのお父さん、無事だと思うが、マッキーちゃんを連れて帰って、今日一日、様子を見てやったらどうだ?」

「あ……あぁ……済まない。じゃあここはみんなに任せていいか?」

「平気平気。今ここにいるのは……大体三十人か。これだけいりゃ、ドラゴンの解体も運搬もできるだろ。他の子の親御さんも、子供らに付き添ってるし、一緒にゆっくり休みな」


 この会話の流れだと、あたしはこの件の部外者として見てくれるだろう。

 あたしがこの件で何を言っても、子供の言うことだからなぁ、と聞き流してもらえるはずだ。


 と、思ってた。

 父さんがあたしをおんぶしながらその場を立ち去ろうとした時だった。

 誰かの声が聞こえた。

 父さんには、その声はおそらく聞こえてなかったと思う。


「ダークエルフ、か……。特異な力を持ってる、って言われちゃいるが……」


 何人かからの視線が、あたしに向けられてる気がした。

 それと同時に、その場の空気が変わったのを、あたしは背中越しでも感じとれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

よろしければ、ブックマーク評価感想をいただけると嬉しいです

cont_access.php?citi_cont_id=229284041&s

ジャンル別年間1位になりました。
俺の店の屋根裏がいろんな異世界ダンジョンの安全地帯らしいから、握り飯を差し入れてる~


ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] 評価を得られている作品は やはり読みやすいですね! 私も頑張って書いてみたいと思いました!
2020/10/10 09:54 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ