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勇者を否定されて追放されたため使いどころを失った、勇者の証しの無駄遣い  作者: 網野ホウ
店の日常編

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千里を走るのは、悪事だけじゃない その13

 もう一軒のおにぎりの店の報告を聞いた仲間達は憤慨してたが、お前らは今はそれどころじゃねぇだろうに。

 作戦立案開始に乗り遅れんじゃねぇぞ?

 こっちも、そのためのおにぎりの炊き出し……は、十分にあるな。

 じゃあ俺が今やることと言ったら……。

 いつもの通りじゃねぇか。しょうがねぇな。


 ※※※※※ ※※※※※


「話は聞いたぜ。俺も参加させてもらうわ」

「もちろん私も」


 ゲンオウとメーナムも、思い返せば随分古い付き合いになったな。

 準備期間の三日間、初日の昼前にやってきた。

 今朝の作戦会議は五十人くらいの集会だった。

 この時間あたりから、討伐参加に名乗りを上げて店に来る冒険者達が多くなってきた。


「大丈夫なんかな?」

「何が?」


 人数が多くなりゃ、それだけ居場所の面積も広くなきゃならん。

 店の前のスペースの話じゃねぇ。

 討伐の舞台作りの話だ。

 が、ずぶの素人が口出ししたって笑われて終わりだろ。

 なんせ向こうはプロの集団だ。

 こっちが言うべきことは既にすべて伝えてある。


「何が大丈夫っての? アラタ」

「んぁ? あ、ああ、すまん、ヨウミ。考え事」

「心配事なら何でも言わなきゃならないからね? 分かってる?」

「はいはい、分かったよ」


 いろいろと懲りた。

 分かってますよっと。


「んじゃキリキリ働け。お客さん待ってるぞ」


 みんながみんな、ドラゴン討伐に首を突っ込みに来たわけではなく、今までと変わりなく、ダンジョン攻略やフィールド体験を積む目的で来る冒険者もいる。

 つまり、俺の忙しさはあんまり変わらない。


「へいへい。えーと、次のお待ちのお客さまー」

「はいっ。自分らもドラゴン討伐に参加したいんですが!」

「それはこっちじゃねぇ! 向こうだ! って……エージじゃねぇか。お前らもか」

「収入、でかそうだから」

「そろそろ後輩達に、私達の先輩と引けは取らないところ見せつけないと、と思いまして」


 続々と討伐志願者がやってくる。

 それでも、あの気配のでかさを考えるとまだ足りねぇんじゃねぇか?

 普通に考えれば、人数は多ければ多い方がいい。

 しかしどれほど集まるものか。

 冒険者達は、今朝の五十人くらいの人数では、多少なりとも不安があったようだった。

 ところが、だ。


「お姉さまー!」


 どこかで聞いたような声。

 しかも女性。


「い゛?!」


 ヨウミはどこから声を出してんだ。

 って……。

 ヨウミのファンだっていう女冒険者じゃねぇか。

 随分久しぶりだな。


「お姉さまがお困りだって話を聞いて、いても立ってもいられず……」

「えーと……あは……、うん、えーと。……アラタ」

「何だよ」

「この場合、ありがとうって言うのは正解かなぁ?」

「正解ですよお」


 当人に聞かれるような声で俺に聞くな。


「あ、あの……テンちゃんは……いますか?」

「え? えーっと、ドラゴン討伐完了まではバイト休むつもりでいるようだから、そこら辺に……って……」


 人馬族の男がいた。

 確かこいつ……。


「ワッツ。テンちゃんのことは諦めろって。それより、ドラゴン退治の方に集中しろよ」

「ぐむ……」


 そうだ。

 こいつ、テンちゃんにプロポーズっつーか、交際の申し込みしに来た奴だったよな。

 つかここにきて、まさかファンクラブに加入している冒険者達が力になるとは思わなかった。

 もっともおにぎりの店の噂もごちゃ混ぜになって、その重要度はどっちが上か分からない奴らが多かったが。

 それでも、ミーティングごとに増えていく参加者を新たに増えて言った上での作戦変更をスムーズに進めていくリーダーの手腕ってのは大したもんだ。

 そうして何事もなく三日の準備期間も過ぎ、いよいよ討伐日を迎えた。


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ジャンル別年間1位になりました。
俺の店の屋根裏がいろんな異世界ダンジョンの安全地帯らしいから、握り飯を差し入れてる~


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