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勇者を否定されて追放されたため使いどころを失った、勇者の証しの無駄遣い  作者: 網野ホウ
紅丸編

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行商人とのコンタクト その4

 普通、テレビっていうと、アンテナとか電源とか、とにかくコードがつきものだ。

 ところが受映機とやらは、コードがない。

 魔力の力を利用してるとか何とか。

 まぁ、どこでも見られるコード不要のテレビってとこだな。

 晩飯を食った後、フィールドでみんなとミーティング。

 もちろん受映機を持ってった。


「……番組表、ほしいね」

「思ったより……面白そうじゃないなー」

「俺はあ、勉強になるの、ありそうだと思うぞお」


 意見は様々だ。

 番組はというと、ドラマみたいなのはあまりない。

 ニュース、政治評論、完全に解明された魔物の生態系のドキュメンタリーっぽいの、冒険者同士の格闘関係の試合や大会。

 適当にチャンネルを変えながら見ていったところ、目についたのはそんなとこ。

 しかしコマーシャルでよく目にしたのが、まるまる商会関係のもの。

 番組のスポンサーだからだろうが、もちろんまるまる商会関連企業単独の番組はない。


「日中も夜も、まるまる商会かあ……」

「あ、店舗案内だって」

「時間帯を考えれば、十分か五分間番組だな」


 放映中の画面の端は夜九時の十三分前。

 レポーターらしき人物が、地上にある船に近づいてるところだ。

 船の形状が、紅丸に案内してもらった船と似ていた。


「これ、アラタが行った船じゃないの?」

「別のとこだろ。塗装の色も違うし……防具が展示されてるみたいだから……冒険者ご用達かな?」

「あたし達には必要ないよねぇ?」

「まるっきりないって訳じゃないでしょ? ダンジョンやフィールドのガイドしてくれって言われたら、ある程度の装備は必要でしょ」


 マッキーの言うことももっともだ。

 だが場所が分からんな。


「俺らが探っていってもいいぜ? 地中からだがな」

「ナラオレモ」


 いや、そうまでしなくても。


「あ、店の一覧が出たよ?」

「店っていうか、船が着陸してる場所ってことですよね?」

「アラタガ、イッタ、フネモアルゾ」

「どこも一か月滞在だって」

「でも遠いところは一日で往復は無理よね」


 ふむ。

 俺が行ったところなら、昼休みの間に飯を食う時間と往復する時間を合わせても十分間に合う。

 だが必要なものを買い求めるために、そこに行くとしたら、確かに一日で往復と買い物の時間は無理だ。

 なら……。


「ンーゴはちと無理だろうが、でも休みの日を入れるとしたら……」


 テンちゃん、ライム、マッキー、モーナー、クリマー、ミアーノ、ンーゴ、サミー、ヨウミ。

 二組にすると、四人か五人。

 留守番が一気に半分まで人員が減るのは、ちと不安だな。

 三組にすれば三人ずつ。ふむ。


「……三人ずつ休暇、しかも三日くらいまとめて休みにすれば……どうなる?」

「え?」

「いいんですか?」

「ダイジョブ?」


 みんなから不安な声があがる。

 素直に受け取るなら、私達がいなくても大丈夫? ってことなんだろうが……。


「アラタに接客させるの、不安なんだけど」


 やかましいっ!

 人が親切に、お前らを労わるために休暇を与えようってのに、なんだそれっ。


「休暇、要らなきゃ遠慮なく申し出てくれ。なしにするから」

「すいませんでしたーっ!」


 まったく。


「今まで休みなんてなかったからな。けど休んでもらうだけじゃなく、見聞を広げてもらうってこともある。俺も物を知らな過ぎた。英気を養うだけじゃなく、さらにもっと充実した休日を過ごしてほしい、とも思うしな」

「なんか、言うことがどこかの会社の社長みたいな感じー」


 ヨウミ……茶化すなよ。


「少しくらいなら交通費とか、仕事の必需品とかなら補助費みたいな感じでお金は出してやる。休みのローテーションも決めとかないとな」


 って、こいつら急に盛り上がり始めやがった。

 楽しいのは分かるが、お喋りで盛り上がったら、収まるのは深夜になるだろうがっ!


「でも休暇は有り難いけど、いきなり三日くらい休めって言われても……」

「アラタにどうのとかは別として、そんなに長く不在になってもお店大丈夫かなぁって心配になるよね」

「アラタさん、まず、そのローテーションを決めて、それから今日アラタさんが行った船のお店にいくのはどうでしょう? 買い物はその後でも問題ないでしょうし、その食堂なら昼休みの短い間でも、ゆっくりできて戻ることもできるでしょうし」

「お前らがそれでいいってんならそうするさ。たしかに三人ずつとはいえ、いきなり日を跨いで不在ってのは、待ってる方も不安になるかもしれんしな」


 最初は何でも気軽にやれるようにするのがいいのかもな。

 休みをもらっても、いつも通り仕事をしてる者に悪い気がする、なんて言われたら、休暇を与えた甲斐もないし。


「じゃあさ、まず人見知りしがちなサミーと一緒に行動しやすい組から作ろうよ」

「ミアーノさんとンーゴさんとテンちゃんですね」

「オレ、イッショハ、ムリダロ」

「じゃああたしとミアーノとサミーの組……」

「おりゃあンーゴと一緒でいいぜ? つか、サミーは他の奴らとも仲良くすべきだと思うんだがよぉ」

「じゃああたしー」

「じゃあ、あたしとマッキーとサミーで一組目ね。順番は後で決めましょ?」

「残る人達のバランスとかも考えて……アラタとヨウミちゃんは……」

「別の方がいいと思う。店の留守番の主力のつもりだから、あたしとアラタ一緒にいなくなったら、店が困ることありそうだし」


 またも盛り上がる。

 まるで小学生たちの遠足の準備だな。

 でも……。

 こんな光景も、悪くない。


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ジャンル別年間1位になりました。
俺の店の屋根裏がいろんな異世界ダンジョンの安全地帯らしいから、握り飯を差し入れてる~


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