1-9 「とりあえず、建物全部壊しておく?」「それはやめなよ…ばあちゃん…」
はっ、と我にかえってた僕がばあちゃん?止めなかったら、今頃、本当に死人が出ただろうなって思うと、本当に恐ろしいよ。
で、ようやく魔法を止めて、つやつやした表情のばあちゃん見てたら、破壊された建物の中から、校長先生と腰巾着教頭コンビが出て来たんだ。
髪はよれよれ
おまたの辺りに染みが出来てて、何て言うか申し訳ない気持ちになった僕だったんだけど、
「な、なんなんだ!たかが貧乏平民のいじめごときで物騒な魔法ぶっぱなすいかれ野郎め!」
うん、前言撤回。
殴りたいなって思ったらね、ばあちゃんがウインクして僕を止めるんだ。あんたは手を出したら駄目よって。
「私は契約書通りの時間に、契約書通りの事を行使したまで、貴方との話し合いに於いても事実を伝え真摯な対応を求めましたが、な に か?」
「餓鬼のたわごといちいち聞いてたらこっちがもたんわ!いじめなんか知らんわ!それに、あんな古くさい契約書、サインすれば帰ると思っただけだからサインしたんだ!あんなん本気でやるやついないだろ!普通!?馬鹿だろ!一人で学園相手になんて!」
そんなブチキレた校長に、ばあちゃん?はふーんって言いながら「へぇー嘘ついて契約結んだんだぁ~へぇ~」なんてにやにやしながら大袈裟に驚いたんだよね。
そしたら…
さっきまで晴れてた空が急に暗くなって、いつの間にか、全身真っ黒な小さい少女が、校長の首もとに鎌を突きつけて、
「嘘の契約をしたのか?」
って、地の其処から響くような低音で言ったんだ。
本当に怖くて、思わずばあちゃん?にしがみついたら、ばあちゃん僕を抱きしめてくれて…なんだか知らないけど泣けてきちゃった。
で、もう一回「嘘の契約をしたのか?」って言われた校長は、顔を青くしたり白くしたりして、契約は正当です正当です!って言いながら泡吹いて倒れちゃった…
そんな校長をほおっておいて、ばあちゃんは目の前の女の子に向かって一礼し、ご足労おかけして申し訳ありませんと謝ると、少女はにやっと笑ってました。
「おぬし、まだこちらの世界におったか。早くこちらに来ればおぬしの好きなことは沢山できるだろうに…」
「いえいえ、私はただの年寄りでございます。あなた様の様な高貴な存在には到底なれませんよ」
そう言うばあちゃんもニヤリニヤリしてるから、案外仲が良いのかも?って思ってたら、少女が僕に向かって「こやつの事大事にしてやってくれ」なんて言って来たんで、僕慌てちゃって、ばあちゃん大事にします!って大声あげちゃったんだ。
そんな僕の笑顔を見ながら消えていく少女と、もはや瓦礫の山になっている魔法学園を目の前に、ばあちゃんと僕は呆然。
「とりあえず、建物全部壊しておく?」
「それはやめなよ…ばあちゃん…」
そんな事を言いながら、とりあえず家に帰ろうか?と言うばあちゃんの手をひいて帰ろうとしたら、手の高さが違って焦った僕を見て、ふふふと笑うばあちゃん。
てかまだ本当にばあちゃんだかもわからないままなんだけど…ま、笑顔だからいっか。
明日は明日の風が吹くって、じいちゃんも言ってたし、ま、何とかなるだろうって思った僕でした。