1-3 上を行く者、下を這いつくばる者
ある日の放課後、
「ぉぃ!あんまり調子のってるなよ!小僧が!」
「先輩も僕も小僧じゃないですか?なにを当たり前な事言ってるんですか?」
「ああん!喧嘩上等天上天下唯我独尊のタイガ先輩に何口きいてるんだコラ!!」
「口をきいてはいけないんだったら、話けなければいいじゃないですか?これからアルバイトがあるんで、用がないなら僕は行きますよ」
そう言っても離してくれないのはわかってるけど・・・本当にどうしよう?って悩んでます。
目の前には15人ほどの怖い顔の先輩方がいて、僕を囲んでるんです。
さっきから訳の分からないことを言ってますし、用がないなら話しかけなければいいのに、僕に執拗に話してくるんです。怖い顔を演出しようとして僕の顔にわざと近づいて話をしてくるんですけど、じいちゃんに修行を付けてもらった時の方が数十倍怖い思いをしてたから、当たり前の対応しかしなかった僕にイライラしてる先輩は、ぼくの襟首を捕まえて、学園の裏庭にひっぱっていきます。
裏庭に連れていかれながらも、アルバイト先の店長さんに連絡できず迷惑かけちゃうな・・・って思ってたら、目の前に見覚えのある顔があったので、思わず声をかけたんだけど、
「お前に親しく名前を呼ばれる仲でもないし、身分も違う、気軽に私の名前を呼ばないでほしい」
そう言われ、いきなり腹にパンチをくらった僕は驚いて思わずうずくまってしまいました。
「さすがは殿下!」
「調子くれちゃってる小僧をワンパンで沈めるなんて超天才です!!!」
なんて言う不良な先輩方の声に何も言わず、殿下と呼ばれている彼はうずくまった僕に蹴りを入れてきます。
「お前の様な平民ごときが私に勝つなどあってはならない事だ」
げしっ!
「我は上を行く者、お前は下を這いつくばる者」
げしっ!げしっ!
「這いつくばる者は大人しく這いつくばっていればよいのだ!」
げしっ!げしっ!げしっ!げしっ!
「消えろ!消えろ!消えてしまえぇぇぇぇぇえlっぇぇl!!!!」
そんな彼の言葉がどんどん大きくなり、周りからも手や足が出てきて、僕はもうどうにも出来ませんでした。
ばあちゃんには「人に上も下もないんだよ。自分をしっかり持って努力を続けていけば、きっとお前は周りから好かれる人になれる。身分で人を差別しちゃ駄目。その人を見れる人間になりなさい」なんて言われてきたけど、みんながみんなそういう風に思えないだよね・・・
最初はじいちゃんの修行のほうが痛かったって思ってたけど、自分を恨んで蹴りを入れて来る殿下や取り巻きの先輩方の悪意が痛くて・・・怖くて・・・それに反撃出来ない自分に、情けなさを感じながら、僕の意識はだんだんなくなっていきました・・・