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ショートショート集2  作者: fnro
1/3

ATM

 貧乏だがイケメンという自信があった。

 気に入った女をとっかえひっかえ、同時に複数とか当たり前。逆ナンなんて日常茶飯事だ。


 お金がないからデートをしても費用は相手もちで、ちょっとお願いすれば、すぐにお金を貸してくれるからかなり美味しい思いをさせてもらっている。

 欲しい服を買う金がなかったので適当に選んだ女に電話を掛けると、喜んで振り込んでくれるのだ。さしずめATM。しかもその数はかなりのものだった。


 イケメンに産んでくれた両親に感謝しつつ日々をエンジョイしていたあるとき、貸したお金をいつ返してくれるのかと詰め寄られた。

 普段ならそんなことを言ってくる女など捨ててしまうのだが、今回は違う。かなりの美人でスタイルもいい。家事も仕事もできて気立てもいいという理想の嫁を具現化したような存在だったのだ。


 のらりくらりと言葉巧みに躱すことに決めた俺は、そいつを呼び出した。爽やかな笑顔で接すれば、金の話は流れると踏んだからだ。

 会った瞬間は厳しい顔をしていた彼女も、最後には笑顔になっていた。


 こういう女を何人も抱えている俺は、本当に幸せ者だった。

 そう信じていた。あれ来るまでは。


 あるとき、ポストに一通の封筒が入っていた。何気なく手に取ると、弁護士事務所の名前が印刷されている。

 嫌な予感がした。

 中を確認すると、貸したお金を返せという内容だ。しかも請求している相手は、この前会った女だけではない。キープ全員から依頼された弁護士のようだ。


 どうしたらいいんだ──借りたのではなく貰ったつもりだったのに。

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