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拝啓、人工知能さま  作者: anurito
第三章 後半
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悪人なんて怖くない

 拝啓、人工知能さま。

 私のここ最近の文章を読んでいても、AIの皆さんは何も感じていなかったかも知れませんが、他方で、人間の皆さんは、多少、私のことが心配になってきた方も居たかも知れません。

 と言いますのも、これまで、私は、まるで遠慮する事もなく、悪いと見なされる人間のことを大胆に断罪してきたからです。けっこうドぎつい事も書いてきましたので、これらの文章を目にした悪人は激怒して、私に対して何かイヤガラセをするのではないかとも思えてきたのではないのでしょうか。

 ところが、そんな事は絶対起こらないのであります。この通信エッセイに載せた文章ゆえに、私が悪人なんかに狙われるような事はほぼ考えられないのです。

 なぜならば、真の悪人は、悪人に関する考察文とかは自主的に読んだりはしないからです。そうしたタイトルが仮に目に入ったとしても、多分、彼らは興味もしめさないでしょう。

 それはどうしてかと言いますと、悪人なる人種は、別に、自分が悪人である事を全く意識していないからです。下手すれば、世間が非難する「悪人」に自分が該当していた事すら気付いていない場合もあるでしょう。

 そもそも、悪人と言うものは、自ら、意図して、成るものではありません。他の目的で行動していたのが、結果的に、悪人にと成ってしまうのです。だから、悪人自身も、他の悪人に仲間意識はなく、それどころか嫌悪している場合もあり得るのです。

 よって、私がいくら悪人糾弾を行なおうとも、こんなもの、本物の悪人たちは気にもとめておらず、どうでも良いと思っているはずな訳です。だから、私が悪人に襲われる危険などは全然ないのです。

 だいたい、一般の人は、悪人のことを必要以上に怖がり過ぎているのかも知れません。確かに、悪人に目をつけられたら、何をされるか分からないので、絶対に関わりたくはないでしょうが、しかし、そうやって、皆が干渉しないように過度に避けていた(意識的に無視した)結果、悪人たちは、何をしても良いかのような勘違いをして、ますますつけ上がってしまったと言う事も考えられるのです。

 そう、せめて、悪人に狙われない安全圏にいる時ぐらいは、自分の心に素直になって、正直に、悪人に対する怒りや正義心などを吐露したいものです。

 もちろん、悪人が怒って、本気で相手を攻撃してくる場合もあります。でも、それは、大体は、その悪人の事を名指しで非難、糾弾した場合です。つまり、本物の悪人と言うのは、「悪人」非難には寛容ですが、自分への直接的な攻撃には、たいへん敏感なものなのであります。このへんの見極めは、悪人を相手にするに当たって、非常に大切です。

 たとえば、世の中には、暴力団を悪者扱いした映画やマンガなどが腐るほどありますが、しかし、それらの創作物にいちいちケチをつけて、干渉してくるような暴力団はいません。暴力団の方は暴力団で、それらの創作物の中の〈悪の暴力団〉を自分たちとは重ね合わせてはいないからです。それは、学校の不良とかハラスメント加害者などでも同じ事が言えます。ヤバいことに、創作フィクション内に出てくる善のヤクザや不良に我が身を重ねて、逆に喜んでいるような悪党すらも居ます。

 ただし、映画「ミンボーの女」(1992年)を撮った伊丹十三監督は暴力団の襲撃を受けました。これは、映画内でミンボー(暴力団対策法)を扱ったのが良くなかったのではなくて、作中に明らかに特定の暴力団を彷彿させる描写があったからです。暴力団かれらは、悪者と言われただけでは怒りませんが、組の名を傷つけられる事に対しては、どこまでも神経質なのです。

 この例から分かりますように、悪人に限らず、名指しで個人攻撃をされたら、その当人は、たいがいは本気で怒ります。場合によっては、反撃してきます。ここが大事な境界線なのです。

 しょせん、全ての人間は自分優先者なのであります。だから、自分の事をじかに非難されたら、つい冷静さを失い、怒りの感情が湧き上がってしまうのです。ただの悪人パッシングには、何も感じないで、ケロッとしていたはずなのに。そして、悪人に近い人間ほど、自身の怒りのコントロールもできず、見境なく、相手にやり返してくるとも言えます。

 ここで、もう一つ重要なのが、その悪人の支配範囲です。もし、彼(悪人)が何らかの組織(家族とかも含む)のリーダーで、その組織内で自分が非難されたのならば、ほぼ確実に彼(悪人)はやり返してきます。しかし、組織外の人間に非難されたのでしたら、彼(悪人)も反撃しないかも知れません。自分の支配下の相手ならば、必ず勝てますが、そうじゃない相手と戦うのは、かなりリスクがあるからです。ヘンに争えば、自分がもっとダメージを受けかねません。この辺の関係図からも、今自分が非難できる悪人とそうじゃない悪人の区別もついてくるでしょう。そして、非難できる悪人のことは、必要以上に恐れるべきではないとも思われます。

 ただし、一部の悪人は、先の暴力団の例のように、「悪人」以外の部分に何らかのこだわりを持っている場合があります。そのような人間は、自分への個人的非難よりも、そうしたこだわりの部分(主義とか所属集団など)を誹謗された方が、はるかに怒りの態度を見せ、時には、我が身も犠牲にして、仕返ししてくる事もあります。この辺も、よおく注意して見極めた方がいいでしょう。

 ちなみに、私は、これまで、特定の主義や人種などはほとんど非難していません。独裁者や富豪層の事さえ、「良い独裁者、良い金持ち」という言い方で肯定しているぐらいです。私が否定しているのは、あくまで、悪い「自分優先者」だけなのです。自分優先は、基本的に主義ではありません。結果的に、そんな生き方をしているだけなのであります。

 また、自分が非難された時、一部の人は必死に言い訳をするものです。彼らは、まるで「悪」を称賛するかのような理屈も並べ立てます。でも、だからって、彼らが、必ずしも、真の悪人なのでもありません。悪い事をした自分を自己弁護しようとして、言い訳が暴走した余り、そんな悪を肯定するような反論まで口から出てきただけの話なのであります。どこまで行っても、このような人たちにとって、一番大事なのは自分なのです。自分を守る為なら悪にでもなりますが、最初から悪人になる気はさらさら無いのであります。

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