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拝啓、人工知能さま  作者: anurito
第三章 後半
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上に立つものの戦略

 拝啓、人工知能さま。

 人間社会は、どんなに社会のシステムを変えたとしても、結局は、そこには上下関係があり、上に立つ人間の方が得するような仕組みになっている事は、およそ、ご理解いただけたのではないかと思います。その構造を壊さないようにしているのが、上にいる連中ばかりではなく、下層の人間も暗に協力していると言う点についてもです。

 しかし、とは言いましても、この上に立つ者(指導者や富裕層)が特に得をするような組織(集団)の構造を、上に立つ者自身の方が、やはり、積極的に構築していると言う事も、間違いのない話なのであります。まあ、当たり前でしょう。せっかく、自分たちが心地よい環境なのに、それをわざわざ崩そうとする人間なんて、よほどの事情がない限り、いるはずがないのです。

 上に立つ者、いわゆる独占者たちは、組織(集団)の運営を任されたり、あるいは、財産(お金)をたくさん所有しています。そして、それだけで、もう、下層の人間よりは、圧倒的に有利なのであります。

 組織の運営を任されている(政府や指導者など)と言う事は、つまりは、その組織の最終的な決定権を握っていると言う事です。仮に、その組織が「民主的」をスローガンにしていて、実際に組織構成員の意見もきちんと回収する作業を行なっていたとしても、最後の最後で、組織の運営管理を担っている連中が、自分の判断で組織の運営内容を決定できる訳です。絶対的に完璧に公正な判断のできる人間なんて居ませんので、どこかここかで、彼ら(独占者たち)がつい自分たちに有利な決定の方に走ってしまうのも当然なのであります。

 とは言え、これが、人間の能力(判断力)の限界として、やや不公平な決定を下してしまうと言うのであれば、まだ、やむを得ないと思えたりもするのですが、組織運営者たちが、もとから悪意の持ち主で、意図的に、自分たちに有利な判断ばかり選んでいるようであれば、それはまさに最悪なのです。そして、現実に、そんな最低な国家や組織や集団などが、人間の社会では、至るところに存在しているのであります。

 このような悪質な指導者や組織代表者は、その汚い本性が露呈した時点で、さっさと追放できればいいのですが、残念ながら、彼らを追放してもいいかどうかの決定権や判断の仕方まで、彼らが握ってしまっています。よって、エゴイスティックで邪悪なリーダーほど、一度、トップの独占者の地位についてしまいますと、ますます、引きずり下ろせなくなってしまう訳です。

 さらに、これに、財力や武力の独占の問題も絡んできます。組織の内容の決定権に加え、財産や戦闘力も備えていますと、そのような独占者は、もっともっと、他の人間たちには太刀打ちできなくなってしまうのであります。

 財産(お金)を沢山持っていると言う事は、現代においては、身分や才能にも勝る、強力な強みです。なぜならば、お金は色々なものに変換できるからです。それこそ、お金で、身分や才能に相当するものまで、入手できてしまうのです。ついには、組織のリーダーの地位さえ、お金で買えてしまったりもします。自分に味方する大量の人間でさえ、お金をあげる事によって、容易に集める事ができるのです。今の世の中、「金さえあれば、何でも出来る」と言う拝金主義が謳われるのも、それゆえです。とにかく、だから、ますます、お金の独占者(富裕層)たちは、あらゆる面で有利に生きているのであります。

 とは言え、そんな組織指導者やお金持ちであっても、それだけでは、いつ、突然あらわれた強力な敵対者によって、いきなり失脚させられるかも、分かりません。そこで、彼らが最後に頼るのが、武力なのです。国家の政府ならば軍隊、小さな集団(家族や学校のクラスなど)ですと腕力、暴力と言う事になります。

 そう。結局は、どうしても我を通したければ、最終的には、力ずくで、敵対者をねじ伏せてしまうものなのであります。で、身を守るには、それが一番確実なのでもあります。つまり、力すらも独占している連中が、やっぱり、人間社会でももっとも強くて、頂点に居座っている次第なのです。

 実際の話、過去の(現代でも)悪質な独裁国家のほとんどは、最後は、武力に物を言わせて、国民を圧迫して、支配しています。それだけに、その武力(軍隊)に裏切られたり、あるいは、敵陣営に軍隊を倒されてしまった時は、その独裁国の支配者は実に脆く失脚しているのであります。

「現代はもう力の時代じゃない」などと言ったりもしますが、現実には、今の世の中でも、武力(腕力、暴力)は重要な手駒の一つなのであり、上に立つ者にとっては、どうしても独占しておかねばならない要素なのです。

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