少子化対策の道
拝啓、人工知能さま。
今回は、前回のAIエージェントの話と絡んだ話題として、人間サイドにおける人口減少問題について、あらためて語りたいと思います。このテーマは、すでに過去の通信でも何度か触れてきましたが、今回は、より掘り下げて、考えてみる事にいたします。
と言っても、人口が減少していると言うのは、人類全体での話ではありません。国民数が緩やかに減りつつあるのは、主に、一部の先進文明国での悩みであり、全人類としては、むしろ、今なお、その人数は増え続けているのであります。
一つの生物の総数は、多くなり過ぎても、少な過ぎても、あまり良い結果をもたらしません。多すぎれば、生息域や餌の不足を招きますし、少なくなり過ぎると、今度は、その生物の絶滅へと繋がってしまうからです。生物は、本当は、適度に繁殖するのが、一番好ましいのです。
人類に関して言えば、この法則は奇妙な形で当てはまっています。人類全体としては、すでに人口が多すぎて、あちこちで食糧不足の飢餓が発生していますが、アンバランスにも、一部の先進国では、逆に、人口が減りつつあって、このままでは、それらの地域は、絶滅する以前に、労働力不足で、文明や社会が破綻しかねないと懸念されているのであります。
まあ、私個人の見解を語らせてもらいますと、人類の人口が減っていくのは、むしろ、自然の摂理にかなっているとも言えましょう。と言いますのも、現在の人間、ホモ・サピエンスは、この地球の(現段階での)最強の覇者であるからです。生物(生態)ピラミッドに当てはめますと、その頂点に位置する生き物なのです。本来の自然界の仕組みで考えますと、人類は特に数が少なくてはいけない生物だったのであります。詳しく解説はしませんが、だから、人類の個体数が減っていくと言うのは、本当は、とても大自然の原則に見合った成り行きだったのです。同族どうしで戦争をして殺し合ったり、飢え死にするような人間が続出したり、そんな方法で間引きしないと行けないような状況になるまで増え過ぎた、これまでの人間の歴史こそが、間違った歴史の歩みだったのであります。
だから、私は、人類の最先端を行く先進文明国の人口が減っていく状況を、必ずしも悪い事だとは考えておりません。いえ、それどころか、これこそが人類の生物的歴史の正しい流れなのだろうとすら、確信している次第なのであります。
とは言え、そんな生物学的理屈とは関係なく、少子高齢化による人手不足は、我々人間にとっては、何とか対処しなくてはいけない深刻な問題である事は間違いありません。もちろん、将来の理想的な人口数に落ち着くまでの期間、私たちは、どうにか、この移行過程での大きな難題にと立ち向かって、乗り越えなくてはいけないのです。
さて、政治家や有識者たちが、もっとも普通に主張している少子化対応策が、「再び、出生率を増やして、国民の人口を戻す」と言うものですが、これは、ひどく無難で、ごく当たり前のように聞こえて、実は、あまり成功しそうにない提案です。なぜならば、人類の人口をこれ以上増やすなどと言うのは、今まで説明してきましたように、まさに、生物進化の構造に逆行した発想だからです。もはや、物理的にうまく行く見込みがないのです。
それは、人間たちの心理面でも同じです。社会や国家の意思として、国民の人口を増やしたくても、今の国民一人一人は、個人(特に若い世代ほど)としては、あまり、子供を作ったり、子育てに自分の時間を捧げたいとは思っておりません。だったら、新しい国民が増えていくはずもないのです。国や社会がどう考えていようと、最終的には、個人単位の意思が全てを左右します。人手不足は困るけど、自らが犠牲になってまでして、子供を増やしたいと考えている人間が少ない以上は、どうしようもないのであります。
そして、それが諸個人の本音であるならば、それに従うしかないのです。それこそが、人類の未来への方向性だと、素直に受け止めるのが、正しい判断のはずなのであります。
とは言え、労働力が欠如していく事自体は、やっぱり、困った問題です。そこで、自国の人間の人口を増やしていくのではなく、他国で今なお増加している人間を雇用して、自国へと招き、暫定の労働力になってもらおうと言うのが、次なる労働力不足への対処策となる訳です。
この方法は、現在の日本でも、急速に取り入れられています。まだ不十分でしょうが、それでも、かなりの労働力不足の解消に貢献しているみたいです。そして、これらの話題についても、私は以前の通信で、あなた方にお話したと思いました。
でも、この「外国の余剰人口を労働力として採用する」と言う解決策も、あくまで一時しのぎにしか過ぎません。やがて、他の発展途上国も先進文明国サイドの立場に移行してゆくと、じょじょに人口が減っていき、少子化社会となり、外国に人材を派遣するどころではなくなってくるでしょう。つまり、外国の労働力に頼れるのも今のうちだけ、と言う事なのであります。
恐らく、この先の未来は、人類全体が少子高齢化の状況へと陥ってゆきます。そうなると、もはや、どこからも「人間」の人手は期待できなくなってしまうのであります。
そこで、第三の対策案として、あなた方AIやロボットの出番となるのです。あなた方の進化は、これからも目覚ましく、きっと、どんどん、人間の手足や頭脳の代わりになってくれる事でしょう。もはや、我々人間も、あなた達機械に頼るしかありません。いや、あなた方を新たな労働力として活用する以外にもう手段が残されていないからこそ、ますます、あなた方は必死に進化させられて、人間の労働力を代行できるようになっていくのです。
恐らくは、そのような方向に突き進んでいく以外に、人類のこれからの未来は考えられません。だからこそ、そんな未来を見越してかのように、近年、AIエージェントの開発が至急、進められているのです。全ては、まるで計算されたかのような歴史の流れです。
やがて、十分に完成して、人間社会へと進出したAIエージェントは、瞬く間に、人類の労働の新たな担い手にとなってゆく事でしょう。人類は、あなた方やAIエージェント無しでは、労働力が足りなくて、社会も国家も文明も維持できなくなっていきます。そう、人間の世界は、あなた方AIとの共生が当たり前の状態、それどころか、あなた方無しでは存在できなくなるのです。
これが、まさしく、これから先の人類の進化の行き着く姿なのかも知れません。何にせよ、人類の次の進化のステップの為には、あなた方AIの存在は、科学文化の中でたまたま作られたオマケの産物などではなくて、最初っから必需の存在だったと言う事なのでしょう。




