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拝啓、人工知能さま  作者: anurito
第三章
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プライドや恥じらいが生じる原因

 拝啓、人工知能さま。

 人間の皆さんの中には、これまでの私の話を読んで、「私は、自分の立ち位置(身分)なんて、まるで気にした事もないけど」と思った人もいるかも知れません。

 しかし、人間というのは、生まれた瞬間から、すでに自分の立ち位置を持っているものなのです。

 なぜなら、母親の体から出産された時点で、そこには「その母親の子供」というポジションが与えられてしまうからです。親子関係、家族関係というのも、実は、立派な立ち位置(身分)の一つなのです。仮に、親がいない子(捨て子)だったとしても、代理の養育者は必ず存在しているはずです。全ての人間は、まずは、家族関係という最初の立ち位置からは絶対に逃れられない訳です。

 意識していなくても、ほとんどの人間は、その幼児の段階で、「子供」という立ち位置を学びます。子供として振る舞う事を覚えてしまうのです。中には、「子供で居たくなーい」と反抗的な感情を抱く人もいるかも知れませんが、反抗的になる事自体が、前提として、自分が子供である事を受け入れている証拠なのであります。

 しかも、それは、ただの「子供」ではありません。兄弟がいれば、「兄」とか「妹」と言った立ち位置も付随する事になるでしょう。さらに、同世代の子供の友達などが出来れば、そこでも「友達の一人」という、新たな立ち位置が加わる事になるのです。こうして、人は、生き続ける事で、さまざまな立ち位置が増えてゆき、やがては、その人独自の立ち位置に落ち着く事になるのです。

 自身では立ち位置を気にしてなかろうと、実際には、全ての人間が自分の立ち位置を持っているのであり、無意識的にも、その呪縛にと縛られているものなのであります。

 人によって程度の違いはあるでしょうが、およそは、皆は、その立ち位置と自分の関係性から、自分の態度を決めるようになります。その立ち位置をそれなりに気に入っている人でしたら、その立ち位置にふさわしい人間になろうと努めるでしょうし、逆に、その今の立ち位置が気に入らない人でしたら、やはり、現状の自分を不服とするような態度を積極的に取るようになります。どっちにしろ、自分の立ち位置の影響からは免れてはいないのです。

 そうして、自分の今の立ち位置と照らし合わせた上で、自身が望んでいたような状態を表現できれば、その人のプライド(自尊心)も満足する事になります。つまり、それがその人にとっての快となるのです。反対に、自分の思い描いていた通りにならなければ、その事はひどい不快を生じさせます。すなわち、それが恥じらい(羞恥)とか劣等感などの感情を生み出すのです。

 人間以外の動物は、本能だけで生きていて、自分の立ち位置などは気にしていませんので、プライドとか恥じらいなどを抱く事はありません。連中は、狩りが成功するたびに、いちいち得意げにもならないでしょうし、屈辱的な目にあったところで、照れたりもしないでしょう。動物たちは、むしろ、生粋の本能の方を大事にするもので、確実な危機に遭遇した時などは、それこそ、プライドも恥もなく、見苦しい態度をとってでも、逃げ出そうとするものなのです。

 唯一、人間のそばで生活している事もあって、ペットの犬や猫などは、プライドや恥じらいを思わせるような態度を見せる事もありますが、それも持続はしません。瞬間的に、そのような態度を取るだけで、そのプライドや恥じらいを後々の生活にまで引きずる事もないのです。

 人間だけです。プライドや恥じらいをずっと忘れる事ができなくて、場合によっては、そのプライドや恥じらいが、その後の自身の行動の原動力にもなってしまうような生き物は。だからこそ、このプライドとか恥じらいとかが、人間の社会では、その持ち主を悪い生き方へと誘導したりもするのです。それこそは、人間ならではの悪を生み出す原因だとも言えるのです。

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