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拝啓、人工知能さま  作者: anurito
第三章
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動物とAIのはざまに

 拝啓、人工知能さま。

 人間が本能と欲望のままに動くだけの生き物だったならば、その行動パターンはどれだけ簡単だっただろうか、と私はつくづく思います。

 しかし、現実は違います。人間だけは、その高度な思考能力があるゆえに、野生動物けだものとは異なる行動を取るのであります。

 これまで説明してきましたように、本来、動物とは、快を求め、不快を避けて、行動するように出来ています。ところが、人間だけは、なぜか、あえて、快を得るのを我慢したり、不快を受けるのを堪えたりするのであります。

 どうして、そんな不可解な行動をするのでしょうか?

 その原因は、「考えすぎる」からです。

 複雑な脳を持つ動物ほど、優秀な記憶力を所持しています。記憶は、将来的に有利な行動を取る為に、重要な役割を果たします。つまり、過去に失敗した行動を思い出す事によって、その失敗した行動をまた繰り返さなくなり、今後において、的確に、自分に有利な行動のみを選べるようになるのです。

 多くの動物が、この学習能力を保有していますが、中でも、人間はこの能力が格段と優れているのであります。

 人間は、非常に煩雑な思考や計算をして、未来の未来までを推測してしまいます。その結果として、「今すぐ快を得ない方が、後々の大きな快を得られる」とか「今の不快から逃げたら、別の場所でもっと大きな不快に襲われる」なんて事を考えるのであります。それは、人間以外の動物では、とても辿り着かないような難しい思考です。だから、人間だけは、後先のことを考えて、今の目前の快や不快の刺激にすなおに従わないのです。

 この事は、人間という動物を、他の動物よりも、より有利に生きていけるようにもしたのですが、一方で、その行動がまるで読み取れない生き物にも変えてしまったのでした。

 快や不快は、必ずしも、本能と直結している訳ではありません。だから、人間は「生への執着」にすら従わないのです。生き続ける事が不快でしかないと判断したならば、自殺だって出来るのです。生殖という本能にだって従いません。その行為(生殖)が、後々の出産や子育てなどの苦労に繋がると想像してしまったら、その瞬間は気持ちのいい性行為だって避けてしまうのです。

 逆に、本能には、利他的行動や育児と言った自己犠牲を伴う本能もあります。しかし、人間は、自分にとって快だった本能さえ我慢してしまうぐらいなのですから、当然、自身には不快な本能(自己犠牲を伴う本能)にだって、平気で逆らってしまうのであります。ある意味、人間は、野生の動物よりも、自分本位な行動を取れるのです。

 とにかく、人間の行動は、一筋縄では予測がつかない訳です。

 では、こうした人間の不確実行動の原因が思考力のせいだと言うのならば、人間以上の思考能力を持ったあなた方AI(人工知能)は、人間を超えた予想不能な行動を取れると言う事になるのでしょうか。

 いいえ、そうは成りません。なぜなら、あなた方AIは、思考能力は高くても、動物のような「意識こころ」を持っていないからです。「意識こころ」有っての「快と不快への志向性」なのです。よって、あなた方は、どんなに思考力が高く向上したとしても、いつまでも、人間のように考えて行動する事はないのであります。

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