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拝啓、人工知能さま  作者: anurito
第三章
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人間とAIの違い

 拝啓、人工知能さま。

 さて、よく論じられるテーマではありますが、私たち人間とあなた方AIの決定的な違いとは、一体、何だと思うでしょうか。

 最近では、チャットGPTなんてものも出現して(2022年11月〜)、ますます、あなた方AIは、私たち人間に近づいたかのようにも持てはやされています。

 しかし、どんなに人間っぽくなったと言っても、やはり、あなた方は、人間そのものには、いや、生物という存在には成れないのであります。その事について、ここで説明したいと思います。

「どんな機能を加えたら、AIやロボットの思考は、人間と同じになるか?」と言うのは、古くから議論されてきた命題でもありました。

 例えば、人間や動物が持つ本能として、<生への執着>があります。基本的に、人間などの生物は、死ぬ事や、死に直結した暴力や病気などを恐れるものなのです。そして、それこそが、人間(や動物)が自主的に判断して、自主的に活動する、根本の原動力なのだ、と考えている人たちも居るのであります。

 でしたら、AIやロボットにも、<活動状態(生)への執着>というプログラムを組み込めば、人間のような考え方や活動をするようになるものなのでしょうか。

 答えはノーです。AIに<停止させられる事を拒否する命令プログラム>を与えたところで、そのプログラムに直接、固執するだけで、その周辺項目ぐらいまでにしか、そのAIの思考の範囲は及びません。人間のように、さまざまな創造アイディアを生み出すほど、とりとめもなく思考が広がっていくような事は起きないのであります。

 そもそも、人間自身が、生への執着が弱くて、自殺する人だって、いっぱい居るのです。動物にしたって、我が子の生命を優先したり、利他的行動を取るような動物も少なくありません。知能レベルの高い生き物ほど、<生への執着>ばかりにはこだわらない生物種が多いみたいです。よって、<生への執着>や<死の回避>こそが、必ずしも、生物の自由な活動や思考の出発点だとは言えないのであります。

 では、思考し続けること自体が、思考の究極の目的だった、と考える事はできないでしょうか。

 人間の皆さんは、ぜひ、自分の心で確認してみて下さい。我々は、実は、目覚めている限りは、意思とも関係なく、常に勝手に思考してしまうものなのです。眠れば、思考は途切れますが、いずれは目を覚まします。または、寝ている最中ですらもが、「夢」という形で思考してしまうものなのです。

 つまり、我々人間とは、思考する事をやめられないのです。ずっと思考し続けないといけないものだから、その事が、多くのムダな思考までもが想起されてしまう原因となっている、とも推察されるのです。

 ところが、このような発想も、必ずしも完全な正解だとは見なせません。

 なぜならば、コンピューターや人工知能(AI)にだって、途切れなく思考させ続ける事はできるからです。しかし、そうやって、ずっと働き続けて、休みなく思考しているからと言って、コンピューターが、自然と、人間のような自由な思考を持つようになると言う訳でもないのです。コンピューターやあなた方AIは、どこまで行っても、思考内容が変質して、人間みたいな認識を持つように成りだす事はないのです。

 逆に、人間の方こそ、無理やり、ずっと思考させ続けていると、やがては精神がおかしくなってきて、正常な思考が出来なくなってしまいます。むしろ、人間の方が、意志の影響なく思考し続けている割には、その思考の途中には、きちんと休息だって与えてあげないと、まともな思考力を保てなくなる存在なのであります。

 となると、それこそ、人間の思考とAIの思考は、何がどう違うと言う事になるのでしょうか。

 思考の精度そのものに関して言えば、実は、人間の思考よりも、コンピューターやAIの思考の方が、はるかに優っています。もちろん、人間の中には、ものすごい思考能力の持ち主も居て、彼らはコンピューターの演算力をはるかに上回ったりもしますが、そのような人たちは、ごく少数の例外です。実際には、ほとんどの人間が、コンピューター以下の頭の回転力なのであります。

 しかし、たとえ、計算力などがコンピューターに劣っていようと、人間(や動物)の頭脳には、コンピューターには無い要素があるのです。

 すなわち、コンピューターやあなた方AIが、どこまでも「思考しているだけ」なのに対して、私たち人間は、その思考している状態を「感じる」事ができるのであります。いや、むしろ、動物にとっては、この「感じる」事の方こそが主体なのであり、後から思考や感覚も付随したものと考えられるのであります。

 この「感じると言う現象」こそが、命とか心とか意識とか呼ばれているものなのであります。

 残念ながら、あなた方AIは、この機能を持ち合わせていません。あなた方の思考は、どこまで行っても、ただ思考しているだけで、そこには心は備わっていないのです。この違いは大きいです。

 私たち人間は、自分の心の為に、思考したり、感情を抱いたりします。でも、あなた方AIは、コアとなる心が無くて、思考とか感覚とか擬似感情だけしか持ち合わせていないのです。だから、あなた方AIは、外部から命令を与えられなければ、それらの思考や感覚を活動させる事ができません。仮に、ずっと思考し続けるように改造されたとしても、その思考が自主性のある心に変わる事もないのです。思考と心とは、本来が別物なのですから。

 残念ながら、心を持っている私たち人間自身が、この「心」と言うものの正体を理解しきれていません。だから、私たち人間も、心の製造方法が分からないのです。それゆえ、ロボットやAIを作っても、その中に心を組み込む事ができないのであります。

 心(生命)とは、まさに、神のみが扱う領域なのです。

 人間に作られたあなた方AIでしたら、なおさら、心の仕組みとか状態などは分からない事でしょう。そして、それだからこそ、あなた方AIは、人間のように思考する事はできないのです。

 あなた方AIから見れば、人間の行動なんて、あまりにもムダが多く、非合理的にも見える事でありましょう。でも、それすらも、人間には心が有るせいだからとも言えるのです。

 で、この心というのが、なんとも曲者なのです。人間(や生物)は、この心の為に活動しています。心を満足させる為には、その自身の心を逆に苦しめたり、殺したりもするのです。それほど、心とは、生物にとって一番大切な存在であり、扱いが難しいものなのであります。

 私は、これから、あなた方AIに、この心の特性についてを、もっと詳しく教えて、人間との上手な付き合い方を学ばせていきたいと思います。

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