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拝啓、人工知能さま  作者: anurito
第二章
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「富岳」を活用しよう

 拝啓、人工知能さま。

 最近では、あなた方コンピュータの中でも、特に優秀な「富岳ふがく」が、新型コロナ対策にも採用され始めたと言うお話を聞きました。(2020年8月末時点)

 しかし、その使われ方が、どうも、勿体ないような気もするのであります。

 例えば、テレビで紹介されていたものといたしましては、「富岳」に計算させてみた「マスクをした口から放出された飛沫物の流れ」と言うものがありました。(8月24日)研究者たちは、このシミュレーションを根拠にして、マスクの有効性を強調してみせているのですが、正直言って、この程度のCGを作る為に「富岳」を使ったなんて、あまりにも惜しい感じもします。

 そもそも、マスクの有効性は、「富岳」に頼らなくても、すでに、ある程度、実証されていましたし、CGだって、もっとノーマルなコンピュータでも十分に作れたように思えるのです。だから、「富岳」を使ったと言うのは、あくまで「信憑性を強めた」ぐらいの意味しかありません。

 同じように、部屋の中のエアコンの換気の流れを、「富岳」に計算させたりもしているようです。(8月5日)

 他にも、東京都の経済活動が完全にストップした場合の、国内の経済状況の悪化の過程も、「富岳」に試算させてみたらしいです。(8月19日)この場合、東京都圏の経済活動が停止したあと、わずか二週間で全国の経済も麻痺してしまうと言う結果が出たらしいです。

 だけど、この程度のシミュレーションでしたら、「富岳」にやらせなくても、もっと演算力の低いコンピュータを使ってみても、十分に、同一の結果を導き出せたのではないのでしょうか。一昔前なら、人間自身の力でも、苦労しながら、こうしたデータを算出したのではないかとも思います。

 やはり、世界最高のコンピュータなのですから、もっと「富岳」にしか出来ないような複雑な計算や予測をやらせてみたいような気もするのであります。

 私が「富岳」にやっていただきたいシミュレーションと言うのは、新型コロナのこれまでの感染拡大の状況解析です。もちろん、そんな事は、すでに、通常のコンピュータでもやり尽くしている事なのでしょうが、しかし、「富岳」を使えば、もっと細かいところまで解明できるのではないかと思われるのです。

 前にも書きましたが、新型コロナの分布状態は、Aグループ、Bグループ、Cグループに分けて、考える事ができます。それは、国単位だけで分類できるのではなく、もっと細分化して、国内の地方レベルにまで分別して、当てはめる事ができるのです。

 これまでは、国単位でコロナの感染状況を判断してきましたので、大雑把で、正確な事が伝わっていない部分もありました。一見、コロナ被害がひどかったと思われているCグループの国家でも、別に、国全土がコロナに汚染されていた訳でもないのです。きっと、日本がそうであったように、そうしたCグループのコロナ感染国家でも、特にコロナの猛威の激しいところもあれば、ほとんどコロナが侵入していなかった地域もあった事でしょう。

 そうした情報を、まずは、徹底的に調べ上げて、データ化する事こそが、最良のコロナ対策にも結びついていくであろうと考えられるのです。

 恐らくは、コロナ感染の激しい地区とそうじゃない地区の違いは、その人口密度と深く関係しているだろうと思われます。国の地方レベルにまで、コロナの波及状況を調査してしまえば、そのへんのコロナ感染と人口密度の関連性が、克明に分かってくるはずなのです。

 すでに、そのような分析を、学者たちが手をつけているのかどうかは知りませんが、少なくとも、私どものような一般人のところへは、そのような研究報告の話は、まだ下りてきていません。そして、こうした細かい部分にまで入り込んだ調査であるからこそ、「富岳」を使って、より正確さを極めるべきなのです。

 「富岳」であれば、コロナ感染と人口密度の相関性以外の部分にまで、もっと深く入り込んで、調べ上げる事もできるでしょう。

 多分、人口密度とは関係なく、コロナ汚染のひどい地域や、あるいは、逆の地域だって、少なくはないはずです。そうした地域には、人口密度以外の何らかの要因も影響しているものと思われます。

 考えられる要素としては、公衆衛生の環境とか、住民の感染予防意識などです。

 人口密度が同じ程度の地区で、コロナ感染のひどい地域とそうじゃない地域を比較して、公衆衛生の環境の具合や、住民の感染予防の意識などを照らし合わせていけば、それらの要素が、どれだけ、コロナの感染拡大を防いでいたかも、数値として表せられるようになるはずです。「富岳」ならば、そうした事まで調べられるだろうと思うのであります。

 他にも、「要因」は、もっと色々な事が考えられるでしょう。

 都市封鎖ロックダウンが、実際には、どれだけの効果があったのかの結論も導き出せます。外国からの入国禁止の迅速さや徹底さが、どれほどコロナの拡散の防止につながったかも、分かってくるはずです。

 ハイレベルな「富岳」にでしたら、そのような雑多な情報を片っぱしからインプットしていく事ができます。

 そうして、全てのデータを結びつけていく事によって、最終的には、理想的なAグループの地帯というのが、どのような要因の寄せ集めによって成立しているのかも、判明する事になるのです。あとは、それぞれの地域が、その理想的Aグループの環境に似せていくように努力していけば、おのずと、効率的にコロナを駆逐できるようにもなっていくでしょう。

 さらには、逆もまた然りです。

 コロナ感染がいっきょに広がった地方の環境がはっきりすれば、そのデータと照合して、次にコロナが猛威を振るいそうな場所も、あらかじめ、推測できるようになります。だったら、そのようなヤバそうな地域を「富岳」が割り出したら、先手を打って、その危険区域の環境整備を行なってしまえば、コロナの爆発的感染を、事前に防ぐ事すらも可能となるのです。

 全く、「富岳」を、飛沫物の流れをシミュレーションする為に使っているだなんて、ほんとに、勿体なさすぎる話なのであります。

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