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拝啓、人工知能さま  作者: anurito
第二章
42/99

集団免疫への道

 拝啓、人工知能さま。

 私の住んでいる国(日本)では、最近、新型コロナのことで、その危険レベルを下げるかどうかが取り沙汰されだしています。(2020年8月末)

 現在、日本では、新型コロナは、2類相当(結核やSARSなどと同じ扱い)という位置付けになっているのですが、これだと、見つかった感染者は、全員、入院治療させねばなりません。しかし、新型コロナの場合は、入院不要の軽症者の患者も多く、さらに、ここ数ヶ月で感染者数が急増してしまったので、全感染者を入院させる処置も難しくなってきたのです。

 そこで、新型コロナの扱いを3類以下に落とすことで、保健所や病院の負担を減らそうという意見が、政府内で浮上してきた訳です。もし、これが5類まで下げられるような事でもあれば、新型コロナは、インフルエンザと同レベルの扱いになってしまいます。

 そんな事してしまっていいのだろうかと言う感じもしますが、実際のところは、最近は、国内での新型コロナの重症者や死亡者が極端に減っているのも事実なのです。あまり語られていない真実ですが、本当は、インフルエンザによる患者や死亡者の方が、新型コロナのそれよりも、はるかに多いのであります。

 ただし、新型コロナを、だからと言って、軽く捉え過ぎるのも、まだアブナイ話でしょう。

 現時点で、新型コロナの感染が、ある程度、封じ込められているのは、新型コロナの脅威を大いにアピールして、その予防や対策を国全体で一体となって徹底させているからでもあるのです。もし、新型コロナの危険レベルが下げられて、国や国民の気が緩み、これらの予防や対策がいっせいに行なわれなくなってしまった場合、新型コロナの感染が、どれだけ増加してしまうものなのかは、ちょっと予想もつきません。

 あとで後悔するような事態になっても、もう時は戻せませんので、まだまだ、新型コロナに対する予防や対策は継続するに越した事はないのです。

 もっとも、一方で、僅かな希望的な観測もささやかれ始めています。それは、日本で、今流行っている新型コロナは、もしかすると、毒性が弱まっているのではないか、と言うものです。

 研究者たちの見地によりますと、今の日本で流行しているコロナは、過去の生粋の外国産新型コロナとも異なり、日本国内で独自の突然変異を起こした東京型コロナなのではないか、とも指摘されているのです。この意見に基づいた場合、この東京型コロナは弱毒性であり、それで、第一波の時よりも感染の波が大きい割には、重症者や死亡者が少ないのではないか、と言う話なのであります。

 これが、どこまで正しい見解なのかは分かりません。

 現在の日本のコロナ流行で、重症者や死亡者が少ない理由は、単なる医療従事者たちの頑張りのおかげなのかも知れないです。また、第一波の時と比べれば、新型コロナに対する処置のノウハウだって、確実に蓄積されていて、対応も手際良くなっているはずでしょう。コロナの方が弱くなったとばかりも言い切れない訳です。

 でも、ここで思い出されるのが、集団免疫戦略でコロナに立ち向かおうとしたスウェーデンの事です。現在、スウェーデンでは、極端なコロナ対策を行なわなかったにも関わらず、コロナの流行は、ある程度、収束しているようなのであります。

 やはり、その理由は、はっきりとは解明されておりません。当初の計算よりも、抗体保持者は少なくても、集団免疫が成功したのではないかとも伝えられています。しかし、それとは全く違う事が要因なのかも知れません。

 前にも書きましたが、スウェーデンは、国家としては、極めて人口が少ない方(約1000万人)なのです。つまり、その過疎性ゆえに、最低限の避けられない範囲のコロナ流行が終わったあと、コロナが感染しにくい状況にと移行したのだと言う事も考えられます。すなわち、国全体が、日本における田舎地帯(Aグループ)のような空間になったと言う事です。

 だけど、もしそうだとすれば、現在のスウェーデンのコロナ無き安全な状態も、つかの間の話だと言う事になってしまうでしょう。もし、外国との行き来を復活させれば、再び、コロナウィルスは、スウェーデン内に入り込んでしまいます。その度に、コロナ流行が繰り返される事となり、それも、あまり望ましい状況とは呼べないだろうとも思えます。

 では、今の日本は、どうなのでしょうか。

 スウェーデンの在住者から見れば、現在の日本のコロナ対策の環境は、集団免疫戦略を推進しているスウェーデンと非常にそっくりなのだそうです。つまり、大掛かりなコロナ対策を何もしてない、と言う事です。それなのに、コロナの死者数は十分に抑えられています。だから、スウェーデンの考え方にしてみれば、日本も、現状を続けていれば、やがて、スウェーデンのように集団免疫を手に入れるだろうとの話なのであります。

 ついでに言ってしまえば、スウェーデンは集団免疫戦略の初期段階で、手痛いミスを犯して、大量のコロナ死亡者を出してしまいました。一方の日本は、第一波の時は集団自粛戦略を用いた事で、コロナ死亡者の急増も食い止めましたので、まさに、理想的な戦略展開を行なった事になります。

 もっとも、日本政府にしてみたら、意図的に、集団免疫戦略をしている訳でもないので、このような事を言われても、あんまり嬉しくもないかもしれません。今の日本が、徹底的なコロナ対策を行わなず、だらだらと現状放置しているのは、要するに、指導者たちの足並みや方向性が揃わなくて、ただ手詰まりを起こしているだけなのです。

 とは言え、このままの流れで、日本も、スウェーデンのようになれる可能性はあるのでしょうか。

 もし、スウェーデンのコロナ収束が、人口と関係しているのであれば、日本も同じ未来にたどり着く事は、まず難しいだろうと言えましょう。日本には、大所帯のマンモス都市が多過ぎます。

 でも、だからこそ、どうも、日本の方が、本当の集団免疫を手に入れる奇跡も有り得なくはなさそうなのです。

 何度も指摘してきましたように、今回の日本におけるコロナ流行は、膨大な感染者数を出していながら、重症者や死亡者の数は、驚くほど少数です。加えて、感染者が増えれば増えるほど、コロナの致死率や重症度の数値は下がっていきます。そして、この「重症者や死亡者が少ない事」こそが、とても重要なのです。

 重症者や死亡者がいなくても、多数の人間がコロナにかかっている事になります。しかし、無症状や軽症の人ばかりなので、生活や経済活動には支障がありません。重症者や死亡者が増えないまま、コロナは国内に蔓延して、やがては、国中の人間がコロナ感染者となってしまいます。これが、以前、お話した「in コロナ」の状態です。しかし、それでも、国自体は、問題なく、やっていける事になるのです。

 これって、まさに、集団免疫を獲得したのと同じ状態だと言えるのではないのでしょうか。

 非常に大事なポイントは、新型コロナにかかり続けていると言う点で、その結果、新型コロナを駆除する抗体も常に体内で作られ続ける事になるのです。

 現段階では、新型コロナに効果のある抗体が、どの程度の期間、持続し続けるのかが分かっておりません。コロナに再感染する人がよく見つかっている事を考えますと、新型コロナの抗体が体内に残り続ける期間は意外と短い恐れもあります。そうなると、ワクチンでコロナに対抗する場合、頻繁にワクチンを打ち続けないと、コロナに対する十分な対応策にはならない事になってしまうのです。

 だけど、普段からコロナにかかり続けている状態でいて、抗体も持ち続けていると言うのであれば、話が変わってきます。ワクチンなんて使わなくっても、ずっと、抗体に守ってもらえる事となるのです。

 まさしく、弱毒性コロナこそは、最強の天然のワクチンだとも言えます。お金をかけて作らなくても、普段の生活空間に、いくらでも存在するのだから、これほど素敵なワクチンもないでしょう。しかも、自然のウィルスだから、ワクチンのような改造物ならではの余計な副作用の心配もないのです。

 さらに、この弱毒性コロナによって生成された抗体は、古い強毒性の新型コロナにも効果を発揮します。と言うのも、このへんの新型コロナは、全て、兄弟分のようなものである為、全部に同じ抗体が使えるからです。

 つまり、弱毒性コロナの抗体さえ手に入れてしまえば、外国から入ってくる、他のあらゆる新型コロナも、全く、怖くなくなってしまうのです。警戒する必要もなくなるのです。そうなれば、日本国内には、かつてのように、自由に外国からの来日者も受け入れられるようになる訳です。完全に、無差別に、海外との行き来が復活し、経済活動もレジャーも、何もかもが、コロナ以前の状態に戻せるのです。

 なおかつ、弱毒性コロナを海外の国にも波及させてあげる事もできるでしょう。それをすれば、今なおコロナに苦しめられているBグループ、Cグループの国々も、日本同様に、国民全員が楽にコロナの抗体を手に入れて、国を立て直す事もできるようになるのです。世界中に、弱毒性コロナとその抗体を拡散させれば、ついには、世界中が、ようやく、新型コロナの脅威から脱する事となるのです。

 もちろん、以上のお話は、あくまで、私が空想した、もっとも都合のいい人類救済プランに過ぎません。

 東京型コロナを、弱毒性コロナとして用いられるかどうかは、まだまだ慎重に分析する必要があるでしょう。多分、まだ弱毒の程度としては不適当だろうとも考えられます。また、コロナをわざと流行らせると言うアイディア自体に、真っ向から拒絶、反対する人も多いかもしれません。

 だから、この集団免疫計画については、今のところは、ひとまず、こんな着想もある、ぐらいの感じで、頭の片隅にでも留めてもらえたらいいかな、と思っている次第です。

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