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拝啓、人工知能さま  作者: anurito
第二章
36/99

我々(人間)のコロナ対策は正しかったのか?

 拝啓、人工知能さま。

 あなた方AIが、実際に新型コロナ対策に乗り込んでくる前に、我々人類が、今まで、どのような方法でコロナと対峙してきたかについてを、今一度、おさらいしておく事にしましょう。

 例えば、我が国・日本では、緊急事態宣言に基づく全国的自粛が行なわれ、人々を接触させない事によって、コロナの感染拡大を抑止してみたのですが、のちに、その対策について否定するような声もあがり始めました。

 と言いますのも、日本でのコロナの感染拡大状況を正確なグラフで表してみますと、どうやら、感染拡大がピークに達していたのは、緊急事態宣言が発令される少し前だったらしい、と言うのです。全国的な自粛が実施されだした頃には、すでに感染者数の山は下り坂になっていました。だから、このデータを尊重する人々は、そもそも、全国的自粛なんて実行しなくても、新型コロナは自然と沈静化していたのではないか、と主張しているのです。

 実際のところは、この意見にも、決定的な根拠はありません。感染者数が減り始めたように見えたのは一時的なものだったのであり、自粛を全く行なっていなければ、感染者数がU字カーブを描いて、再び増加していた危険性だって、決して否定はしきれなかったでしょう。

 何よりも、5月に緊急事態宣言を終了させて、いざ自粛を解除してみますと、東京や首都圏では、減少していた感染者数が再び増加してしまいました。やはり、自粛や都市封鎖ロックダウンなしで、ただの放置状態でも新型コロナが勝手に収まってくれるなどと言うシナリオは、夢物語っぽかったようなのであります。

 この件を、集団免疫戦略で新型コロナを封じ込めようとしたスウェーデンと対比してみる事にしましょう。

 スウェーデンでは、コロナ対策として、全体的自粛や都市封鎖ロックダウンと言った方法は用いませんでした。それらのコロナ抑制効果を、始めっから疑っていたからです。しかし、その結果、老人や病弱者にコロナが感染するのを防ぎきれなくて、最初の段階で、大量の死者を出してしまいました。ひどい言い方かもしれませんが、死ぬだけ死んだので、今は死亡者数も落ち着いています。でも、コロナ感染まで完全に沈静化できた訳ではありません。現在でも、スウェーデン国内では、コロナの流行が継続しています。この国の人たちは、まだワクチンも特効薬もない状況下でありながら、コロナとの共存の道を選んだのです。

 そして、同じ事が、他の国でも実現できたのかと言うと、そう言う訳でもありません。

 最初、スウェーデン方式に右ならえしようとしたイギリスは、すぐに大量の死者が出てしまった事に動揺して、慌てて、都市封鎖ロックダウン作戦にと切り替えました。それでも後の祭りで、イギリスは、ヨーロッパ内でも上位クラスのコロナ被害国になってしまいました。

 アメリカ合衆国やブラジルなどは、いまだにコロナの感染が拡大する一方ですが、スウェーデンみたいに、いつしか、感染しまくった末に、コロナが自然と収束する、と言うような気配すらも見えてはいないようです。

 スウェーデンが、他国とは違う集団免疫戦略(この集団免疫というアイディア自体は、現状ではほぼ失敗しています)を行なってみて、それでも、今は何となくコロナの感染拡大も静まっているのは、どうやら、スウェーデン国家そのものの人口の少なさ(約1000万人)も幸いしていたのだと思われます。スウェーデンは、そもそも、全体的自粛や都市封鎖ロックダウンしなくても、感染の危険が高い人口密度(三密)そのものが低かったと言う事です。

 この事は、辺境の田舎よりも都市部の方がコロナが拡散しやすい、と言う現状とも一致しています。もちろん、田舎でだって、コロナに感染するリスクはあるでしょう。しかし、田舎は三密状態の場所が少ないので、仮にコロナ感染者がいたとしても、他人には移しにくいので、感染の拡大にも発展しにくいのであります。実際に、自粛すれば自粛するほど、辺境地の方から先に、コロナは順に駆逐されていきました。

 つまりは、なんだかんだ言っても、コロナへの有効な対策としては、人と人との接触を減らす事が一番モノを言うらしいのです。

 人口の多い大国や大都市では、とてもじゃないけど、スウェーデンの真似はできそうにはありません。それらの国では、やはり、集団自粛や都市封鎖ロックダウンなどのコロナ対策も、状況に応じて、使うべきなのです。

 ここで、我が国・日本に話を戻してみる事にしましょう。

 現実としては、日本は、欧米諸国と比べたら、コロナ被害ははるかに少ない方でした。これは、日本だけじゃなく、アジア圏全体に共通する事だとも言われています。

 その為、「アジア人には、コロナにかかりにくい遺伝的要素があるのではないか」とも言われているのですが、この点についても、まだ、はっきりと科学的には解明できておりません。コロナ感染のひどかった欧米では、在住する日本人やアジア人だけが、特にコロナにかかりにくかった、と言う比較報告も無かったようです。そもそも、新型コロナの発祥地は中国であり、最初の段階で、中国は大量のコロナ感染者・死者を出しているのです。

 やはり、コロナにかかりやすいか否かは、人種的なものではなく、地域の人口の密集度が影響しているようにも思われます。コロナ感染が激しい国には、高い確率で貧民街があり、そこの住民たちが密接し過ぎて生活している事で、感染が広がりやすいみたいなのです。

 それから、不本意に感染が広がってしまう原因の一つとしては、医療崩壊も挙げられます。コロナ患者が、まとまって病院に押し寄せてしまうと、院内感染でコロナウィルスが大きく散布されてしまい、逆に患者が急増してしまって、病院も手に負えなくなってしまうのです。多数の医療先進国が、この医療崩壊にやられて、本来なら抑制できたはずのコロナの感染拡大を防ぎ損ねてしまいました。

 日本の場合は、こうした前例を先に幾つも見てきましたので、医療崩壊を起こさない事を第一に考えたコロナ対策に腐心しましたし、社会自体もすでに円熟しており、貧民街の類いもなく、核家族化などによる人間同士が疎遠な生活環境も進んでおりましたので、その辺も、コロナの感染抑止にはプラスに働いたのかもしれません。もっとも、それでも、振り返ってみましたら、かなり綱渡りの状態ではあったらしいのですが。

 他のアジア諸国だって、こんな感じで、あらためて検証してみますと、きっと、人種以外の点でも、コロナの感染拡大を防げた、何らかの要因があったのでしょう。そして、アジア人はコロナにかかりにくい、と言われた割には、いったんはコロナを沈静化させたにも関わらず、またコロナ感染がぶり返してしまったアジアの国は、日本も含め、少なくはないのであります。

 アジア諸国がコロナにかかりにくかった理由は、感染予防や公衆衛生への認識の高さのせいではないか、とも言われています。特に、普段からマスクをつける習慣は、アジア圏以外の外国には、ほとんど無かったものであり、その為、今頃になって、より注目される事になって、アメリカ合衆国などでは、コロナ対策として、普段からマスクをつけるべきかで、大きな論争にもなってしまっているほどです。

 マスク以外にも、マスクの効用をさらにアップさせたフェィスガードやアクリル板なども、世間には広く出回り始めています。手洗いやうがいなどの習慣も、コロナ防止には効果的だと見なされています。日本では、どれも定着した日常的な習慣で、まるで当たり前の話なのですが、それこそがコロナ対策に良かったのだと言われているのです。

 そればかりではなく、日本国は、世界でも、屈指の衛生環境の良さを誇っています。水道水をそのまま飲む事が可能な国なんて、実は、先進文明国内ですら、僅かしか無いのです。下水のシステムやゴミの回収・清掃の充実度という点でも、日本は国内の隅々にまで行き渡っています。私たちの国は、バイキンが増殖する余地もないほど、きれいな国土なのです。全ては、私たちの先代が、未来に生きる我々子孫の事も考えてくれて、コツコツと、今のような清潔な生活環境を整えてくれたおかげです。この事もまた、コロナの感染拡大を防いでくれた、素晴らしい要因だったのかもしれません。

 しかし、ここまで感染予防の条件が揃っていたにも関わらず、日本では、自粛解除後には、コロナが、またじわじわと、東京都を中心にして、広がり始めています。集団感染クラスターが発生してしまった施設や店舗だって、決してコロナ対策の環境整備を怠っていた訳ではなかったはずでしょう。何と言っても、一番コロナに対して注意を払っているはずの医療従事者ですらも、コロナにかかってしまう事例を、私たちは、すでに幾度も見てきているのです。

 どうやら、最高レベルの感染予防策ですらも、完全にコロナを防ぎきる事はできないようなのであります。となれば、やっぱり、コロナに対する、もっとも万全な感染防止方法は、人間同士をとことん接触させない、と言う事に尽きるみたいです。

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