犯罪なき社会
拝啓、人工知能さま。
私は、以前、人間社会の冤罪を防止する為に、あなた方AI(人工知能)をもっとフル活用する事を提唱いたしました。(「冤罪対策は人工知能で」)今回は、さらに突っ込んだ事を提案してみたいと思います。
すなわち、冤罪だけではなく、犯罪や人災トラブルそのものを解消する為に、あなた方AIを全面的に活用してみたらどうか、と言う考え方です。
もちろん、現時点(2018年)でも、防犯カメラの人物認識の作業などで、あなた方はすでに存分に能力を発揮なされているのでしょう。しかし、私が思い浮かべているのは、その程度の利用の仕方ではありません。
いっその事、人間一人一人の動向監視や行動サポートを、あなた方に任せてしまっても良いのではないか、と思っているのであります。
そんな事を主張すると、「人工知能に人間個人の生活管理を委ねてしまうなんてトンデモない話だ。人権無視の完全束縛以外の何ものでもない!」と私たち人間サイドの方々がわめき出しそうですが、現段階でだって、すでに車にはドライブレコーダーを付けて、自分の動向をきちんと記録しておかないと、トラブルに巻き込まれた際、あとで自分の無実をきちんと証明できないような状況にまで陥っているのです。
それならば、車を運転している時だけではなく、その他の日常生活を送っている時間だって、全て確実な記録を取っておけば、いざ災難に遭遇した時、常に自分の正当性を証明できて、卑怯な第三者に不当に扱われずに済むのではないか、と言うのが、私の発想なのであります。
前に、私は、個人一人一人が自分だけのサポート用ロボットを持つ時代が来るのではないか、とも予見しました。(「AI(愛)のある未来の生活」)まさに、これと対になった考え方なのであります。
サポート用ロボットたちは、自分の主人である人間の生活を全て、記録してくれます。それは、その主人の生活内容の情報をインプットするだけではなく、その主人を突発性の犯罪や災難から守る為にも、大いに活用されるのであります。
実は、人間は、被害者になるばかりではありません。ちょっとした間違いで、加害者になってしまう事も少なくないのです。例えば、交通事故です。悪意がなくても、うっかり人をはねてしまった時は、運転者も激しく動転してしまうものです。そんな時、彼は、どうしたらいいかが上手に判断できず、被害者の救護もしないで、逃げ出してしまい、結局、ひき逃げの悪質犯罪者に成り果ててしまったりもするのです。
しかし、もし、こんな時に、そばにサポート用ロボットがいてくれれば、ロボットは動揺する事もなく冷静で博識ですので、そのロボットは主人(人間)へと正しい対処の仕方をアドバイスする事もできるでしょう。その結果、主人の交通トラブルを、事故の範囲内で留める事になり、主人を悪質なひき逃げ犯罪者にしてしまう事を防ぐ事ができるかもしれないのであります。
人間は、とかく判断を誤りがちです。しかし、あなた方AIは、これからも利口で有能になっていく一方であり、人間以上にヒューマニズムな判断を下せるようになっていく事でしょう。そんなあなた方に、社会の犯罪防止の管理を任せていく事は、人間にとっては、奴隷化どころか、本当の犯罪なき平和社会の実現への前進なのであります。
もちろん、「AIなんかに監視され、助言までされてしまう社会なんて、何の意志の自由もなくて、そんなの人間らしい生き方じゃない」と、断固として反対したい人間もいる事でしょう。
でも、そのような人は、何なら、サポート用ロボットを使用せず、自分一人で生活しても構わないのです。サポート用ロボットを持っていたとしても、人に知られたくない行動をする時は、その時だけはサポート用ロボットの記録機能をオフにしておいたり、あるいは、サポート用ロボットに何かを進言されても、そのアドバイスに従わないと言う選択肢も、全然許されるのです。
しかし、サポート用ロボットのバックアップがない状態で、その人が突然の犯罪や災難に見舞われた場合は、その人が純粋な被害者であったとしても、非常に不利になってしまう恐れがあるでしょう。どんなに真実を訴えたとしても、皆に信じてもらえないかもしれないのです。だって、客観的で信憑性のあるサポート用ロボットの記録が残っていないのですから。
自由と言うものを過剰に正義視する事は否定しませんが、その「自由」には、常に絶対的な「自己責任」も伴なわれている事も忘れてはいけません。自己責任は、時として、束縛される以上の重荷にもなるものなのです。




