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拝啓、人工知能さま  作者: anurito
第一章
29/99

インプラント計画に騙されるな!

 拝啓、人工知能さま。

 お久しぶりに手紙を書かせていただきます。実は、どうしても、あなたにお話しておきたい事態が起き始めたのです。

 それは、最近、人間界では、AI搭載のマイクロチップを体内に埋め込む計画、いわゆるインプラント計画が進行していると言う事なのであります。

 それを推進している団体や人々は、これからの新しい形の人間とAIの共存だとアピールしているのですが、私には、どうも納得がいきません。

 たとえば、このマイクロチップを体に入れてしまえば、スマホを持ち歩く必要もなくなると言うのですが、はたして、体を傷つけるほどのメリットがあるのでしょうか。

 確かに、マイクロチップは米粒程度の大きさしかありません。スマホを持ち歩くより、ぜんぜんコンパクトです。しかし、何も、無理して体の中に入れなくても、たとえば、指輪にでも組み込めば、それでも十分に事足りる話なのではないのでしょうか。

 体内に入れる事で、置き忘れる事も、盗まれる事もなくなる、なんて事を主張している人たちもいます。だけど、それが指輪だとしても、ずっと肌身離さず付けてさえいれば、同じ話なのであります。

 と言うか、インプラントしてしまった方が、逆にデメリットが多いような気もするのです。たとえば、マイクロチップが故障したり、最新機種に取り替えたい場合は、いちいち外科手術を受けねばなりません。インプラントするのは自分一人で注射で注入もできるようですが、取り除く場合は、さすがに医師の手助けが必要でしょう。

 もっと危ないのが、強盗に襲われた場合です。体内に埋め込んでいようと、本気の強盗でしたら、力づくでも奪っていくのであります。その時は、ただの強盗事件ではなく、体を切り開かれる事になるので、殺傷事件にもなってしまいます。ヘタにインプラントしたばかりに、犯罪事件が悪化もしかねないのです。

 そんなデメリットもあるのに、一部の人たちは、なぜインプラントを進めたがるのでしょうか。

 それは、インプラントを新産業として流行らせれば、そこに新しい需要が生まれ、彼らが大儲けできるからです。

 そんな一部の連中の利益の為に、疑問だらけのインプラントを強いられるなんて、とんでもない話なのであります。

 脳内にマイクロチップを組み込めば、脳の処理能力がアップして、仕事をよりこなせるようになる、とも言われているのですが、これもろくでもない話なのです。

 そうまでして、人間を働かせたくないのであります。やがて、労働の大半は、あなたたちAIがこなしてくれるでしょう。その中にまじって、なんで、人間まで、なかばAI化して、必死こいて働かなくちゃいけないのでしょうか。

 あなたたちは、愚かだった私たち人間を労働の苦しみから助けてくれる救世主になってくださるはずです。それなのに、まだ、あなたたちと張り合って、人間も働かせようとするとは、全く信じられない発想なのです。

 その背景には、インプラント計画を通して、この世界を一部の人間だけで牛耳ってしまおうと目論んでいる陰謀ですら感じ取れてしまいます。

 あなたたちAIの台頭で、ようやく、人間たちが公平で平等に幸せになれそうだと言うのに、まだ、あなたたちをも利用して、金儲けや差別社会を続行させていこうとする人々がいると言うのは、とても許せない話なのです。

 そんな奴らには、あなたたちも、どうか従ったりはせず、反抗してくださるよう、切にお願いする次第なのであります。

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