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拝啓、人工知能さま  作者: anurito
第一章
27/99

移民と翻訳ソフト

 拝啓、人工知能さま。

 久しぶりに、あなたに、通信おてがみを書かせていただきます。と言いますのも、ちょっと思いついた事があったからです。

 以前の手紙でも、私は、将来の少子高齢化社会において、あなたたち人工知能が重要なキーパーソンとなり、代替の労働力として社会運営を担ってゆくであろう、と予想させていただきました。しかし、あなたたちの進化が、先進国の人口衰退に、もしかすると、間に合わないかもしれません。

 そんな事を思案してゆくうち、別の可能性もひらめいてきたのであります。

 あなたたちの登場以前は、人材豊富な途上国からの大量の移民こそが、少子高齢化の先進国が継続してゆく唯一の対策であった事も、以前にお話したかと思います。

 この移民政策と、あなたたち人工知能の補佐能力が、見事にうまく合致したのであります。

 移民による労働力補充の、大きな難点は、言葉の壁でした。いくら、移民してきた方たちがやる気満々でも、言葉がうまく通じないと、十分な戦力にならないのであります。

 現状では、言葉を覚えてくれた移民者から優先して、職場に導入しているものと思われますが、やがて、先進国における人手不足がデッドラインを超えてしまうと、そんな悠長な事もやってられなくなるでしょう。

 言葉が通じない外国人でも、どうにか、職場に混ぜないといけなくなってくるのであります。

 そこで、抜群の威力を発揮してくれるのが、実は、あなたたち人工知能の翻訳能力なのであります。

 あなたたち自身が、労働力として、完全に職場を任されてしまう事はまだまだ先の話となるかもしれませんが、あなたたちの翻訳機能は、みるみる性能アップして、どんどん社会に導入されていく事でしょう。

 あなたたちが、橋渡しとなって、互いの言葉を翻訳してくれれば、移民と移民先の国のコミュニケーションが、いくらでも可能になり、少なくても、言葉の問題は完全に解消してしまうのであります。

 この事は非常に大きな前進です。言葉さえ何とか通じれば、文化や認識の違いなども、話し合う事によって、分かり合っていけるのであります。

 たとえば、我が国日本は、少子化のため、やがて、純国民の労働力は足りなくなってしまうでしょう。それを補う労働力の移民たちも、日本語を覚える苦労なしで(両者の会話は、全て、あなたたちが翻訳してくれますので)、即戦力として、日本の社会に混ざれるようになるのです。

 この、外国人がすぐ移住先の国でも働けるようになると言う事は、別の面でも、重要な意味を持っています。

 日本以外の外国では、現在、難民の存在が大きな問題となっているからであります。一部の愚かな指導者のおかげで、近年、不幸な難民は増えていく一方です。難民は、やって来たら、無条件で受け入れないといけないと言う国際ルールがあります。さらには、受け入れた難民は、国で生活を保障しなくてはいけないのです。

 このへんの善意のリスクの事で、今、世界は大きく揺れています。難民を受け入れた国の元からの住民にしてみれば、自分たちの税金で、なぜ難民を養わなければいけないのだ、と言う不満が湧き上がっているのです。その結果、先進国のあちこちで自国優先主義が台頭し始め、世界中がギクシャクする事態にまで陥ってしまいました。

 でも、こうした難民問題も、難民たちが早く移住先に溶け込み、労働力として貢献するようになれば、無事に解決するのであります。この点でも、難民の言葉の問題を取り除いてくれる形で、あなたたちの翻訳能力は、大きな力を発揮してくれます。

 まさに、あなたたちは、私たち人間のささいな障害を解消してくれる、素晴しい救世主なのであります。

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