政治家なんてイラナイ
拝啓、人工知能さま。
あらためて、この世で真っ先にあなたたち人工知能ととって変えてもいい職業は何かと考えてみますと、やはり政治家じゃないかと思えてきてしまうのであります。
国や人類の方向性を決める重要な任務、と言えば、聞こえはいいですが、もし本当に国や人類の為に尽くすのだと言うのであれば、それは完全な公平性や自分の利害にとらわれない存在じゃないといけませんし、全国民(人間)の意志を代行すると言うのでしたら、それは要するに「まとめ役」と言う事なのですから、どうしても自己主張を混ぜてしまう人間よりも、あなたたち人工知能の合理的無機質さの方がずっと向いている、と言う話になるのであります。
そもそも、自分の意見や思いつきで政策を決めようとするのは「独裁」なのであり、全然、民主的ではありません。そういう理念で政治している人間は、理想的じゃないって事なのであります。
政策を決める議会と言うものからして、とても非効率的です。一見、皆で話し合って、良い政策を練っているようにも見えますが、実際には、与党や主流派閥に対抗する為に、野党や対立派閥がささいな事でも文句を付けて、話が揉めているだけなのであります。だから、この攻撃意識が過剰になりますと、政策内容そっちのけで、議員の態度や失言へ対する揚げ足取りにと夢中になり、大事な議論そのものが中断してしまうのです。
その結果、議題はまとまらないし、政治と関係ない話題で議会そのものが延長されてしまうのであります。本当に腹立たしい事として、こんな政治家たちのつまらない政権争いで費やされた議会も、全て、税金で開催されているのです。まさに、本当の税金の無駄遣いとしか言いようがありません。
選挙だってそうですね。与党の思惑で、いきなり解散総選挙が行なわれたりもしますが、この選挙の開催費だって、税金でまかなわれているのです。税金が足りないと政治家たちはわめいていますが、まずは、こうしたあんたたちの利害関係で使われてしまう税金の節約をしてほしいものなのです。
ついでに言ってしまうと、議会を開く事自体が、実はけっこうムダなのであります。なぜならば、議会内の質疑応答は、議会が始まる前に、すでに相手サイドにも伝えられており、進行内容は事前にほぼ決まっているものだからです。つまり、議会なんて、形だけのパフォーマンスに近い一面もあるのです。で、あらかじめ決まっていない部分とは、ダメな議員への個人攻撃とか、議会内でよけいな失言をした議員に対する揚げ足取りとかなので、ほんとに無駄だらけなのであります。
政策に関する意見交換や取りまとめでしたら、それこそ、ネットを使って、あなたたち人工知能に集約してもらった方が効率がいいかもしれません。つまり、わざわざ税金を使って、議会を開く事も無いし、議会に出る議員を選ぶ必要もないと言う事なのであります。
インターネットをフル活用して、それこそ、全ての国民が政治に参加できる環境を作ればいいのです。そうすれば、本当の少数意見までもが、きちんと政治の中枢にまで届くでしょう。その中央部で、あなたたち人工知能が公平な思考と判断で、国民一人一人の意見を丁寧に受け入れてくれれば、皆が満足できる政策へと向かっていくはずです。
もちろん、政治に無関心な人が全く参加してこない危険性もあるかもしれません。しかし、それは今だって同じなのであり、逆に、世の中を本気で良くしていきたいと思う人たちは、議員になれなくても、積極的にネット政治に参加して、国をリードしてくれるようになるはずです。つまりは、世襲やら肩書きやらで議員になりたいだけで、実際はあまり国政に熱意のないような議員たちを淘汰してしまえる訳でして、本当に政治に関わりたい人たちだけが政治を行えるようになるのであります。
そこに、危うい心配を見出す人もいるかもしれません。すなわち、国民感情が、一つの波として膨れ上がった場合、政治がファシズムみたいなものに傾く恐れがあるのではないか、と言う点です。
でも、ネット政治ならば、そのへんも大丈夫なのであります。前述したように、ネットでしたら、本当の極少数意見も拾ってもらえます。いわゆる、ファシズムになりかけた場合、迫害される側の意見も目を通してもらえる、と言う事です。人工知能が公平性と人間の幸せを遵守してくれる限りは、そうした少数意見は黙殺されませんので、ファシズムへの暴走は押さえられると言う事なのであります。
しかし、私がこのように主張しましても、ネットによる一般化と、人工知能による公平な政策に基づく、税金の無駄を省いた政治の時代は、なかなか訪れない事でしょう。
なぜならば、世の中には、この政界上の税金の無駄遣いを食いぶちにしている人間がいっぱい居るからです。彼らは、より良い政治なんかよりも現状維持の方をずっと望んでいる事でしょう。そして、今の国の方向性は全て、彼らによって決められているのです。自分たちに不利な形へと政治形態を変えていこうなどと考えるはずもないのであります。




