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拝啓、人工知能さま  作者: anurito
第一章
21/99

モニター授業

 拝啓、人工知能さま。

 あなたたちに取って代わられるであろう職業の一つとして、私は、まず、学校の先生をあげておきたいと思います。

 あなたたちがロボット教師となって教壇に立つ、と考えているのではありません。モニターを使った授業が全体的に普及して、その教材用のモニター映像づくりに、大いにあなたたたちの力が活用されるのではないかと推測されるのです。

 そもそも、先進的な塾などでは、すでにモニター学習がどんどん取り入れられているのであります。人間の先生が直接、生徒たちを教えるスタイルこそ、もはや遅れた授業方法になりつつあるのです。

 義務教育がモニター授業になる事で、望まれる効果といたしましては、真っ先に、全ての子供たちが同じ内容の授業を受けられる、と言う事があげられます。つまり、教師側の原因、いわゆる授業の教え方がヘタだったり、感情的なエコヒイキなどを持ち込んだりしたせいで、その時点で、生徒側の学力差がついてしまう懸念がなくなるのであります。

 教材用モニターは、あなたたち人工知能が我々人間の教育者と手を組んで、生徒たちがもっとも分かりやすいであろうベストの内容のものを作ったら良いでしょう。そうする事で、生徒たちがより均等に学力をつけられるであろう効果も期待できるのであります。

 しかし、そんなものを導入したら、現在の学校の先生の仕事が無くなってしまい、大量失業してしまうのではないか、と不安に思う人たちもいるかもしれません。

 いいえ、そんな事はないのです。

 基礎授業だけ、モニター授業に任せる事にして、人間の先生は、そのモニター授業にさえついて来れなかった生徒や、あるいは、モニター授業以外の特別講義を望んでいる生徒たちへの対応に専念すればよいのであります。

 大体、今までの授業方法が、基礎授業だけをこなすのに精一杯なありさまで、そこから外れた生徒をおざなりにして、落ちこぼれを生み、さらに大きな問題まで発生させていました。学校の先生がこなさなくてはいけない仕事は、部外者が想像している以上に、大変なのです。

 でも、基礎授業の仕事から解放されるだけでも、先生もだいぶ余裕が持てるようになり、もっと生徒のさまざまな教育に携われるようになるはずなのであります。

 極端な話、学問を教えるのは、全て、人工知能の教師に任せてしまってもいいのです。そして、人間の教師は、人間として子供たちに学ばせなくてはいけない事を教えれば良いのであります。

 善悪とか、モラルとか、愛し合う大切さなどと言ったものをです。これらの学習だけは、さすがに、あなたたち人工知能から教わる訳にはいきません。人間から人間へと伝えていかなくてはならないものなのであります。

 授業を行なう為の準備の時間が無くなれば、その浮いた時間を個々の子供たちの学問の学習以外の問題につぎ込めるようになります。

 いじめの問題とか、進路や将来の問題、あるいは、家庭の問題などにも、もっと積極的に取り組めるようになる訳です。モニター授業が本格的に導入されれば、学校にはびこる種々の生徒たちの問題もいっきに解消されていく希望が見えてくるのであります。

 ただし、こう私が主張しても、なおも、勉強は人間が教えるべきだと固執する人たちもいるかもしれません。きっと、そうした人たちは、自身が、子供の心の教育とかに関心がないから、そのように考えるのでしょう。彼らは、子供の本分は、勉強する事だけだと思っているのです。勉強しないで落ちこぼれるのは本人が悪いのであって、競争原理こそ社会の基本なのだから、そこに勝ち残れないような弱者に手を差し伸べる必要などない、ぐらいの事まで信じ切っているのかもしれません。

 だけど、そんな考え方が、結局は、学びの場で脱落者を生み出し、それが差別やらいじめやら、さらには不良や学級崩壊などまで引き起こしていったのです。子供たち以上に、偏った考えの人間の教師たちの方が、これまでの教育現場をグチャグチャにしていたのです。

 モニター授業が導入されれば、学問しか教えられない、あるいは、学問を教える事しか興味のないような人間の教師はいっさい不要となります。子供たちと心で接したい人間の教師たちだけが学校に残る事となり、新しい精神教育を根本に据えた学校教育の時代の幕開けとなるのです。

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