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THE BRAVE  作者: 漢亀
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第一話:旅の目的

処女作です。最後まで読んでいただけたら幸いです。

 「なぁ親父、これがこの街の特産品か?」

 レンガ造りの街並みの中に数多く点在する露店の前で男が鉄でできた機械仕掛けの指で粘土細工を差しながら露店の主人に問いかけ、露店の主人はその問いかけに頷きながら笑顔で答える。

 「あぁそうだよ兄あんちゃん!ここクレイ・タウンは粘土がよく取れっからこの街にはほとんど粘土で出来たモンしかねぇんだよ‼」

 そう言って黄ばんだ歯を見せながら豪快に笑う露店の主人を横目に男は周囲を見渡す。確かに露店の主人の言う通り家も道、その他諸々レンガや粘土を焼いてできているようだった。

 暫くして男は周囲を見渡し終えると露店の商品を品定めする。

 商品に並んでいるのは様々な粘土細工。様々な形の置物やアクセサリー、運気などを上げるものなどが置かれている。

 その中でも男が特に注目しているのが運気などを上げる置物である。そこらを男が見ていると露店の主人が細かく効果を教えてくれた甲斐あって男は早く商品を選ぶことができた。

 男が選んだ商品は招き猫を模した手のひらにの乗るほどの小さな置物と粘土細工が付けられている男用のネックレスである。招き猫の置物にはには厄祓いと運気を引き寄せられる効果、ネックレスには旅の安全が祈願のお守りらしいのだが男は半信半疑だった。

 しかし露店の主人からは疑っているとただの置物でしかない、と言われてしまったので男はとりあえず効果を信じて買い露店を後にする。

置物が入った袋片手に少々歩き今度は食べ物を取り扱っている店に入り、鮮度の良い果実や肉類を多く購入する。

 店の女主人が袋に入れて男に渡してくれるが、袋の重量は男の義手の両腕では持てない可能性があるので、男は食品が入っている袋に触れて袋ごと一瞬で消す(●●)

 「わっ⁉なんだいこれ‼」

 「ちょいと持てないかもしんないんでね。悪いね」

 大して感情の込もっていない謝罪をする男に女主人は思わず苦笑してしまう。

 「全く…それ『魔法』ってヤツかい?」

 男は女主人にあぁ、とだけ言って置物が入った袋も消しながら店を出ていく。

 その後男はどこにも寄らずにクレイ・タウンを出ていった。














 クレイ・タウンを出ていった後男はすぐ近くを流れる大きな河の横を歩く。暫く歩くと河の真ん中に大人が三人ほど座るほど大きな岩があった。

 その大きな岩に座っていたキャスケットをかぶる幼い少年が男を見つけると立ち上がって笑顔で手をぶんぶんと振っている。

 それを見て男は少年の所まで跳んでいく。

 「色々買って来たぞ。カイ」

 カイと呼ばれた少年のすぐ脇に着地した男は何もない空間から先程買った果実を手に出現させ、それを手渡そうとするとカイは果実を素早く男の手から奪い取りむしゃむしゃと果汁と飛ばしながら食べ始める。

 果汁を飛ばしながら食べるカイを見て、男は小さくため息をついてカイを足で河に落とす。

 「ゴボハァ⁉なにすんのナナシのアニキ‼」

 「果実に水水しさを与えようと思ってな」

 座りながら真顔で適当な理由を言うナナシと呼ばれた男。それに対してカイはキャスケットを左手で押さえ右手で食べかけの果実を持ちながら猛抗議する。

 「ぜったい違うでしょう⁉それに元からみずみずしかったよ‼あとこの河ドブ川だったら食べれなくなってたよ!」

 「食べ物を粗末にするな」

 「アンタがだよ‼」

 ナナシに抗議するもまともに応対されないと悟ったカイはため息をつくと先程いた岩によじ登る。カイはよじ登った後服を絞り終えるとナナシの横で仰向けになり果実を再び食べ始める。

 「そう言えばこんなモン買ったぞ。安全祈願のネックレスだそうだ」

 ナナシが果実を食べているカイの腹の上ににネックレスを置くとカイは果実を食べながらネックレスを手に取り目の前に垂らしながらそれを見る。

 「…ボクだけじゃなくてアニキにも必要なんじゃない?この旅には」

 「俺はちゃんと厄祓いと運気引き寄せる置物買ったから大丈夫だ」

 抜け目ないね、と呟き上体を起こしたカイはネックレスをつけながらナナシに確認する。

 「…ちゃんとボクをみんなのところに連れってくれるんだよね?」

 「だから連れってってやっから。海が見える家に住んでるお前の家族の所へ。お前を育てたヒト達に興味があるからな」

 ナナシの言葉を聞いたカイはキャスケットを取り頭部に生えている二本の小さな角(●●●●●●●)を触る。

 「そんなに変かなぁ?この角生えてんの」

 「多分俺以外のヒトが見たら悲鳴上げるぞ。そら、さっさと帽子かぶれ」

 「ひどい話だねぇ~。ボクなんもしてないのに」

 カイがキャスケットを再びかぶりながら出た言葉を聞いてナナシは思わず苦笑してしまう。それを見たカイは首を傾げる。

 「まぁお前は被害者か」

 「そう…?」

 よく分かっていない様子のカイを横目にナナシは立ち上がって体を伸ばしながら捻じって背骨を鳴らす。

カイもそれを真似して立ち上がって体を捻じるが背骨を鳴らすことが出来なかった。

 カイは意地になって勢いよく体を捻じろうとするがナナシの拳骨がそれを阻止する。

 「痛っつァ!なにすんのアニキ‼」

 「腰痛めるからやめとけ」

 「なんかもっと違うやり方あったでしょ!…まったく」

 ナナシは頬を膨らませプンプンと怒るカイの頭をぽんぽんと撫でて、カイに背を向けてしゃがむ。カイはナナシの首に手をまわし、両足で腰にしがみつきナナシにおんぶをしてもらう。

 ナナシはカイがちゃんと捕まったことを確認すると、立ち上がり岩を蹴って河と跳び越え地面に着地する。

 着地するとカイはナナシから降り隣に立つ。

 「さてと、行きますか。お前の家族の所へ」

 「うん‼」

 拳を天に突き上げ出発進行ぉー、と元気良く走り出すカイをナナシは歩いて追いかけていく。

 晴天の中、これから二人は海が見える家を目指し歩いて行く。



 

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