六
「どんな夢?」
「紙回しが、流行ってた。……メッセージ書いて回すやつ」
「へぇ~……だから聞こえたんだ」
「え?」
「ううん、何でもない」
隣で独り言を呟いたカミは、星空を見て、目を瞑ってしまった。
「そう言えば……何で俺には、カミが見えるんだ?」
カミと同じように、空を見上げてみる。
完全に真っ黒ではない紺色の空に、きらきらと光る星が散らばっている。
「えー?」
隣からは、クスッとした笑い声が聞こえてくる。
「だってお前、幽霊って事なんだろ?」
「んー……どこか、共通点があるのかもね?」
「共通点……?」
「あ、そうそう、仲直りのことなんだけど」
「えっ、あー……」
聞こうとしたのに、はぐらかされてしまったような感じがした。
「……誰と仲直りしたいの?」
「宮川君と同じクラスの、咲良って子」
「咲良?」
同じクラスの女子なんて殆んど気にした事が無かったから、いまいち、ピンと来なかった。
「もしかして、わかんない?」
「うん、ごめん」
カミが、あははっと笑う。
「長い黒髪で、頭が良いかな。結構大人しめの性格だったと思う」
「その子に、仲直りしたいって伝えればいいの?」
「そ。できる?」
顔を覗き込まれる。
不意に顔が近くなって、思わずドキリとした。
「あ、あぁ、わかったよ。じゃーな」
そう言って立ち上がる。
いきなり距離が近くなったせいで緊張したのか、肩に変な力が入っていた。
けれどこのドキドキも、またどこかで感じたことがあるようだった。




