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カミ回し   作者: 天川 奏
美香と咲良と俺
17/33

十七

 社にぶら下げられた、提灯のようなものから少し漏れた光で見えた頬は、うっすらと赤く染まっている。


 「なに?」


 「小学校の時、下駄箱に、紙が入ってた」


 一瞬、驚いて肩が揺れると、顔が熱くなっていくのがわかる。


 「あれ入れたの、和樹くんだよね」


 「あの紙、読んでたの……?」


 「……『ぼくは、みかちゃんが、すきだよ。』」


 美香が呟いたのは、小学校の時、ノートの端を千切った紙切れに書いた言葉だった。

 

 「読んでたんだー……」


 「字、ぐちゃぐちゃだったなー」なんて隣で笑いながら、美香はさっきより頬を赤くしている。

 それを、「恥ずかしいから止めて」と言って止めた。


 「もう、八時過ぎたかな」


 「じゃあ、和樹くんは帰った方がいいね」


 心臓の音も少し落ち着いてから、帰る為に立ち上がって、神社の鳥居まで歩く。


 「うん、最近受験勉強もしてないし」


 「わっ、私のせい⁉」


 階段から鳥居までは少し距離があるから、声が大きくなる。


 「いいよ。美香に会うの、楽しいし!」


 「あははっ、ありがと!」

 

 右手をぶんぶんと振って飛び跳ねている美香を見ながら、こっちも手を振って歩き出す。

 最後に、「また明日!」と聞こえて、頬が緩んだ。 

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