閑話 松原氏の発狂
お久しぶりです皆さん。ブクマしてくださってる方が11人もいるこの小説。いやー、ブクマが少ないと更新が遅れてても気楽でいられますね。
「いいか?もう一度だけ言おう。君は人を殺したんだ。それも、何度も何度もいたぶって。少年院に行くことは確定だよ。それと、君の友達ね。彼ら、いや、彼と彼女らは無罪判決。主犯は君だけらしいね。一応あと学校に通える期間は設けておいた。遺書に書かれていたからね。明日と明後日。精々楽しい思い出にするんだね」
そういってジジイ共は校門前で俺達を解放した。そして車で去って行った。
…くそがっ!!
阿部ェ…てめえ、何しやがった!!
・・・・・・・・・・・・・・・
ニヤッ
あいつは最後にそう笑って、死んだ。
バアアアアアアン
凄まじい音がする。
「…ゴクリ」
誰かが生唾を呑んだ音がする。それは隣にいる面伊がしたものかもしれないし、後ろにいる女子達の誰か、ひょったしたら自分が、または全員がしたものかもしれない。
スス…面伊が怖いもの見たさ故か、階段から前のめりになって顔を出す。
…………………
………
…
オロロオッロロロロオロオオオオ
静寂故によく響く嘔吐の音。他の場所からも聞こえてくる。そして。
「っっっ!!っきゃああああああああ!!?!?!!?!」
「あ、ああああああああああああああ!!!!?!!!?!?!」
「ウワアアアアアアアアアアアア!?!?!!?!」
どこからともなく悲鳴が聞こえてくる。
あれ、俺さっきまで何してたんだっけか。
俺の名前は松原隆勝。金松高校に通う学生だ。
そうだ。それで今日もあいつをなぶりに行くんだった。そう。で、さっき落ちてったのは?なんだ?ナンダ?思い出すのはあのムカつく笑顔。
いつも通り屋上まで行って…鍵を開けて…それが、屋上近くの階段であいつが落ちて…あれ、違う。そうだ。屋上に向かう途中の階段にいたんんだ、俺達は。そして、屋上にいく扉ん9前にあいつが待っていて、声をかけようとしたら落ちて…
隣には昔からの友人である池野面伊を、後ろには俺達と仲のいい女子グループのビッチ達、向、沖田、稲美を引き連れてきていた。そう。そうだ。それで今日は久しぶりに屋上から落とすつもりだったんだ。今の時期は2月。北陸地方ってだけあって雪はいっぱいだから、落ちても大丈夫なはずだ。前回まではそうだったからな。
それで、アソコにある赤い、肉塊はなんだ?エ?あ、あ、あ。
「おヴぇええええあおえあおあおあおおおえええええ」
見ているだけで悍ましいソレ。本当になんなんだ。
いや、本当は分かってるんだ。アレは、阿部だったものだ。俺達と、いや、俺と毎年毎年同じクラスだった、阿部普通。成績は無駄に学年トップ。あいつが行った塾はたちまち評判は良くなり、あいつが行ったコンビニでは様々なくじ引きなどで大量の当たりがでる、と言われていて運男とも呼ばれている、顔達も整っている、いや、いた、あいつ。
そう。あのピンク色のうにょうにょしたやつが、だ。
「うっ、っ、、オエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ…」
見ているだけで、いや、あの光景を思い出しただけで吐き気がする。
あ、ここはどこだ?見慣れた壁の色、保健室だ。そうだ。今のはきっと夢だったんだ。
「夢…か?」
『残念ながら、夢じゃないぞ』
!?
足元から声が聞こえた…気がした。
声が聞こえた方向を見る。そこにはあの肉塊が。現実に引き戻される。
「ウ、ウ、オオオオオオオオオオオオオオオオ」
なんだ、何がどうなっている。陽菜は、志保は、莉奈はどうした。面伊は?どこだ?なんだ、そこにいるじゃないか。ハハハ、アッハッハッハッハアハハハハハハハハハハハアハハハハッハハハハハアアアアア。あー、楽しい。
ベシャッ。
・・・・・・・・・・・・・・・
「んっ…」
「起きたかい?」
バッ
急速に意識が回復する。
「あれ、ここは?」
周りはよくわからない機器らしきもので覆われていて、いや、これは…どこかの研究所?
「ここは病院、いや、何と言うか、まあ、あれだ。我々は訳あって君らを拘束させてもらっている」
俺はまだ冷静じゃなかった。なのでちょっと考えればわかるようなことを疑問に思って聞いてしまうなどといった愚行を起こしてしまったのだろう。
「は?なんで俺が!?てかあんたは誰なんだ!?どうやって俺をここに連れてきた!?他の奴らはどうしたんだ!?」
「まあ落ち着け、落ち着いてくれ松原君」
「ああ“?これが落ち着いてられっかよジジイ。いいからさっさと吐けや」
「これはこれは。随分と口が悪いんだね。本当にあの金松高校の生徒さんかい?ちょっと信じられないね」
「いいからさっさと外せこれを!あくしろよジジイ!」
ガチャガチャと音を立てて抵抗する。今は手と足が拘束されていて、首だけが動くようになっている状況だ。まじでざけんなよ。なんで俺がこんなことされなきゃいけねえんだよ。
「いいから落ち着けと言ってるだろう。全く。先生の言う通りでしたね」
先生?その単語に、荒れていた俺は少し理性を取り戻す。
「死体を見た後ですからね。こうなるのは至極当然と言えますよ。特にグロテスクな死体でしたからね、あれは」
声がしたほうを見てみると白衣の女性が。それでいいのか、と言いたくなるくらい髪がボサボサだ。にしてもすっげえブスだな。
「あんただれだよ!なんで俺がこうなってんだよ!さっさと解放しろよ!……そうだ、そう。これは犯罪だぞ?いいのか?こんなことして。絶対てめえらは豚箱直行だぜ」
「…やはり精神が安定してないみたいですね、先生」
あ?俺が精神不安定?喧嘩売ってんのか?
「ええ。こういうめんどくさい相手には現実を突きつけるのが一番手っ取り早いですし、さっさと終わらせましょう」
「あ?さっきからなにを言って…?」
「いいですか?豚箱行きなのはあなたですよ、犯罪者君」
「…………は?何言ってんだよあんた。新手のキチガイか?内うちのクラスでもそこまでキチガイなやつは少なかったぞ」
「そんなことは聞いてないよ。いいからもう一度言おう。君は犯罪者だ。人を殺したんだ」
「は?」
ナニイッテンダこいつ。俺が人殺し?そして思い出されるのはあの光景。
「ウワアアアアアアアア」
ガタンガタン
俺が暴れると、それに釣られて拘束具が揺れる。
「やっぱり精神に異常が……」
「ええ。そのようですね。さすが。先生の言う通りでしたね」
「ウワアアアアアアアア」
「ウワアアアアアアアア」
「ウワアアアアアアアア」
「いい加減に落ち着け!少年」
「ウワアアアアアアアア、ああ、ああ。あああ」
「とにかく君は……」
・・・・・・・・・・・・・・・
登校中の、校門前付近。
ヒソヒソヒソヒソ
ジロジロジロジロ
「チッ」
思わず舌打ちをしてしまう。昨日帰ってからも、ずっとこうだ。
「あれが……」「やめてほしいわね……」「阿部くん……」
阿部……何しやがった。たしかあいつらは遺書がなんとかっつってたな。何しやがった。阿部。
「お、おはよう、バラ」
「ああ、おはよう」
若干遠慮がちに話しかけて来る面伊。
「えっと、その…大丈夫、か?」
「何がだ?」
「その……」
「昨日の後のことか?阿部のことか?」
「両方だ。その…悪いな。俺にはなんのお咎めもなくて…」
「……チッ」
やっぱり俺だけなのか。
「あ、その、すまん」
「いや、いい。それより、俺と一緒にいていいのか?周りの目が痛いぞ」
ホラ、といって周囲に目を向けるよう仕向ける。
ヒソヒソジロジロ
「……たしかに、あまりいい気分ではないね」
「だろ。だからお前はどっか行け」
「……なあ」
「なんだ?」
どうしたんだ?んな顔して。
「俺達さぁ……友達、いや、親友だよな?」
その質問に俺は目を丸くする。
「……お前がそう思うならそうなんじゃないか?お前の中ではな」
恥ずかしかったので、ついネタでかえしてしまった。
「そうか…じゃあ、問題ないな。言うのは恥ずかしいんだが、ほら、その…友達と一緒にいる事なんて、何もおかしなことはないだろ?」
「……恥ずかしくないのか?」
「だから恥ずかしいって言っただろ!?」
「ハハッ」
正直言うと、嬉しいし、言われたこっちが恥ずかしいんだがな。
「まあ、ありがとうな。ちょっと元気がでたよ。ちょっとな」
・・・・・・・・・・・・・・・
周囲から奇異の眼を向けられながら教室まで出向く。
下駄箱の鍵を閉めておいて正解だったな。たぶん開けていたら面伊へのラブレターと同じくらいの量のモノが俺の下駄箱にも入っていただろう。
ガララッ
教室を扉を横にスライドして開ける。
そして突き刺さる数多の視線。今まで楽しくしていたであろう談笑の内容が変わり、俺への罵倒や阿部への同情になる。さらに、俺に続いて教室に入ってくる面伊への同情。
「チッ」
「ひっ」
俺の舌打ちで、教室の扉に一番近い席にいた女子が悲鳴をあげる。それに合わせて余計にあることないことを話し出すクラスのやつら。ざけんな。てめぇらだって散々阿部のこと非難してたじゃねえか。俺だけに責任転嫁か?あ?
「おい、松原」
「?どうした委員長」
俺に戸惑いの視線を向けながら話しかけて来るクラスの委員長。
「お前……あの噂は本当なのか?」
「噂…?」
どの噂だ?
「その……阿部が、お前に……その、だな」
言いにくそうにしているので言ってやろう。
「俺が阿部を精神的に追い詰めて……イジメて自殺に追い込んだ話しか?それなら本当だぞ」
「そうか……見損なったぞ松原。……………すまなかった、阿部…私はなんてことを……」
委員長も俺ぼ口車に乗せられて、いや、この学年の殆どは俺の話しを勝手に曲解して、阿部のことを責めてたからな。委員長は責任感が強く、男性恐怖症を患う今どき珍しい女子だ。それが原因というのもあり、実質何も悪くない阿部のことをとにかく責めていたからな。罪悪感がすごいんだろう。
「よっす松原。感謝してるぜ。お前のおかげで一限目が集会になった」
軽いのりで俺に話しかけて来るクラスの男子。こいつはたしか阿部や俺らのことにに無関心だったから、罪悪感的なものはないんだろう。
「そらどうも」
適当に返事をして、自分の机に向かう。荷物を置き、こっちに気付かないふりをしている女子三人組のもとへ向かう。
「おい」
ピクっ
一瞬話しが途切れたが、
「でさー」
再びこちらを無視して話しを再開する三人。話しかけても無駄そうだと思い、席に戻って面伊と話しつつ一限の集会までまつ事にした。
・・・・・・・・・・・・・・・
「起立、礼、着席。それでは、緊急の……」
案の定、俺に突き刺さる周囲の嫌悪の視線。思えば阿部もこんなのだったのかもな。
「今回の阿部君のことは残念でしたが…」
ん?なんだ?これ。地面、いや、床が、光って…?俺達の列、だけ?
それが俺達のクラスの終わりにして始まりだった。全校集会なんだから、どうせなら全員転移させろとは後に阿部が言った台詞な。
どっかのイニシャルKの人に「更新はよ」と言ってしまったので更新。人に言っといて自分はやらないとか最低ですよね。つまり作者は最低なやつってことですね。次回の更新もかなり遅れます。進学先の学校にオタ的な知識持ってる人が一人もいなくてキツイ……進学校怖い!((゜Д゜ll))