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三十五話 酒場と言ったら情報と仲間

今回はしばらく前に登場した王宮騎士二名が出てきます。

忘れている人が多いと思うので、そのうち人物紹介を書いておきます。


この話では覚えていなくてもあまり支障はないと思います。

ワイワイ ガヤガヤ


冒険者ギルドに近く、男が騒いでも問題なく、懐にも厳しくはない店。それが酒場。

今は夜で、武装を解きもしない男どもがここまで騒いでいると、まともな人なら酒場に入ろうとは思わないだろう。


何が言いたいかというと・・・ちょっと入りづらいぜ!!



トントン


Aくんに勧められてきたけど、まだ厨房な俺にここに入る勇気はない・・・ん?


後ろから肩を叩かれた。一体誰だ?


「いぇいっ!」

「おお、えぐっちゃんか!」


どうやらこいつもここで食う気だったっぽい。


できれば一緒に食っていかない?


「いやー、実は派遣された王宮騎士の二人と打ち合わせをしようと思ってきたんだよね」


「ああ、なるほど。じゃあ俺はいない方がいいかな?」


「いや、界人も殺人鬼と戦うときは来てもらうから、丁度いいや」


「ああ、そう?じゃあ同行しようかな」



と言ってえぐっちゃんに付いていく。

男どもがいない奥のボックス席まで歩いていく。

こんな所があったのか。


すると女将さんが気づいてやってきた。


「ボウヤたち、ここに何か用でも?」


その時、えぐっちゃんの目がスッと細くなった。

「風柳という名で予約をした。待ち合わせ相手は既に?」


「あら、冒険者さんかい!えーっと」


「来て・・・いないな」


「ええ、まだ居ないみたいね、先にそこ座って待ってて頂戴」


「ありがとう」


そして、えぐっちゃんはそのまま椅子にドカっと座りこんだ。

・・・。


「なんかえぐっちゃん大人だな」


と言うと、すぐに温和な顔付きに戻った。

「いやー、あはは。異世界来たばっかの時に、今みたいに軽~い感じだと、どうしても舐められちゃうからね。ちょっとでもそれっぽくしないと」


はぇ~。きっと俺が今のセリフ言っても子供のカッコつけって思われて終わるんだろうな。経験の違いか?


「来て・・・いないな、ってセリフも?」


「いや、それは気配感知で探しただけ」


「探しただけって・・・簡単に言うよ」


「いやでも、そんなに難しい技じゃないよ?」


うーむ、やっぱりえぐっちゃんって天才肌な所があるよな。

というか気配感知?が簡単な訳ないじゃないか。


「!」


ん?どうした?


「どうやら来たみたいだよ」


王宮騎士か・・・。レッドグリズリーとかの時に一緒に戦ったけど、あの人達みたいに気さくだといいなぁ。


俺がえぐっちゃんの隣で緊張していると、やってきたのはそもそもその知り合いだった。


「よっ!風柳くん・・・それと?」

「光視界人か」


ケインさんとグランツさんだ。

まさかここで再開するとは思わなんだ。


「なぜ界人くんがここに?」

「そうだぜそうだぜ、今回もえぐっちゃん一人と聞いたぞ」


「いや、かくかくしかじかで」


「ふーむ」

「・・・理由はわかったんだがよ、そもそも界人が付いてくる意味あんのか?」


あ、確かに。足手まといの俺が行かなくても、プロの三人で行ってくればよかったのに。


「それが、新型魔力の件でですね」

「ほう、なるほど」

「それなら納得だぜ」


なんだ?なんの話か聞こえねぇ、俺置いてけぼりだぜ。


「なので今回は折角なので一緒に来てもらいました・・・」


そういえばえぐっちゃんの喋り方がまた大人っぽくなってる。

いや、喋り方じゃなくて、雰囲気が変わってるんだな。


これは・・・そうだ、思い出した。

これは『エグっちゃん状態』だ・・・。久しいかな、小学校の頃を思い出すぜ。

昔、一回だけ小学生の時にえぐっちゃんがガチギレした事があったんだが、それはもう酷い事になった。まあ、詳しくは語らんがな。まるで何百年も生きた人みたいな雰囲気だった。

今回は怒りの感情ではなく、舐められないように覇気を纏っているだけだが、それでもちょっと冷や汗をかいてしまう。


「それで・・・」

「ふむ」

「なるほど・・・で、そしたら・・・」


地図を机上に広げて話し合う三人。どうやら殺人鬼とやらの情報を交換しているようだ。


「そうか・・・大雑把でも場所がわかれば楽になるんだけどなぁ」

「うむ」

「だよなー」


「え?なんか知ってますけど俺」

騎士隊長に教えてもらったぜ?


「界人グッ」

「なるほど・・・こんな形で役に立つとは」

「いやぁナイスナイス!!」


あ、でも騎士隊長さん確か地図もってくんの忘れてたから意味ねぇか。

その事を伝える。


「ってことは・・・」

「界人くん、君・・・」


えぐっちゃんとグランツさんが頭を抱えたり溜息をついたりする。

どういう事かわからず混乱していると、ケインさんが教えてくれた。


「あのね・・・殺人鬼の事は秘密の情報なんだよ」


・・・あ、やっぱり?


「冒険者ギルドが副長直々に風柳に依頼をし、事態の大きさから、王宮騎士二名を裏で派遣した・・・。これ、結構な情報だよ?」


OH MY GOD!よくよく考えたらちょっとヤバイ・・・のか?


「漏らした相手が一般人ならまだよかったけど、街の騎士となるとね」


「はい、すいません・・・」


「・・・まぁ、場所の判明はお手柄だから今回は不問でいいぜ」


「折角だからその騎士にも協力を仰ぐのもよいかもしれないな」


「人手少ないから。三人のみだし」


人手と言えば、そういえばシルフと下っ端Bが・・・。


「ああ、その二人の話は既に風柳くんから聞いておるよ」

「まあ、邪魔じゃなきゃ別に来てもいいと思ってるぜ」


よかった、断られなかった。

と、ここでえぐっちゃんが話を戻す。


「で、発見の可能性ができたのはいいが、問題は戦闘力」


「うむ、その通りだな」


「闇の結晶を奪ったっていう話なんだがなぁ・・・」


ケインさんが言葉を濁す。


「実はそれが想像以上に危険な物質だったみてぇで」


グランツさんが挙手する。

「それについては私が説明をしよう。


その闇の結晶は魔王の復活を妨げる儀式に使われる道具の中でも最も重要な部類に入っていてな。帝国の御三家の『勇気』を象徴するムート家から命懸けで奪っていったらしい。


少しずつダメージを与え弱らせた所に止めを刺すためにムート家の精鋭達が追っていったが、ギリギリの所で逃したらしい。

因みにこの精鋭は我ら王宮騎士と同じ戦闘力を持つ戦いのエキスパートだ。


そのまま深夜に帝国と王国の間にある村の住人を闇の力で生命力を奪い、王国に侵入。このままこの街で完全な形で傷を癒すつもりのようだ。


しかし、ここまで長期間滞在しているとなると、闇の力で逆にその殺人鬼が呑み込まれているかもしれん。つまり、パワーアップだ。


先ほど言ったように、結晶はとても強力のようだ。詳しくは最重要機密らしく、調べられなかったが。機密に成る程の価値があるから、用心してしかるべきだろう。



当然殺人鬼本体もそれなりに強いから、油断はするな。

精神を揺さぶる技を使うという噂もあるようだ。

何かがおかしいと思ったら幻かもしれない、気をつけろ。



そして大事なのはここからだ。奴が帝国の勇者という話なのだが、実際には違うらしい。

異世界人なのは確かだが、何故か未だ帝国で勇者召喚を行ったという話を聞かないのだ。奴の通り名は『灰勇者のF』。Fはイニシャルかなんかなのだろうが、灰勇者というのが非常に気になるな。

なにか裏があるのかもしれない。


勇者の場合は体の一部分に紫色の傘のような文様があるらしいから少し気にしてみるといいだろう。

帝国は『灰勇者のF』が勇者だと公式に認めているが、なんだか怪しいのだ。


・・・・・・まあ、勇者でもそうでなくともそれがどうした、という話だがな。

嫌な予感がするので一応話しておいた。


それに帝国だけではない。ホウ諸国とも最近は予定がうまく合わないのだ。

両国ともなんだか時間が変に噛み合わない。


おっと、話が逸れた。

大雑把に纏めると、

・闇の結晶が強力、殺人鬼の体が乗っ取らている可能性も。

・殺人鬼は勇者ではないので実は弱いかもしれない


大体こんなところだな」


「話は終わりか?」


えぐっちゃんが尋ねる。それにケインさんが答えた。


「ああ、そうだな。俺らはその騎士隊長とやらに話をしに行くことにするよ」


「じゃあ、また後で」


そして、酒場からケインさんとグランツさんは去っていった。




・・・・・・腹減った。

最近はもうやりたいゲームが多くてなかなか小説に時間を割けません。


正直部活に魅力を消しゴムのカス程しか感じていないんですけど、運動不足になりたくないので一応続けているのが現状です。

いつも通りゆっくり投稿になりますが、辛抱して頂けると幸いです。

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