せかいのしんり
世界って何でしょう?
楽しいものでしょうか?
孤独なものでしょうか?
「世界ってどうしてあるの?」
ある日、少年が母に尋ねました。
「さあね、それは誰にもわからないのよ」
少年はそれでも気になりました。
「ねえ、世界ってどうしてそんざいするの?」
また別の日、少年は父に尋ねました。
「さあね、父さんも知らないな」
それから誰に聞いても同じような答えでした。
また別の日、少年の住む村に旅人がやってきました。
少年はその旅人にも聞きました。
「この世界がどうしてあるのか、彼方はご存知ですか?」
そのとき少年は12歳になっていました。
「空を見てご覧」
旅人は少年に言いました。
少年は素直に上を向きました。
「うわぁ・・・とってもきれいです」
「そうだろう? 世界はきれいなものを見るためにあるんだとオレは思ってるよ」
その旅人は初めて少年の質問に答えてくれた人でした。
それまで聞いた誰でも子供の戯れ言としてまじめに答えてはくれなかったのです。
「それが、世界がある訳ですか?」
「さあね。それは人それぞれさ。世界はどうして存在するのか聞かれたら、君はどう答える?」
少年は考えました。
今まで聞く事はあっても聞かれた事はなかったからです。
旅人はまた旅に出る事になりました。
優しくて医学の知識のあった旅人は村人たちからひどく惜しまれました。
「僕は世界って疑問を持つために存在しているんだと思います。だから、僕は僕の疑問の答えを見つけるために彼方について行きます」
旅人は拒否もしなかったけれど肯定もしませんでした。
少年は村で一番の働き者だったので村の人たちからひどく惜しまれました。
「大丈夫です。僕はこれからせかいのしんりを探しに行くのですから」
先を行く旅人の後ろからまだ幼い足を懸命に動かして少年はついて行きました。
村の人々は少年はきっと大丈夫だと思いました。
なぜなら、一見少年を気にしていないように見える旅人が時折少年に気づかれないように後ろを伺っていたからです。
それから少年と旅人がどうなったのか。
この村から出ない村人たちにはわかりません。
ですが、風の噂で二人の安否はたまに聞いていたそうです。
よくわからないままか来ました。
ただ何となく書きたくなって書いただけです。