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月の瞳
仙人はまだしばらく工房を調べていくと言った。なので僕だけ森から出て行った。
そこで月の女が待っていた。
「どうしたの」
「この森は監視の目が届きません」
彼女は最近監視室に引きこもっている。目としての役割なら仙人がいるので無駄ではないかという意見もあるけど、僕は少し、違う見方をしてる。外から見るとしていることは仙人と一緒だけど、仙人と彼女では内面が異なりすぎる。
「アルタールがいたよ」
「どうでした?」
「幽霊だった」
「見たことがありません」
「見るほどの価値はないと思うよ」
月の女は首を傾げた。
「人間と因縁があるのですか?」
「ないわけじゃないけど……」
「構いませんが。人間と因縁のないCBなんていませんし」
僕は歩き出す。月の女は隣に並んだ。
横目で見る。夜空の下では、彼女はいっそう輝いて見える。
「まだわたしは見ていませんよ」
「飛ぶときになれば見えるよ」
「なら、もう数日中ですね」
「……」
月の女は横目で僕を見た。
「島は保ちませんよ。嵐が近づいていますから。……天候悪化は、どの予想よりも早いようです」




