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海里の果て  作者: 黒霧
鯉の滝登り
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箱船作戦

 いつ頃からか、竜の建造プロジェクトは箱船作戦と呼ばれるようになっていた。かつて人類がこの星から旅立った作戦名と同じにしたことに、どんな意味を込めているのか、僕には理解できないだろう。


 表層の中央にある塔からエレベーターで地下第三層へ移動した。灰色の壁と無数の枝道に別れた地下通路は、様々な施設のコントロールルームが集積されている。正確には施設のコントロールルームは施設内にあるけど、それをさらに集中管理する部屋がここにはあるのだ。それは竜のマザーフレームと直結している。


 まもなくして目的の部屋にたどり着いた。

 中にいたのはシグレとユアン、それに再生プラントの管理者だった。仙人達の姿はない。今の時間帯は各所を観察しに行ってるはずだ。


「あれー、久しぶり」


 シグレはテーブルの上のホログラムから視線を切った。僕を見て、首を傾げる。


「どーよそっちは」

「どうもこうも、にっちもさっちも」

「へー」シグレはにやにや笑った。「こっちは何とかなりそうよ。安定しないけど当座の出力は保証できそう。でも本物のハーツ・オブ・ドラゴンとは比べものにならないぼろっちい代物だけど」

「それでもどうにかなりかけてるならすごいよ」

「お前の駅に停泊していた大型船」ユアンが口を開いた。「あれのおかげだな」

「ああ、船のを?」

「正解。あいつのジェネレータをモデルに量産、並列に使う」


 想像はできないけど、ともあれ、駅前で墓標のように屹立していたあの船がうまれかわるということか。僕は頷いた。


「いいね」

「連結させるのが大変だけどね」


 プラント管理者が言った。彼女は眉間にしわを寄せてホログラムを睨んでいる。


「それにでかすぎる。三機も連結させれば一機分の重量になるし」

「でもなんとかなりそう?」

「するんだよ」


 そう言って少女は頬杖をついた。言い切ったモノの自信はないようだ。自信があるからできるというものでもないので、僕は言及を避けた。


 そんな折り、室内にアクセスのベルが響いた。ホログラムで仙人が現れる。


「ちょっと変なものを見つけたんだけど」


 全員が僕を見る。

 出て行けと言われたみたいでちょっと気分は良くない。――これも不合理だよなあ、と瞬間的に笑みを浮かべながら僕は席を立った。部屋から出ていく。


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