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海里の果て  作者: 黒霧
恋の島
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暇な駅バス

 駅には時々電車以外の何かが来る。

 で、そいつはひび割れたロータリィに入ってくると、石つぶてをばちばち弾いて透明のプラスチックの屋根の下に停車した。ぷしゅーとため息をついてドアを開けると……。


 ……まあ、中には誰もいなかったんだけどさ。


「昔から聞いてみたかったんだけど、なんで来るの?」

「そりゃまあ、他にすることもないですからねえ」


 答えるバスはけだるそう。充電がそんなに心地いいのか。


「最近は暇が増えて商売あがったりですよ。みなさんどうせ時間を潰すならと歩いてばっかりなのですから」


 かちかちと憤りにライトを点滅させるバス。けど、雨風にさらされた四角いボディはむしろ小さくなったように見えた。……ああ。昔の記憶と比較してたのか。そりゃ風雨にさらされれば小さくなるよね。


「もっと使ってくれませんかねえ」


 ぼやきはいつものこと。僕は苦笑。いったいどれだけの僕たちがそれを思った事だろう。


 その願いをかなえてくれる人間たちはもういない。


 望まれて、助けるために生まれて、そう在る事に疑いなんか無かった日々。

 ああ、なんて懐かしい理想郷。


 なのに人間は、なんでいなくなってしまったんだろう。


「まあ。誰だって暇はいやだよねえ」

 まったくですと答えるバスに、僕はただただ苦笑した。



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