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第十八話

幹部会議の翌日。


鷹飛は、採取遠征に旅立った。

今回の遠征は、盂闥うたつという採取遠征を開始した頃から、鷹飛の片腕となっていた男に任せる事にしていた。

武芸の腕では、鷹飛に劣らない実力を持つと言われているが、鷹飛の命令には絶対服従を誓っており、鷹飛の前に出る事はなかった。


盂闥も鷹飛と出会うまでは傭兵をしており、そこそこ名の知れた存在であったが、戦が終わると単独で行動していたため、三年前、白北郊外で雪狼ゆきおおかみの集団に襲われ窮地に陥った事があった。

そこを鷹飛達に救われ、以後行動を共にするようになった。

鷹飛の人柄を知り、その人物に惚れ込んでいったのであった。


鷹飛は、先日麟冥の思いを知り、採取遠征部隊の仕組みも改善する必要があると感じた。

そして熟考の結果、部隊を三部隊に分け、交代制で採取を止める事無く続けるという案を試してみる事にしたのだ。

盂闥の他にもう一名、洲甫すふという強者にも、次回の遠征を任せる事になっていた。

鷹飛・盂闥・洲甫の三名で遠征隊を形成する予定である。


遠征隊は、二十名程で構成される。三人一組で荷駄車にだしゃを使い、全6台編成となる。

隊長と副長は隊の前後で警備にあたる役割を受け持つ。


狼に襲撃された時は、全員で戦闘し撃退した。

山賊達に関しては、現時点では、荷物の価値を見出せなかったのか、襲撃はされていない。

又、襲撃を受けなかった理由として、采白国軍の協力も大きかった。採取遠征部隊の通過点に簡易基地を数か所築き、各基地に数十名の兵士を配置して護衛してくれていたのだ。

表向きは、北部に多く存在する山賊に対する警備とされていたが、採取遠征部隊への恩恵は絶大だった。

もちろん、国主である吏邦りほうと筆頭大臣景稔の麟商会への計らいである事に間違いなかった。



「盂闥。そろそろ、気を引き締めて行こう。」鷹飛が声をかけた。

「そうですな。狼達が腹を空かせている時期ですからな。」

「ああ、最近は雪狼の目撃談も増えているらしい。」

鷹飛は、うっそうと生い茂る木々を見ながら話していた。

「何となくだが、嫌な予感がする」鷹飛の表情は険しかった。


採取遠征部隊は、国軍簡易基地の保護範囲を外れ、人里の無い地域に到達していた。

雪狼とは、体が狼の三倍は大きい上に獰猛な動物であった。

外観は通常の狼の姿をしており、全身が真っ白な毛並みをしていた。

狼達にとっても食料が少ない痩せた土地である、この辺りに生息するが、雪を食べて育つ事ができる特性を持つ為、雪の多いこの地域では際限なく大きく育つ事ができていた。

しかし、元来は肉食なので、食料となる生き物を見かけると襲いかかるのであった。


そして、鷹飛達の予感は外れていなかった。

珍しく雪が止み、雲間から太陽の光が見えている、昼下がりの出来事であった・・・

雪狼は全身が白い毛で覆われているので、積雪時には発見するのが難しい。

当然、雪狼自身もその特性を活かし狩りをする。


採取遠征部隊に三匹の大きな白い塊が近づきつつあった。


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