プロローグ
政歴1324年。
礼毘と呼ばれる大陸は、動乱の真っただ中にあり、八つの大きな勢力が、しのぎを削り合戦が年中繰り広げられていた。
しかし、数年前に最北の勢力である采白の国が隣接する三カ国に連勝を収め、長年続いた均衡した膠着状態が崩れる刻が来たことを予感させた。
勢いにのる采白の国主は、八つの勢力を収める主達の中では最も若く、主の座へ就任してからの期間も一番短かった。
また、采白は、古来から寒冷地のため、土地は痩せていて、国力が豊かとは言えない勢力でもあった。
それらを考えると、誰が采白の台頭を予測していたであろう。
采白の国主の名は、麟冥という25才の青年であった。
後に北の英雄と呼ばれる人物であり、この物語の主でもある。
麟冥は、百年以上続いた采白の国主の一族ではなく、代々采白に店を構える商家の跡取りだった。
跡取りとは言え、麟商会と呼ばれる麟冥の実家は、采白でも有数の商家であったわけでもなかった上に、麟冥の父、麟皆が若くして亡くなった為、商家の継続も危ぶまれた時期すら見られた。
麟皆の死後、わずか15才で家督を継いだ麟冥を見捨てた部下や取引先も大勢いた。
物語は麟冥が家督を継いだ直後から始まる。
そう、麟冥の人生を変えることになった決断の夜からである。
皆様。初めまして
完全に初めての小説です。(小説と言えるものかどうか分かりませんが)
ですので、色々な方からのご意見を頂けると非常に嬉しいです。
どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。