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人間スイとあやかし玄が営む妖癒旅館―人とあやかしが共に生きる、もう一つの世界―  作者: 桜桃
情報収集

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拒絶

 数か月、スイはお客様のお出迎えの準備をしつつ、両親について聞き回っていた。

 そのついでに、ある噂についても耳に入っていた。


「足のない幽霊だったり、二口女さんが口裂け女みたいに口を裂いて追いかけてきたり、砂かけババァさんのツンデレがなくなってデレデレになっていたり……なに、この噂。しかも、この噂を流しているのが黒緋さんって……」


 部屋で両親の情報をまとめるのと同時に、噂についても整理していた。


 ――――


 お母さんとお父さんの仕事ぶり


 ・二口女さん

 母が未来視のような力を持っていると感動していた。とても慕っている?


 ・雪女さん

 関わりは少なかったが、両親の変な行動を目撃。

 それでも優しい人たちだと思ってくれている。


 ・砂かけババァさん

 よく話を笑顔で聞いてくれていた。

 父は無口だが、策略家だった。


 ・ろくろ首さん

 優しい方たち。

 人のことをよく見ている。


 ――――


 自分のノートを見て、スイは深いため息を吐く。


「私は、どれもできてないなぁ」


 策略家とは、どのようなものなのか。

 よく見ているとは、どの程度なのか。


 考えれば考えるほど、わからなくなってしまう。

 再びため息を吐き、ノートを閉じた。


「一番両親と関わっていたのって、やっぱり九尾様か天狗様だよね」


 ――――でも、九尾様には一人では会いに行けない。

 天狗様は、自分のせいで忙しさが倍増しているのに、さらに時間をもらうのは気が引ける。


「次からは、少しお話するのが大変な人たちに聞いていこうかな……って、こんな考えは駄目だよね」


 今までスイは、話しにくいあやかしや、合わないあやかしと無意識に距離を取っていた。

 それが良くなかったのだと、スイは大きく反省していた。


「…………反省だけじゃ変えられない。動かないと、解決しない」


 今日はもう夜だから、また明日から聞き込みを続ける。

 そう心に決め、スイは布団を敷き、夢の中へと入った。


 ※


「よし!! 今日はお客様が来る!! 聞き込みもしたいけど、まずはお客様をお出迎えだ!」


 旅館の資料の受け渡し役であるあやかし、のっぺらぼうからもらった資料を見る。


「えぇっと、今回も団体様か。――――えっ、猫又、家族?」


 以前、猫又家族にはこの旅館を荒らされたことがある。

 それなのに、なぜ九尾は招き入れたのか。


 ――――いや、ここはパラレルワールドにつながっている。

 つまり、また別の猫又家族。


 そう思い、スイはもう一度、資料をしっかり読み込み始めた。


「……やっぱり、全然違う」


 今回の猫又家族は、途中までは同じだ。

 あやかしの頂点に立つ九尾を狙っていたが、人間の娘に取られて逆上する。


 けれど、ここからが違った。


 そこから猫又家族は更生し、今での悪だくみもやめ、平和に暮らしているらしい。

 だが、その情報が本当なのか、スイは思わず疑ってしまう。


「…………怪しんでいても仕方がない。今は準備だ」


 すぐに着替え、エプロンを付けて気合を入れる。

 廊下に出て駆け足で進んでいると、洗濯物を運んでいる二口女と出会った。


「あっ、おはようございます、スイ様」


「おはようございます!」


「今日は団体様ですね。また、猫又家族と聞いていますが、大丈夫ですか?」


 二口女は、以前の出来事を知っている。

 そのため、スイを心配していた。


 けれどスイは力強く頷き、笑みを浮かべた。


「不安がないわけじゃないけど、でもやるしかない。いつも通り、準備していきますよ!」

「わかりました。では、我々も動きます!」


 二口女の言葉で、周囲にいたあやかし達が気合を入れた。


 お客様が来るのは午後。

 今は午前六時。まだまだ時間はある。


 スイは資料を片手に廊下を走り回り、いつものようにあやかし達に指示を出し、お出迎えの準備をしていた。


 食事やお風呂の準備。

 部屋の整備や掃除。


 他にもやることはたくさんある。

 久しぶりの大忙しに、スイは思わず笑顔を浮かべた。


 楽しそうに指示を出し、自分も動いて準備を手伝う。


 そんな時、鴉の面を付けた天狗が廊下を歩いてきた。


「あっ、天狗様。おはようございます」


「あぁ。今回も猫又家族が来るらしいな。お前は絶対に部屋から出るなよ」


「…………あ、あの。そのことなのですが、今回は、私もお出迎えしたいです」


「駄目だ」


 スイの申し出に、天狗は間髪入れずに否定した。

 わかっていたこととはいえ、少しも考えてくれない態度に、スイは苦笑いを浮かべる。


「で、でも、私は今以上に女将としての仕事をしていきたいんです! 今以上に成長しなければ、この妖癒旅館は――……」


「それはお前が考えることではない。だから、気にしなくていい」


「でも!!」


「準備を済ませたら、早く部屋に戻れ。いいな」


 有無を言わせない圧に、スイは何も言えなくなった。

 俯いたスイを見下ろし、天狗はその場を後にする。


 一人残されたスイは、その場に立ち尽くした。


「なんで、私はお出迎えすら駄目なんですか……」


 自分が何もできない出来損ないだから。

 トラブルが起きた時、対処できないから。

 上手く女将としての立ち居振る舞いができないから。

 両親のように動けないから。


 天狗が自分を拒絶する理由はいくつもある。

 けれど、だからこそ動かなければ、考えなければ成長できない。

 それなのに、天狗に言えば、今回のように拒否されてしまう。


 どうすればいいのか、わからない。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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