表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人間スイとあやかし玄が営む妖癒旅館―人とあやかしが共に生きる、もう一つの世界―  作者: 桜桃
情報収集

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/34

「今日はお風呂の大掃除だから、大人しくしているの?」


「うん!! 今日はお休みだから、一号と三号と一緒にお休み中!」


 鬼火たちは、自分たちで一号、二号、三号と勝手に名前を決めていた。


 それでいいのだろうか、とスイは思いつつも、本人たちが満足しているようなので、あえて何も言っていない。


 余計なことを口にして癇癪を起こされてしまえば、お風呂がマグマかと思うほど温度が上がってしまうのだ。


「今日はどうしたのぉ?」


「私は今、旅館の中を見学中よ」


「見学中? 旅館の上司なのにぃ??」


 ――――グハッ。


 スイは、無邪気に放たれた言葉に大ダメージを受けた。


「そ、そうね……。でも、最初は両親が入院して、なにも準備ができなかったから、あまりゆっくり見て回れなかったの。だから、改めて話を聞きながら旅館を見て回っているのよ」


 にこっと微笑みかけるスイに、鬼火たちは顔を見合わせ、満面の笑みを返した。


「そういえば、スイ様!!」


「なぁに?」


「こんな噂、知っていますか?」


 ――――え? 噂?


 正直、噂というものは不思議な話が多い。

 大抵は幽霊が出るだとか、旅館の物が勝手に動くだとか――怖い内容が多いと、スイは偏見じみた認識を持っていた。


 そのため、正直に言えば今の話題は聞きたくない。

 スイは、怖い話が大の苦手なのだ。


 けれど、ここで断れば確実に癇癪を起こす。

 今、癇癪を起こされれば、掃除中の垢嘗たちが危険だ。


 スイは冷や汗を流しながら、「な、なぁに?」と笑顔を貼り付けて問い返した。


「この旅館にねぇ、なんかぁ……あやかし以外の“何か”が迷い込んでいるんだってぇ~」


「あ、あやかし以外って……?」


「んー。わからないけど、足はないみたいだよ!!」


 その言葉に、スイの顔はみるみる青ざめる。


「へ、へぇ……」


 平静を装ってはいるが、体は恐怖で小刻みに震えていた。


「でも、誰も見たことがないんだってー」


「――――え? 見たことがない? なら、どこからそんな噂が?」


「黒緋様だよー!!」


 その名前を聞いた瞬間、スイの中で何かがぷつりと切れた。


「わ、わかったよぉ。ありがとう。えっと、その噂は……あまり広めないようにねぇ~」


「えー!! なんでなんで!!」


 子供たちは、今にも泣き出しそうな顔でスイを見上げてくる。


 ――――まずい!! このままだとマグマが誕生する!!


「く、口が堅い男は、とってもかっこいいからだよぉ!!」


 咄嗟に出た言い訳。

 これで納得するはずがないと思いながらも、スイは必死に言葉を重ねる。


「男というものはね!」


「男というものは!!」


 言い訳を繰り返すスイを見て、鬼火たちの涙目は、次第に輝きへと変わっていった。


「そ、それでね、男は口が堅い方が――」


 そう続けようとした瞬間、鬼火の一人が目を輝かせて飛び上がった。


「僕!! かっこいい男になれる!? 玄様みたいに、かっこいい男になれる!?」


「「僕も! 僕もー!!」」


 転んだスイに、鬼火たちが一斉に飛びつく。

 炎の体なので少し熱いが、我慢できないほどではない。


「な、なれるよ! て――玄様みたいに、かっこよくて美しい男性になれるよ!! だから、今の話はあまり広めないでね??」


 スイが必死に話を合わせると、三人は元気よく、


「「「はーーーい!!」」」


 と返事をした。


 ――――なんだかよく分からないけど、うまく丸まった……。


 スイはほっと一息つき、鬼火たちを窯へ戻す。

 立ち上がり、服についた埃を払って振り返った、その先に――


 予想だにしていなかった人物が、立っていた。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ