第2話『襲撃・強奪・救済?』
「はぁはぁ……」
少年は必死に逃げていた。
できるだけ遠くへ。できるだけ人がいない所へ。
「どこまで行けば……」
少年は小一時間程度走り続けていた。
回復薬を飲んで回復しているとは言え、完治はしていない。
その為、全身のあちらこちらの傷が再び開き始め、血が出始めている。
「はぁはぁ……」
少年が流石に疲れたのか、木に寄りかかり一休みすることに。
しかし、それがいけなかった。
「おい」
「っ!?」
突如、木の陰から声をかけられた。
声は男。一人の声しかしないが、気配は複数人いる。
「な、なんでしょうか……?」
少年が警戒しながら後ろを振り返る。
と、そこにはいかにも悪そうな人相の男が立っていた。
頭にバンダナを巻いており、腰には剣を携えている。
足音が聞こえたので、辺りをゆっくり見回すと、目の前にいる男と同じような格好をした男達が大勢いた。
その数、十人以上。
「お前、随分身なりのいい格好してるじゃねぇか」
「あ……」
今の少年の格好はパジャマ。
ここが異世界であるならば、この普通のパジャマも高級な物に見えてもなんらおかしくはない。
「こ、これは別にそんないいものじゃ……」
「金目の物、全部差し出しな。大人しく差し出せば命だけは奪わないでやるよ」
「ほ、本当ですか……?」
「あぁ。だからさっさと出しな」
「は、はい……!」
少年は死にたくはないので、服を脱ぎ手渡した。
「マジでこれ金になりそうだな……! おい、下着もだ。さっさと脱げ!」
「さ、さすがに下着は……」
「いいから脱げ!」
「は、はい……!」
少年はボクサーパンツも脱ぎ、手渡した。
「よし、行っていいぞ」
「え……? ほ、本当に見逃してくれるんですか……?」
「あぁ。俺は約束を守る男だ。嘘はつかん」
「あ、ありがとうございます……!」
そう言って走り出す少年。だが──、
「まぁ、それが嘘なんだがな!」
「ぐぁああ!?」
男は、走り出す少年に向かって携えていた剣を引き抜き投げつけた。
その剣は、少年の左太ももに直撃。少年は転倒してしまう。
「ぐあああああああああああ!!!!」
太ももに感じる、本日何度目になるか分からない鈍い痛みに絶叫を上げる少年。
太ももからはドバドバと血が溢れ出している。
「てめぇら! 串刺しにしてやれ!」
『おぉーーーー!!!』
少年に剣を投げた男が、他の男達に指示すると、他の男達も剣を抜き、少年に向かって投げ始めた。
「ぐっ!? うっ!? あっ!? がっ!? あああああああああああああああああ!!!!」
投げられた沢山の剣。それらは少年の腕、足、肩、腰などにどんどん刺さっていく。
「ぐっ……ぐふっ……! ぐはっ……!」
少年はうつ伏せになりながら、大量に吐血をする。
「な、なんなんだよ……! なんなんだよ……!! なんで知らねぇ奴らに狙われて、こんな目に遭わなきゃいけないんだよ……!!!」
少年は吐血しながら、この状況についての怒りを吐露していた。
「まぁ、運がよければ生き延びれるかもな〜。頑張れ〜」
『あははははははは!!!』
そう言って、盗賊達はどこかに去っていった。
「こ、この世界って、マジでクソ、なのか、よ……」
少年が意識を手放しそうになった時、声が聞こえた。
「だ、大丈夫ですか!?」
「大変! すぐに手当てしなきゃ!」
「うっ……っ……」
少年のぼやける視界には、二人の女性が映ったような気がした。
しかし、少年の意識は限界を迎え、そのまま気を失ってしまった。
異世界に転移してから怪我しかしてない少年……!
しかし、そんな少年についに救済の手が……?
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