第1.5話『見かけた人影は……?』
大きな城の裏門に、二人の女性の姿があった。
「まさかあそこであれを選ぶなんてね」
「ねぇ〜。驚きだわ〜」
銀髪ロングの女性と、濃い紺色のショートカットの女性が、歩いていた。
二人は門をくぐり、中に入っていく。
銀髪ロングの女性は、白い制服のような服を着ており、ショートパンツを穿いていた。
胸はDカップで、大きすぎず小さすぎずのちょうどいいサイズだ。
濃い紺色のショートカットの女性は、銀髪ロングの女性と同じ白い制服を着ているが、ショートパンツではなくミニスカートを穿いている。
胸は銀髪ロングの女性より大きめの、Fカップだ。
「あれ?」
二人が話しながら庭園を歩いていると、濃い紺色のショートカット女性が歩みを止めた。
「どうしたの?」
「いや、なんか今、見覚えのある人がいたような……」
「え……?」
二人して少し離れた所を見るが、そこには誰もいない。
「気のせいなんじゃない?」
「う〜ん……そうなのかな……? ん?」
ショートカットの女性が、人影があった場所に向かうと、そこにはほんの少しの血痕があった。
「やっぱり、ここに誰かいたんだ」
「血痕……怪我をしていたと言う事? だとしたらすぐに見つけて治療しないと」
「うん。でも、なんで裏門に?」
「考えるのは後。とにかく今は戻りましょう」
「そうだね」
二人の女性は急いで城の中へと入って行った。
そこには、怪我をした少年がいたのだが……。
☆ ♡ ☆
城に入り、王室へと向かった二人は、王様と対面していた。
「王様、先程、裏門で血痕を見つけました」
「多分、誰か怪我をしてるんだと思います! すぐに治療してあげないと!」
二人が報告を行うと──、
「そうですな! 出血が増えすぎて手遅れになっては困ります! 今すぐ捜索隊を派遣いたしましょう!」
「「ありがとうございます!」」
王様にお礼を言う二人。
そんな中、銀髪ロングの女性が、お辞儀をした際に床を見て、そこにある血痕に気が付き──、
「王様、ここにあるこれは……」
それを指摘されて焦った王様は──、
「り、リリノ様、リンナ様は遠征でお疲れでしょう! もう今日は休んだ方がいい! すぐに食事を用意させますので、それまで自室にてお休みくだされ!」
騎士に指示を出し、二人は王室から追い出されてしまった。
「梨々乃? どうしたの?」
「燐奈は気が付かなかった?」
銀髪ロングの女性──梨々乃に、濃い紺色のショートカット女性──燐奈が尋ねる。
「何に?」
「王室の床に、さっき裏門にあったのと同じ血痕があった」
「え!? そ、それって……!」
「えぇ。裏門にいた人は、王室で怪我をさせられたんでしょうね。それで、なんとか逃げた」
「じゃ、じゃあ、捜索隊を出されるのはマズイんじゃ……!」
「多少はね。でも、王様のあの様子だと、本当に探そうとしてる雰囲気はなかった。だから、多分大丈夫だとは思う」
「そっか……でも、怪我をした人って誰なんだろう……なんか見覚えがある人だったんだよね……あれ? そう言えばガイゼルさんは? もしかして、逃げた人って!」
「儂がどうかなさいましたかな? リンナ様」
「「っ!」」
二人の横から声をかけてきたのは、左頬が真っ赤になり、全身が雷にでも打たれたかのように薄く焦げているガイゼルだった。
「が、ガイゼルさん!? ど、どうしたんですか!?」
燐奈が尋ねる。
「いや〜。王の機嫌を損ねてしまいましてねぇ。ショックスキルを受けてしまいました」
「その頬は?」
梨々乃が聞く。
「王はまだまだ若いですな。まさかグーが飛んでくるとは思いませんでしたよ」
「な、殴られたんですか!?」
「えぇ。若いと言うのは、素晴らしいですなぁ……」
「いやいや、そこ若さとか関係ないでしょ」
「吐血はしました?」
「まぁ、しましたな」
梨々乃の問いに答えるガイゼル。それを受け、梨々乃は口許に手を当て、考え込む。
(という事は、王室にあった血痕と裏門にあった血痕は別物……? でも、偶然同じ日に血痕が付いたりする……?)
「梨々乃が怖い顔になってる〜。ま〜た一人で考え込んでるな〜? その考えを私にも少し分けなさいっていつも言ってるでしょ〜!」
「ひょ、ひょっと……! やめなはいよ……!」
燐奈が、考え込む梨々乃の頬を引っ張る。
「ふふふ。微笑ましいですなぁ。それより、お二人、遠征ご苦労さまでした」
ガイゼルがそう言いながらお辞儀をすると、ふざけていた二人も姿勢を正し、お辞儀を返す。
「お疲れでしょう。本日はお部屋にてゆっくりお休みくださいませ。お食事については、後でメイドに持って行かせます」
「「はい」」
「では」
ガイゼルは歩いてどこかに向かう。
その後ろ姿を見つめながら、燐奈が──、
「ねぇ、梨々乃」
「ん?」
「私、調べてみる。この場所で何が起きているのか。怪我をして逃げ出した人が誰なのかを」
と、言い出した。
「そうね。私も手伝う。でも、くれぐれも王様にはバレないようにね」
「うん」
梨々乃もその提案に乗っかり、一緒に調べる事にした。
この時の二人には知る由もなかった。
怪我をして裏門から逃げたのが、二人にとってとても大切な ”幼馴染み” だと言う事を。
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