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婚約者を平民の女に取られたので、罠に嵌めて差し上げましたの。そうしたら私も…。

作者: うずらの卵。

ガシャーン、鉄格子が閉じられた。

私は冷たい地下牢で1ヶ月後処刑されるだろう。

でも、どうしても許せなかった。

悔いはないわ、私のプライドを踏みにじったんだから。アハハハハ…私は涙を流しながら笑った。


「アリーシャ、すまないが婚約破棄してくれ」「まぁ、ローラン様いきなり何ですの?」

私は婚約者のローランにいきなり婚約破棄を言い渡され戸惑っていた。

ローランの隣には平民のナタリーが気まずそうな顔をして佇んでいる。

「私はナタリーを愛している、君は美しいがプライドが高くて疲れるのだ、その点ナタリーといると癒されるのだ」

「では、貴族から平民に落ちる覚悟なのですか?」

「隣国には私の兄がいる、暫くは兄の所に二人で身を寄せるつもりだ」

「解りました、どうぞご自由にして下さいませ」二人は背中を向けて立ち去った。

悔しい悔しい悔しいー、私は悔しくて仕方なかった。

私にプロポーズして来る男性は星の数程いたのだ。

でも、私は貴族の中でも見た目が整っているローランを選んであげたのに。

二人が並べば美男美女と言われ、お似合いだと回りから羨ましがられていた。

それなのに、平民の小娘に取られるなんて許せない。

私は家に帰り母に相談した。

「お母様、私はローランに婚約破棄されたのです。私はプライドをズタズタに踏みにじられたのです」

「まぁ、大切な私のアリーシャを振るなんて何て男でしょう、私に良い考えが有ります」

母もかなりプライドが高いのだ。

数日後、ローランがナタリーを殺した罪で捕まったと報告が来た。

「アリーシャ、これでローランは処刑されるでしょう?私のアリーシャを侮辱した罪は重いのよ」と母は微笑んだ。

私は母に相談して良かったと思った、この時までは。

もう、私を振ったローランになんか愛情は無かったのでせいせいしていた。

私は気分が良かったので町に買い物に出掛けた。すると後ろから声をかけられたのだ。

「おぉー何て美しい方なのだ」

私が振り向くと、口髭を囃した紳士が立っていた。

「何かご用ですか?」と聞くと、紳士は頭を下げて「突然失礼致しました、あなたの美しさに見とれてしまいました、少しお時間を頂けないでしょうか?決して無理にとは言いません」

とても丁寧な物言いに、私は少しだけならとその紳士とお茶をする事にした。

「あなたはとても美しい、あなたは女神のようだ、あなたのパートナーが羨ましい」と色々と言って来たので、私は頬を赤く染めた。

紳士の名前はエドワと言い、住まいは隣国だが仕事でこちらに来ているとの事。

とても話が上手くて時間があっという間に過ぎて行った。

エドワは時計を見て「もうこんな時間だ、又会って頂けますか?」と聞くので私は頷いた。

それから数回エドワと会い、段々エドワに好意を抱いて行った。

そして、エドワから隣国の別宅に招待されたのだ。

エドワは金持ちの貴族で自宅の他にも別宅を所持しているそうだ。

私は両親の了解を得てエドワと共に隣国の別宅へと向かった。

何故自宅ではないのか聞くと、自宅は今壁を塗り直しているとの事。

そして、長旅の末隣国のエドワの別宅に到着した。そこは森に囲まれ回りに家は建って居なかったが、とても素敵な洋館だった。

中に入ると女性が出迎えた。

「こちらはお手伝いのカナリーだ」とエドワが紹介した。

「私はカナリーです、身の回りのお世話をさせて頂きます」と言うので私は「宜しく」と言った。

そして、夜になりカナリーが料理とワインを運んで来た。

エドワとワインで乾杯して飲むと、とても飲みやすくほろ酔い気分になって来た。

カナリーが作った肉料理がとても美味しくて

「カナリー、この肉料理とても美味しいわ」と言うと、

「有難う御座います、この肉料理は娘がとても好きだったのです」

「まぁ、娘さんがいるのね」

「えぇ、でも娘は事故で亡くなりました」

「そうだったの」

エドワが「アリーシャは婚約者とかは居なかったのかな?」と聞くので私はワインで酔って口が饒舌になっていて、

「婚約者はおりましたが、振られましたの。平民の小娘なんかに興味持って」

「こんなに魅力的な女性を振るなんて酷い男だ、その男は平民の娘と結婚したのかな?」

「私を振ったから母に相談して罪を被せて今頃は牢獄よ、ざまーみろよ」

「罪を被せた?」

「えぇーそれ以上は秘密よ、うふふ、でも何か怖い顔してますけど?」

「いやいやちょっと驚いてね、以外と悪女なんだね、そこも魅力的だよ」

「まぁ、お口がお上手ね、何だか頭がクラクラして来たわ」

「きっと長旅の疲れがでたのかな?ゆっくり休むといいよ」

「有難う御座います、じゃ……」そこでアリーシャの意識が途切れた。

アリーシャは寒くて体が痛くて目が覚めた。

頭がボーっとしていたが、何とか体を起こすとそこは薄暗く寒い部屋で、地面に直接寝かされていたようだ。そして鉄格子が嵌められていたのだ。

すると足音が聞こえ「目が覚めたか?」とエドワの声が聞こえた。隣にはカナリーもいた。

私は混乱して「これはどういう事?」と聞くと

エドワは睨み付けるように私を見て言ったのだ。「私の弟はある女性により牢獄に閉じ込められてその一月後処刑された」

私は青ざめた、まさか…。

すると、カナリーが口を開いた。

「私の娘は殺されました」と言い私を睨んで来た。

私は震えが止まらなかった。

そして、鉄格子の扉を開いて二人は入って来た。

「私の弟はローラン、カナリーの娘はナタリー、もう解っただろう」

「私を騙したのね、酷い…」

「酷いのはどっちだ、これから1ヶ月この牢獄で過ごして貰う。弟がどんな気持ちで牢獄で過ごしたか解るか?解らないだろう。そして1ヶ月後お前を処刑する」

「何よ、私を振って平民の女なんか好きになるからじゃない、平民の女も身の程知らずじゃないの」と私は怒りに任せて叫んだ。

「全く反省していないな、少しは後悔して謝罪してくれると思ったんだが残念だ」

「私の娘は帰って来ない、許せない」

そして、二人は鉄格子の外に出て鉄格子の扉ををガシャーンと閉めた。

私は1ヶ月後に処刑される。

でも後悔はしていない。

だって私のプライドを踏みにじったんだから。アハハハハ。









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