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第四話 首飾り
「姫!アウラ姫!アウラ!」
シオンの叫び声が車内に響く
「アウラ!アウラ!アウラ!」
左の掌から鮮血が流れ白いシルクのドレスを褐色に染めて黒革の座面を濡らす。
「うっ、くっ!」
アウラは王族のプライドがそうさせるのか、
痛みに耐えていた。
「すぐ止血を!」
シオンはそう叫びうずくまるアウラから強引に左手を引っ張る
「…たっ」
痛みに耐えかねてアウラは声を漏らす。
「今はこれしかないから」
そう言ってシオンは彼女の傷ついた手を首飾りに押し当てた。